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《OCO》-オブシディアンクリスタルオンライン-  作者: 仲元心影
第一章 『月夜の世界から始まる黙示録』
36/46

第一章-11 〝人〟としてのNATURE

本当に遅れてしまって、すみませんでした!!


今回から話が急展開にしていきます!!


それでは皆様、ご覧ください!



「……何でもねぇよ」

 そう言って、彼は辺りを見渡した。



 月明かりが綺麗キレイに周りの風景を映し出している。


 暗いかげの様な色をしたオークの木々と、内側に広がる草原の波。



 ここで戦闘が()()()()()()、思えないくらい。


 自然()()が広がっていた。



「………………」

 やはりあのテロリストは〝消滅しょうめつ〟しただろうか。


 どこにも見当たらない。


 あの〝()()()〟も、〝弾痕だんこん〟も、〝白い血痕けっこん〟も。


 何もかも、無かった。



「…………」

 するとアイリスは、こんな事を言ってきた。



「あの人は……消えちゃった」


「…………」



罵詈ばり雑言ぞうごんを吐きながら……死んじゃった」

 とても悲しそうな声で、泣きそうな顔で。


 言葉をつむいでいる。



「何で、何でこんな事になったのかな? 同じ――――〝ひとがた〟なのに……」



「…………」

 そんな事を言っても。


 そんな大粒の涙を、ポロポロとこぼしても。 


 どうしたって、何も《()()()()()》のに。



「〝人〟だからだよ」


「……っ」

 だから、口が開いた。




「〝人〟としての同族どうぞく嫌悪けんお。または本能的に〝他人ひと〟を、《天敵》として〝認識〟しているからだ」


「……え?」

 アイリスは眼を丸くしている。



「〝人〟は《闘争とうそう本能ほんのう》のかたまりだ。〝他人たにん〟を使う事を覚えた奴らだけが成り上がり、〝()()〟を起こしまくる」



「……ッ!?」

 その言葉が禁句だったようだ。


 アイリスは真っ向に反論する。



「そんな事はないよ!? 〝人〟は――――〝人間〟は、変われ――――」



()()()()()



「え……!?」

 驚きも、怒りも、すべて。



「精神も、思考も、人格も、《命》すら殺せる。どこまでも下等で、おろかな〝人類じんるい〟しかいねぇんだよ……!!」


 彼にとって不快にさせる、材料でしかなかった。



「……シャドウ、くん……」


「――――――」

 哀れみとか、手を伸ばすとか、止めてくれ。


 《過去》を思い出すから。



『――――――』

 ノイズが痛い。


 トラウマが脳内をきざみ、走り回っている。



「……じゃあな」


「………………」

 アイリスから離れないといけない。


 そんな嫌悪けんあくかんが、あふれ出したから。



 彼は、この場を後にした――――――――






黒開こくあれき5年7月27日


仮想世界・《暗黒の森》の山奥やまおく




 アイリスから情報を聞き出す事に失敗した彼は、一人で〝O・D・モバイル〟を頼りに歩き出していた。




「…………」

 一応、目的地としてした場所に向かってはいるが。


 ざっくり言うと、めちゃくちゃ遠い。



「…………」

 どれだけ歩いても、一向にまちかりが見えない。


 何でこんな所に飛ばされた理由は――――――見当けんとうがついている。



 恐らく、アイの《干渉かんしょう》によって、スタート地点がズレたんだろう。




「…………」

 時間を確認する。


 午前7時56分。


 自分が起きた時間は最低6時だと、脳内で処理する。



「――――――」

 ようやく、自分の気持ちにケリが付いた。


 手に持っていた《宝剣ほうけん》――――――アイテム名《R. P. G. C. 》を抱え、走り出そうとした瞬間。



 〝誰か〟の反応が引っかった。



「……ッ!?」


 テロリスト!?



 プレイヤーなのは確実。


 〝誰か〟がゆっくりと、そして速く動いてるから、〝機械きかい〟のプレイヤーではないのも確か。



 そう考察こうさつを巡らせ、彼は《R.P.G.C》を構えた。



「――――――」


 ズキ……ッ


 《ちょう能力のうりょく》が使えない。


 冷や汗が止まらない。


 そう息を飲んで、こちらに近づく反応を迎え撃とうとする。



「…………」

 接触せっしょくする。


 その直前で止まった。



「…………」

 なぜ止まったのか。


 不意打ち狙いなのか。



 よく分からない。



「…………」

 このままじゃあ、らちが明かない。


 このまま回復した、《アクションスキル》を叩き込もうと構えると――――――



「……あ、待って!!?」


「ッ!?」

 見知った、と言うか十数分前に聞いていた。


 そんな声が、聞こえた。



「《アクションスキル》は、叩き込まないで……。ワタシ、味方だから……!」

 そう言いながら、両手を上げたアイリスが出てきた。


 片手に《朝型あさがた》を持ち、暗い色の木々から出てきたって事は。



「……つけてきたのか、お前」


「あー……。ウン、ツケテキタ」



「何かあっただろ、オイ」



 言葉どころか、アイリスの視線がズレたぞ



「確実に何かあっただろ! 何、隠してる!? 言えや、ゴラァ!!」



「えっ!? いや、だって。シャドウくん、メチャクチャ怒ってるんだもん!! 言ったらメチャクチャ怒るんだもん!!」



「怒るって、やっぱ何かあっただろ!!」

 自ら墓穴をりに行くスタイル。


 本当にアイリスの中身は、子供だった。



「誰だ、誰あった!!?」


「ッ!?」



「そうとしか、考えられねぇよ!!」



「………………」

 そう指摘すると、アイリスはうつむいてしまった。



「…………ッ」

 少しずつ、イライラしてくるが。


 この短期間で、アイリスをここまで向かわせる〝人物〟は誰かについて―――――少しだけ、()()()()があった。



 それを口に出そうとした瞬間、アイリスから先に口が開いた。








彼女から出た言葉とは?


次回の更新日は27日か28日です


お楽しみに!!

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