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白鬼 ~英雄とよばれた白い妖怪~  作者: 黒村 桜
形のある見えない《絆》
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第四話 俊足の刃は空を斬る1

 ―――死。それだけは意味を知ると怖いと感じる。でもあまり実感は沸かない、実際になった事が無いから。それは虫歯になった事の無い少年が虫歯を怖がるのとどっちの方が怖いだろう。両方なった事が無いとあまり大差ないと思う、もしかしたら虫歯の方が怖いと言う人もいるだろう。普通の日常を過ごしていれば死とは身近にあっても実感しないものだ。だが、例外もある。


 朝早くに池菜は橋の上にいた。青空で雲がまばらにあり川の冷たい空気が風にのって弱々しく吹きつける、そこから川を見下ろす。


 事件から一週間経つ、あの後私は真っ直ぐ家に帰った。帰ったまでは良かったのだがその後案の定風邪を引き寝込んだ、その間何もできず二日寝込んでいた、多分ストレスもあったんだと思う。その間吉や友達がお見舞いに来てくれた、私か風邪で寝込んでるのに部屋でうるさく騒いで帰って行った。治ってからはいつもどうりのだった、ただ一つ変わった事と言うなら・・・。


「そろそろ戻ろうか、カイ」


「ワン!!」


 そう、あの後子犬のカイが目を覚ました怪我をしていたが元気にはしゃいでいる。不思議なこに衰弱して死にかけてていたのが嘘のようだ、池菜はカイが目覚めて散歩と気分転換しに来ていた。


 私もここから落ちて、死んだら妖怪に・・・。 


 池菜は、人間離れした白鬼の姿を思い出した。


 ダメダメ、死んだらもともこうもない。


 池菜は分からなくなっていた、自分がどうしたら良いのか。白鬼の言うことは正しくどうしたら強くなれるのか、帰り道は静かでその事ばかり考えていた。


 家に着いて玄関に入る、すると池菜の前で止まりカイが息を荒くして池菜を見つめる。


「はいはい、ご飯ね」


「ワン♪」


 嬉しそうに吠えるカイを撫でながら癒されている今日この頃。


 プラスチックの皿にドックフードを入れる、入れる時にカラカラと音が出る、その音にまだ馴れない。


「はい」


 カイの前に置く、カイが美味しそうに食べているのを見てまた癒される。


 池菜も台所からガラスコップを取り出して牛乳を持ってテーブル戻る、テレビをつけてからテーブルの上にある朝ご飯を食べ始める。


『-----OOOタウンの開発は順調に進んでおり――・・・。』


テレビではいつもと変わらない女性キャスターが喋っていた、でも突然、奇妙なニュース報道される。


『では次のニュースです。先週末から、車や自転車などのタイヤが、刃物で斬られていると言う事件が発生しています。いつ斬られたかも不明で犯人の行方も分からず、警察は情報を集っています。』


「ふーん」


池菜はパンを口に挟みニュースを見ていた。


 変な事件もあるんだな。まあ家からそこまで遠くないし、一様気をつけておこうかな。


 ご飯を食べ終わって時間を見ると少し早い時間だった。


 これだったら、着替えて歯を磨いたら、丁度いいかな?


 池菜は時間を見て動き始めた。食器を洗面台に置いて歯磨きをして二階の自分の部屋に向かう、部屋で制服に着替えて駆け足で階段を降りてそのまま玄関に向かう。そこで靴を履いて玄関で待ってたカイに「行ってきます」と言うと、カイは「ワン!!」と吠えて見送ってくれる。


最近一人じゃなくなった、カイが玄関で見送ってくれるようになってから家を出るのが・・・、何と言うか。孤独じゃなくなった気がする。あ、でも・・・。家に残ってるカイは一人なのか・・・。


「今日は、早く帰ってこようかな・・・」


そんな事を考えて歩いていると、近くから怒鳴り声がする。何かあったのかなと通り過ぎようとしたら、『うん?』と思う内容だったので少し聞き耳をたてる。


「これ!、あんたがやったでしょ!!」


「俺じゃないよ」


聞こえてきたのは女性の声と男性の声、どうやら痴話喧嘩らしい。


「こんなにザックリ()()()!!」


「俺じゃないって!!」


「昨日手入れしたのはあんたでしょ!!この椿の木お気に入りだったのに!!」


・・・切る?


その会話に少し違和感を覚えたが、その時には言葉に気が付かなかった。


左手首に付けた腕時計の時間に気が付き、学校に向かった。


学校に着いて教室に元気よく「おはよー!!」と言って入る、するとどうしてか皆が池菜の方を向いて固まる。


え、なにこの状況?どうして皆固まってるの?何か悪いことした私?


そお思っていると、彩歌(さいか)(石井(いしい) 彩歌)が一人でポカーンとした顔で近寄ってきた、前に立つと池菜の頬をつねるり引っ張る。


「イタイイタイ!!なにするの!?」


「遅刻常習犯の池菜が早い時間に来た!?」


「どういう意味じゃあー!!」


ただ池菜が早く学校に来たのが珍しく、皆が驚いていただけだった。何とも拍子抜けである。


頬をつねり返しか池菜は教室を見てあることに気が付く。


あれ、吉がいない?


「ねえ、吉は?」


「うん?分かんないけど。まだ来てないよ」


珍しいな、吉がまだいないなんて。私たちの中で一番早く来るのに。


「珍しいね」


「そうだね・・・。もしかして、あんたの風邪が移ったんじゃない?」


「私の!?エエエー!!なら、どうしよう」


「いや、冗談だから」


 そんな話をしていると、予礼5分前になっていた。慌てて自分の席に座る、自分の席に座っても吉はまだ来ない、そして時計をじーと見つめているとすぐ3分前になった。すると廊下から走る足音が教室に向かって来る、そして前の扉意気よいよく開く。スライド式の教室の扉が大きく『ガン!!』と音を出すので壊れたのではないのか、教室の皆が思ってたのを予染めに吉は急いで自席に座る。吉は丁度池菜の隣で、どうして遅れたか聞こうとするが汗だくで息を荒立ててるからどうも話かけずらい。


うわぁ・・・。どうしよう、すっごく話かけずらい。


「ねぇ、大丈夫?どうし―――」


「私!!遅刻してないよね!!!」


血走った目で必死に池菜に確認する。


「え?」


「だから、遅刻してないよね!!」


「う、うん。ギリギリセーフだよ」


 ハアハア言いながら必要な吉に圧倒されて変に答えてしまった、そしたら大きく開いた目は小さくなり、必死な表情は安心した表情になった。


「よかった~」


「どうして、こんな時間になったの?寝坊?」


 そう聞くと丁度鐘が為る、そしたら先生が前から入って来た。


「はーい、皆おはよう~。じぁ―――」


 吉は先生が来た事を確認して、隣の池菜に耳打ちで教える。


「実は、自転車のタイヤがパンクしちゃて」


「それで、遅刻しかけちゃった訳か。ついてないね」


「おい!!コラ!!そこ何話してる!!」


 話しているのを先生にバレた。


「「はい!!」すいません!!」


「それも、変にパンクしちゃて」


とボソッと言った。


変にパンクした?


 その事には何とも思わなかったが、少し好奇心が湧いたので聞いてみることにした。


 朝の挨拶が終わり、隣の吉から話を聞きたいが次は移動教室なので、移動中に話を聞く事に。


 隣で準備をしてる吉に声をかける。


「ねぇ、一緒に行こう。ギリギリセーフさん♪」


 その姿はいつもどうりで声もかけやすかった、やはり落ち着く。


「あんた、喧嘩売ってる?」


 そお言いつつも一緒に教室移動をしてくれる吉が大好きだ。


 廊下を二人で歩き、響かない程度の声で話かける。


「あのさぁ」


「うん?なに?」


「さっき、何か言ってたよね。ほら、パンクがどうのって」


「あぁ、聞こえてた?」


「どんな感じにパンクしてたの?」


「うーんと。なんか、刃物で縦に斬られた感じで・・・」


「えぇ!!、大丈夫なの!?」


「シー!!、声が大きいよ」


 授業中に立ち上がり大きな声を出してしまった、『あ。』と思い周りを見るて視せんが集中しているのに気が付く。


「あはは・・・、すいません」


静かに座り、話の続きを聞く。


「で、その自転車学校にあるの?」


「あるけど・・・、ど―――」


「見たい!!!」


 また、大声を出してしまった。それに気が付き周りを見ると、今度は冷たい視線で見られている。


「あはは...」


「高崎 池菜さん。後で職員室に来なさい・・・」


「あ。はい」


※その後たっぷり、絞られました♪


 放課後。雲一つ無い青空の下、吉の自転車が止めてある駐輪場に向かった。


「楽しみだな~」


「子供か、おのれは」


 校舎横に続く道を通って駐輪場に着いた、そこには三列横に並んで屋根があって止める場所があった、そしてまあまあの数が止めてあった。


「へー、駐輪場て以外と狭いんだ~」


「そっか池菜って、徒歩で登校だっけ」


 「うん」と話ながら、吉はまっすぐ中央の列に向かって右側の校庭側の方に向かった。その自転車が並んでる中央に吉の自転車があった。


「これなんだ―――――」


「へー!!、すごーい。これが吉の自転車?青なんだ初めて見たかも、以外とカッコいいね!!」


「あの、話聞いてくれる?」


「あ、ごめん」


 以外と吉の自転車がカッコ良かったのでつい話してしまった、吉が少し引いた顔をしていたのに気がつかなかった。


「ここなんだけど」


 そう言って前車輪の正面にいちするあたりに指をさす。指さすあたりをよーく見ると、斬られた跡がうっすら見える。ゆっくり近ずき指で切れ目をなぞる、たがそれは少し出ぱっただけに思えた。


「本当にこれ?」


「そお、思うんだったら。指で押してみな」


 そ言われたので、掴んで親指で押してみた。すると簡単にタイヤが凹み、そして十二センチぐらいの斬れた跡がくっきり見えた。


「何これ!?包丁?」


「分かんない、気が付いたらこうなってて。おかしいでしょ?」


 確かにおかしい。自転車のタイヤとはいえまあまあのゴムの厚みがある、それを縦に綺麗に斬られてる。


「家出た時からこうなってたの??」


 首を振り、「何で私がこんなめに」と不満そうに眉間に皺をよせ口を尖らせる。


「何で斬れたか分かってないんでしょ?」


「うん、そうだけど・・・」


 池菜は遠いところを見つめて、話始める。


「吉。今日部活ある?」


「無いけど・・・、まさか」


 池菜が吉の顔を見る、少し真顔で見た後ニヤリと微笑む。


「何でパンクしたか気になる!!調べに行こう!!」


「あー、やっぱり。じゃあ頑張ってねー」


 そう言って立ち去ろうした吉の腕を捕まえ引っ張り連れ出した、「離せー!!」と聞こえた気がしたが気のせいだろ。


 吉を連れ出し、着いた場所は学校からそお遠くない坂だった。そこの坂はカーブがあること以外はあまり特徴は無かった、尖った石や刺さりそうな物は見当たらない。


「本当にここであってる?」


「多分、あってるはず・・・」


 二人で坂を下から上まで登りながら針一つも見逃さないように確り見ながら登って行った。だが、石は小さいものしかなくガビョウや刺さりそうな物は一つも無かった。


「ない・・・?」


「は~、疲れたー!!」


 下から上まで確認したけど、何もない?そんなことないはず何かあると思ったけど。


 もう一度探そうと吉に声をかけようとしたが、疲れた顔をしていたのでこの後は一人で探して吉は帰ってもらおう。


「吉、今日はありがとうでごさまいます。もう、帰っていいよ」 


 少しふざけてお礼を言ってその場を和まそうとしたが、鋭い目で池菜を見る吉。


あっるぇぇ?その場を和まそうとしたのに。


「・・・なにそれ」


「え、いや。その場を和まして疲れが紛れたらいいなと~、思いまして。」


「それだけ?」


「はい」


「「・・・」」


「・・・ブッ、バカじゃないの?」


どうやら少しウケたらしい、良かった。


「まあ、ギャグは面白くなかったけど」


ウッ、辛辣!!


「じぁ、帰らせてもらうよ」


 坂を下りて帰って行く吉に大きく手を振って見送った。


 さて、一人で探すか・・・。六時前には帰りたいな~。


 そんなことを考えて探す。数分たったころに背中からチャリの音がする、その音が背中で止まった池菜は自分が邪魔になってると思い、「すいません、今退きます」と言うと。


「あんた、まだ探してる?」


「!?」


 ビックリして、後ろを向くと吉の姿があった。日が沈み黄色いオレンジと紫色の夕空で顔はよく見えないけど、柔らかな笑みに困ったように眉毛をよせているように見えた。


「なんで、いるの?」


「なんでって、ここ私の帰り道だよ?」


 ポカーンとした表情で「そっか・・・、そうだよね」と思ったことが口に出てしまった。


「まだ、探してるの?」


「う、うん。まだ気になって」


 そお言うと吉は道の端に自転車を止める。


「何やってるの?」


「見て分からない、自転車を止めてるの」


「いや、そうじゃなくて。なんで止めてるの、早く帰らなくていいの、それに疲れてるでしょ?」


「そお言うあんたは良いの、早く帰んなくて?」


「私は―――」


 そお言われて我に戻ると、家で待ってるカイの姿が思い浮かんだ。


「・・・、私は大丈夫・・・」


吉は黙って池菜の横にしゃがんで一緒に探し始める。


「二人でやれば、そのぶん早いでしょ?」


「・・・、ありがと」


 あの後は二人で探したが、やはりこれと言った物は見つからなかった。夜の帰り道はひどく静かで、聞こえてくると言ったら電車が通る音か車の通る音ぐらいだ。だが、今日の夜は変な音がした、いや不自然な音も言う。


 それは、ただのへんてつもない草の生えた場所だった。長さは腰にぐらいの長さだった、その中で何かが草を掻き分けて動いている。池菜は気になり見ていたらその何かが道に出てきた、距離は1メートルぐらいだが暗くてよく見えない、見ている何かは走ってどこかえ行ってしまった。


 だけれど池菜は見てしまった、赤色の2つの点の光が一瞬こちらを向いたことに。


「猫?」


 そんなことがあったが池菜は普通に帰ってこれた、玄関を開けた時にカイが出迎えてくれた時は凄く癒された。その夜は普段どうりに過ごした、ご飯をたべカイと一緒に風呂に入ってテレビを見て勉強を終わらせた、歯磨きをしてベットに横になりその日は終った。次の日も朝起きてテレビをつけてご飯を食べて歯磨きをして学校の準備もしといてカイの散歩に行く準備をしていた、ここまではいつもどうりだった。


 玄関を開けて外に出ると人がスマホを手に何かを撮っていた、撮っている方を向いた瞬間思考が停止した。そこにあったのは先の無い標識とカーブミラーだった、それが奥の方まで続いている、そして人も何人か写真を撮っていた。


「なに、これ・・・?」


 あの夜にあれを捕まえていれば、この事件の結末もこれからの結末も全て変はっていたかもしれない。こんな事を思い後悔するのはもっと先の話しである。

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