第一章-16 協力するESCAPE
すみません、大変長らくお待たせいたしました!!
本編、再開いたします!!
「――――〝モンスターハウス〟か!!」
「ええ!? 何、〝もんすたーはうす〟って!?」
どこか常識外れのお嬢様は置いといて、は出来ないか。
「……〝ダンジョンRPG〟の超定番。ある意味の《即死部屋》だ」
「え? でも、生きてるよ?」
簡略化した説明に、アイリスが首を傾げている。
「言ったろ、超定番って。普通にドシンプルに、モンスターを大量に配置した。湧かせた部屋の事を〝モンスターハウス〟って呼んでんだ!」
「!」
流石にここまで言えば、アイリスも気付くだろう。
だけど、大声を出した所為で。
『――――――!!』
『キャキャキャキャ!!』
「……!!」
モンスター達が一斉に、襲い掛かってきた。
二人はバラバラになって、全てを避け。
「ぐ……!!」
《宝剣》を頼りに、全ての攻撃を叩き落とす。
「――――それって、つまり!!」
アイリスは冷静に、一発ずつカウンターを決めて。
「ワタシ達は今、〝魔物の棲家〟に入ってしまったって事!?」
「そう言う事だ!!」
ダークオーク・トレント達の猛攻を防ぎ切る。
『オォ……!!』
彼が斧で木を伐採するかの様に。
「……ふぅぅ……!!」
《 R . P . G . C 》で、ダークオーク・トレントを薙ぎ倒す。
「……アァ!!」
レベル差。
しかもそれに合わせて、《宝剣》も成長していく。
『――――オォォ……!!』
次々と襲いかかるダークオーク・トレント達を、彼は一掃していく。
「――――――」
でも、無数に敵が現れ続けている現状だと。
このままでは、いずれ体力が持たなくなる。
『――――――』
強行突破を仕掛けたいが。
蔓の様な触手の猛攻により、避けて討つのが精一杯。
「……っ!!」
何度もパリィを繰り返し、何度も敵の攻撃を避け続ける。
そして徐々に、真っ直ぐに。
『――――!?!?』
「――――」
敵を押し込んでいく。
「……っ!」
敵の数が減る。
手数が減る。
恐らくアイリスだ。
『――――!?』
『――――ッ!』
恐らく、無自覚的に。
自分は、《超能力》を使っているかも知れない。
「……ふぅぅぅっ……!!」
余裕の思考。
脳に巡る冷気。
それら全ての感覚に――――――
「――――――」
《答え》を、裏付けていた――――――
『――――――!?』
バキャァァッ!!!
「……すごい」
気付けば、目の前にいる敵を全て消滅していた。
〝モンスターハウス〟に、大きな穴を開けていたんだ。
「…………ハァァァ……!!」
大きく熱のこもった息を吐き捨て、振り返る。
どうやら敵のスポーン地点から、切り抜けた様だ。
見向きもしない。
『――――ウォォォォォォッ!!』
「……ううっ!」
その代わり、アイリスが逃げれなくなった。
「…………」
このまま見捨てるのも手だが、これは悪手だ。
幸い小休止できたし、後ろから薄い所を不意打ちで叩ける。
「……すぅっ」
だから少し、頭を回す。
常人じゃ使えない〝領域〟。
――――――〝超能力〟を、使用する。
『――――ッ』
『――――?』
それは誰も気付かない。
「――――!!」
一瞬で現れ、手も根元も全て。
全て、薙ぎ倒す。
『――――――』
もはや判断、理解の範疇を超えたのだろう。
何も反応せず、砕け散った。
「……っ! シャドウくん!!」
コウモリに埋もれているけど。
「……チッ!!」
まだラッシュが続いているけど。
「来いよ、アイリス!!」
この手を振りほどくには、まだ早い。
二人で生き残れなければ、絶対トーカを。
妹を、救える筈がない。
「……ッ!!」
敵の猛攻から、必死に潜り抜けて。
アイリスは彼の手を、掴む事に成功した。
「……くぅッ!!」
敵のテリトリー、ギリギリだったけど。
少し攻撃が飛んできたけど。
何とか〝モンスターハウス〟から、抜け出す事に成功したのであった――――――
次回、ファーストイベント編
6月19日、開幕。