第一章-17 合流するBUDDY
連続更新、2話目です!!
よろしくお願いします!!
黒開暦5年7月27日
午前8時45分
仮想世界・フィールド《暗闇の草原》
何とかして、《暗黒の森》から抜け出せた彼ら。
このまま前に進めるが、彼らに待ち受ける光景に。
思わず足を止めてしまった。
「――――――」
美しい月の光に照らされて、海の様な神秘さを感じさせる草原にじゃない。
この先にある大きな街が、大きな戦火に包まれている事に対してだ。
「……ひどい」
アイリスも酷く、驚いている。
顔も青ざめいる。
「……ッ!!」
遅かったのか。
それだけで済ませない。
絶望するのも後だ。
「――――シャドウくん!」
きっと無事だと信じて、彼は走り出す。
これ以上、悲しい思いをさせたくないから。
仮想世界・エリア《始まりの街》
《カーディナル・ミッドタウン》
そこはもう、阿鼻叫喚の地獄だった。
「キャアァァァァ!!!」
「うわぁァァァァァ!!!」
肉を引き裂く音が聞こえないだけで、マシだが。
それでも結構エグい惨状を語っている。
「…………!!」
見るも見るも、見るも。
ほぼ皆殺しだ。
「……っ!」
敵が、軽銀歩兵が気付く前に。
群がる方へと、走っていく。
――――――すると。
「オラァァァァ!!」
「――――」
とても、聞き覚えがある声が響く。
敵が宙を舞っている。
「――――どーよ、俺の力は!!」
その先にいる、自慢げにしている。
見た目こそ、違うけど。
あの少年は、彼の親友の――――――
「――――クッシー!!」
彼の叫び声で、少年は気付いた。
「――――」
一瞬だけ眉をひそめたが、少年の驚いた様子を見せる。
「相棒か!?」
「……あぁ。そうだ。お前の相棒だ」
あの呆けた顔が、逆に安心する。
周りのプレイヤー達に味方だと手を上げ、クッシーは彼らの元へと歩み寄る。
「いーや、マジで。マジで心配したぞ、オイ」
「まーな。こっちも心配したけど」
相変わらずの表情変化に忙しい奴だな、こいつは
「て言うか、マジで便利だな。そのアダ名」
「え、あー。そうだな。マジで便利だよなー」
その後で、表情が歪む。
「ん? ちょっと待って? オマエー、言っちゃったなー。本名混じり、言っちゃったなー」
「……すまん」
ナイフみたいな目で、見ないで欲しいと思う。
「いや、いいよー。こっちも緊急事態だったし」
軽い感じで受け答えし、手を胸に。
正確には、《手甲》を胸に置いて、自己紹介をし始めた。
「とりあえず、俺の名前はオズな。〝双拳のオズ〟、そう呼んでくれれば良い」
クッシー、いやオズは、アイリスに手を差し伸べる。
「よろしくー!」
「え、あ、はい! アイリスです! よろしくです!!」
そう慌てた様子を見せて、アイリスは手を握り返す。
「うん、うんうん!」
何か頷いている。
「カワイーね、アイリスちゃん!!」
「ふぇ!?」
はじまった
「もし、良かったら。この後デートでもよろしいかしら?」
「え、えっと……〝でーと〟って、何でしょうか……?」
「あれぇ? 何か通じてないよー?」
「オイ……」
いい加減にしねぇと、前からも後ろからも刺されるぞ、コイツ
「うーん……」
そんな呆れに気付いてないのか、オズは勝手に悩み出して。
「やっぱり、君みたいな娘を、ほっとく訳には行かないよ」
こんなキメ顔で言っていた。
いつ死んでもおかしくない、状況の中でだ。
「あ……あぅ……」
アイリスは顔を真っ赤にして、照れている。
お嬢様だからか、天然だからか。
理由は分からないが。
「…………」
話が進まない。
無駄な犠牲が増えているので、もう修正しよう。
「オズ、冗談はそこまでだ。いい加減にしろ」
「えー、なんでー。おっぱい大きな娘をナンパして、何が悪いのー?」
「――――」
「悪いも何も、恨み事に発展したらメンドクセーって話だよ」
「えー」
「えー、じゃない。状況も考えろよ」
もう違う意味で、頭が痛くなりそう。
とりあえず、彼はアイリスに話しかける。
「アイリス、今襲ってる奴――――あ」
「? どうしたー相棒ー?」
そして、目にする。
激しく怒りを燃やしたアイリスを。
「……へー」
「あ、あれぇ……?」
「…………」
端から見れば、オズが悪いが。
まさかここまで、アイリスが怒るとは。
マジで冷や汗が止まらない。
「軟派、ナンパねー」
あの笑顔、本気で怖い。
「つまりワタシは、軽々と、〝求婚〟されたと」
「あ、あのぉ……」
こいつ、終わったな
ご想像にお任せします
次もお楽しみに!!