序章-2 始まりのGAME
ちょっと遅くなりましたが、活動報告を書きます。
午後の1時に出します。
どうか見てください。
黒開暦5年7月17日
午前10時51分
大阪城公園・市民の森
あれから十数分が過ぎた。
祭りのせいで、殆どのテーブル席やベンチが埋まっている広場。
皆はそこにいたが、ちゃんとベンチに座れた。
買ってきたソフトクリームを食べて、ご機嫌なミッチーは口を開いた。
「それでは、〝VRゲーム・事前攻略会議〟を始めようと思います!」
それは、開会を宣言するものであった。
「オー!」
クッシーは手を、歓声と共に上げた。
メイは無言だが、笑顔で拍手していた。
「…………そうだな。始めよう」
対象的に、彼は不機嫌だった。
ソフトクリームを食べながら、ため息をつく。
理由は、財布の4割以上が無くなったからだ。
「じゃ、何話す?」
クッシーは買ってきたポテトを食べながら、問いかける。
「そうねぇ……」
すると、ミッチーは考え始めた。
どこから話すか、少し迷っている様だ。
「……じゃあ、〝VRゲーム〟に使うハードについて、お話しします」
少しの間で考えて、ミッチーは答えた。
「オー!」
「………………」
クッシーはまた手を上げ、メイは笑顔でまた拍手する。
「……ハードって……」
その言葉に反応して、ポケットからスマホ機器を取り出す。
そして、公式サイトを開いて検索する。
「これだろ」
それを見つけたので、その画面を見せる。
そこに写っていたのは、黒いフルフェイス。
バイクで使われそうな、黒いヘルメットだった。
「次世代ゲームハード、〝転生機〟。別名、《トランス・ポータブル》」
画像に写る、物の名前を言った。
「これを使って、〝ベータ版〟に参加したんだろ?」
「うん。そうだけど……」
その質問に、ミッチーは頷いた。
「……て言うか、お兄ちゃん! アタシが説明しようと思ってた事を言わないで!」
でも、すぐさまミッチーに怒られた。
「う……すまん」
話しすぎたか
そう反省しながら、謝った。
今日で3回目の謝罪である。
「むー」
またミッチーに睨まれている。
「………………」
しかもミッチーの背後に、メイも冷たい視線で見てくる。
何とも言えない、居心地の悪さを感じた。
でも、そんな状況だからこそ、思わぬ助け舟が出てきた。
「アッハハハ。まぁ、許してあげようよ。ミッチー」
クッシーだ。
笑いながら、そう取り成してきた。
「とりあえず、話を続けようぜ~」
「…………分かりました。話を続けます」
するとミッチーは、少し膨れながらも説明を続ける事にした。
メイの視線は冷たいままだが、さっきよりマシだ。
「……悪い」
あのままだったら、説教を喰らっていたかもしれなかった。
なので、小声で感謝を伝えた。
「いいて事よ」
クッシーは、軽い笑顔でそう返した。
そんな短いやり取りが終わる時には、ミッチーの話は再開する。
「もうお兄ちゃんに言われたけど、アタシはそのハードで〝ベータ版〟に参加していたの。確か、その時の名前は……エレイン。ランキングでは8位のはずよ」
「え? そんなに強いの?」
その説明に、素で問いかけるクッシー。
「……マジか……」
〝ベータ版〟の参加者は、約千人。
その中で、第8位の強さを持っていた事に驚いた。
「……公式サイトにも……ちゃんと、載っている……」
そんな中で、メイはスマホ機器を見せてきた。
「え? 出てるの?」
「え?」
なぜかミッチーが知らない事に、メイは思わず声が出た。
それは当然なのだが、それはともかく。
メイのスマホ機器を3人で見てみた。
そこに写っていた画面。
確かに、〝ベータランキング〟だった。
確かに、エレインの名前があった。
確かに、8位だった。
「……うわ~、本トだ~」
これを見て、軽く驚嘆するクッシー。
「……て言うか、どこにあったの? このランキングページ」
「……スペシャル、ページの……所だけど……」
司会であるミッチーからの質問に、苦笑いで答えるメイ。
「あ…………見落としてた……」
ミッチーは気まずそうに、頬をかいた。
そんな会話を他所に、彼は自分のスマホ機器で〝ベータランキング〟を探す。
エレイン、妹の名前を見つけては思った。
……まさかオレより、強く……なっていたのだな……
どこか、置いてきぼりになっていくのを感じた。
それが、寂しいと言う感情なんだろう。
「それじゃあ、どこまでゲーム進んだんだ? ミッチー」
「……それは、後で話します」
クッシーの質問を受け流すミッチー。
「まず、《転生機》についての話よ!」
そして本題に戻す。
「あ、忘れてた」
「忘れないでください」
「………………」
クッシーにツッコミを入れるミッチー。
こっちも驚きの事実で気をとられ、ちょっと忘れかけていた。
「とりあえず、ハード交換に必要な物を振り返ります」
ミッチーはそう言いながら、2つの物を手に取った。
1つは〝VRゲーム〟の参加チケット。
そして、もう1つはスマホ機器だった。
「参加チケットと、〝O・D・モバイル〟」
2つの物の名称。
その中の1つ。
スマホと同じ機能を持つ、O・D・モバイル。
〝前暦〟――――5年前のスマホより容量が大きいのが、最大の特徴だ。
「これらを忘れてないよね」
と、笑顔で言ってきた。
「……はい……」
「持ってるぞー」
「……ある」
メイから順に、チケットとモバイルがある事を報告した。
全員持っている事を確認すると、ミッチーは言った。
「じゃあ次は、ハード交換について話します」
攻略会議、続く
来月見てくださいね