第一章-5 覚醒するOVERSKILL
読まれている、どうするか?
この状況から脱するには、彼女の存在が必要不可欠だ
無力化、された……!!
〝アクセス権限〟が、《術式》が、攻撃を消している。
拳銃をそのまま、彼に向かって弾を飛ばす。
「……ッ!」
とっさに刀を盾にする。
そして、割れた。
ガ、キャアァッン……!!
「――――!?」
しま――――!?
思考が、遅れる。
2発、足に被弾する。
「ぐ……!!」
力が入らず、思わず倒れてしまう。
「……終わりだ」
拳銃が向けられる。
頭部に――――――
「――――!!」
やられる!!
そう理解した瞬間、目の前が真っ暗になった。
「待って!!」
同時に、アイリスの声がした。
少し遅れて、彼が目を瞑っている事に気付いた。
「……な……!?」
目を開けると、そこには白銀の髪が揺らいでいる。
アイリスが庇う様に、彼の前を立っている。
「――――ッ」
少し躊躇、動揺している。
「何で――――何で、こんなヒドイ事を!」
アイリスは訴えている。
到底、受け入れる事がないのは明白なのに。
「………………」
だから、こんな〝行動〟に出るのだろう。
動揺していた天烏兵に通信が入る素振りを見せる。
「……うっ……」
ようやく彼の足が、痛みに慣れてきた。
力が入る様になって、後ろに注意を向く。
「――――――」
軽銀歩兵達の目が、点滅している。
何かを、〝命令〟を。
受け取ろうとした様に、光る。
「…………っ」
「……ねぇ、答えて。〝人〟は――――〝ワタシ達〟は、一体何をしたの!?」
叫びは無効。
銀の銃口どもは、一斉に光を帯びる。
「――――伏せろ!」
「あぁ!!?」
とっさにアイリスを押し倒して、銃弾の雨から身を守った。
「……ッ」
コイツら……別の方法で、アイリスを……!!
「………………」
睨む、両者。
そして、火縄銃を向けてくる。
「……! 立て!!」
「う……!」
砲撃での壊滅。
それを防ぐ為に、アイリスを強制的に立ち上がらせる。
「……その手を放せ、〝異端〟!!」
天烏兵は咆哮を上げ、光を放つ。
「……ぐぁ!!」
「きゃあぁ!!」
すぐに走っていたから、直撃は免れた。
でも、衝撃波で体力が削られていく。
「……ぐぅぅッ……!!」
転がって、立ち上がって。
内側から《力》を、引っ張り出す様な感覚で。
自発的に、《力》を発現させる。
キィィィィィィン!!
「ガッ……!」
「……ッ!?」
引っかかる動作を見せるエネミー達。
「また……!?」
アイリスもまた、それらに含まれる声を上げる。
「――――――」
それでも彼は、全てを滑る様に。
頭から〝何か〟、抜け落ちていく。
「……〝呪力〟が……!?」
火縄銃から、光を放っている。
そこから緑色の結晶が、砂粒が零れ落ちていく。
「――――――」
でき、た……!!
〝全能感覚〟と呼ぶべき品物。
不細工と評する使用方法。
ただ、垂れ流しているだけなのに、こんなにも。
「――――――」
役立つ《チートスキル》なのだろうか。
「……ここまで〝障害〟が……!?」
火縄銃から手を離し、ただ茫然と立ち尽くすアンドロイドを見て。
天烏兵は高度を落とし、呟く。
「………………」
〝自分〟に酔っている。
〝全能感〟がコードの様に絡まって、うまく動かせない。
「〝術式〟なしの刀身ならば!!」
着地、からの抜刀。
「――――――」
〝走馬灯〟が見えない。
自我のせいで、同時には出せない。
――――――クソッ
このままでは死ぬ。
そう思った矢先、銃声が。
「――――伏せて!!」
声が響き渡る。
「ッ!?」
斬る寸前で回避行動に移る天烏兵。
アイリスは《アクションスキル》を発動していた。
ガガガガガガガガガッ!!
「……ッ」
彼の目の前に、銃弾の雨が降っていた。
「――――く」
一旦距離を置く事に成功し、ようやく〝全能感〟から解放される事になる。
「……できた……!」
どこから、いや持っていたライフルを、アイリスは出していた。
煙を吹いていて、初期の武器《朝型》。
「……〝生命端末〟か……!?」
それに驚いてる様に見える天烏兵。
「――――〝魔法コード〟・〝Aq - 31〟」
彼は生まれた隙を逃さない。
もうひとつの〝初期魔法〟を唱える。
決死の〝魔法コード〟、効果は何を詰め込む?
次回もお楽しみに!!
更新日は24日と25日です