第一章-4 後退のMAGICCODE
名前を告げる―――――
恨み辛み、混ざった名前。
声が、顔が、怒りに満ちている――――――
「シャドウファクター。この《世界》を、終わらす〝人間〟だ」
「…………」
何か、怯えた様な眼差し。
彼の怒りが、アイリスに伝わってしまったかの様に、反応した。
「――――」
言ったろ
だから、〝優しくない〟
そう結論付けた瞬間、マップが反応した。
「……!?」
二人が反応する。
高速に向かってくる!?
飛んでるのか!?
そして、銃声が鳴り響く。
カァン!!
ドゴォン!!
「ぐわぁ!!」
「きゃあ!!」
直撃はしなかったが、反動は食らった。
「……ぐぅ……!」
地面が抉れてる。
もはや、砲弾だ。
「げほっげほ……」
「――――困りますよ、〝アイリ様〟」
「「!?」」
上から聞こえてくる。
見上げると、黒い翼を生やした〝テロリスト〟がいた。
「――――ッ!」
《天烏》!!
無謀にも、刀を構えてしまう彼。
「………………」
「あまり勝手な事をされると、キルア様が怒りますよ」
「…………」
わざとらしく、独特なヘルメットから目を逸らすアイリス。
「……やっぱ、知り合いか」
「う……」
その態度、気に入らない。
都合が悪くなったら、黙る姿勢。
イラつく。
「…………」
「睨むな、下郎」
黒い翼を羽ばたきながら、怒りを発する。
「…………」
「お前があの〝人神〟である事は知っている」
「え?」
アイリスが変な声を出していたが。
「だから、ここで排除するかどうか、迷ったが」
その右手に持っていた、火縄銃の様な銃器を。
銃口を向け始めた。
「邪魔をするのであれば、排除するのみ」
「……ッ!」
来る!!
天烏兵から放たれた銃弾は、〝普通〟ではなかった。
ゴォン!!
「くっ!!」
それ単体で、砲撃ができてたから。
何らかのチートアイテムか!!?
先ほどの攻撃も、天烏兵による物だと理解する。
「ううっ……!」
「……おっと」
天烏兵は銃口を上げた。
「死なせたら、まずいな……」
ボソッと呟いた。
「……チィッ」
勝てない。
今のままでは、勝てない。
だから――――
「……オイ、お前!!」
「!」
「逃げるぞ!!」
アイリスの手を強引に引っ張って、森の中へと走り出す。
「わあ……!?」
少し戸惑った様子で、彼の足並みを揃える。
「……っ」
飛んでいるなら、森の中では動きにくいであろう。
さらにあの砲撃も、アイリスも巻き込むから撃ちにくい。
だから、次の一手は――――――。
「……《軽銀歩兵》が来るよ!!」
アイリスが叫ぶ。
後ろに銀色の光が、緑色の眼光が複数灯しながら。
こちらに向かって、接近してくる。
「《軽銀》!? やっぱアレ、アルミか!!」
「え? アル……何!?」
「はぁ!? 知らねーのかよ!?」
どんな箱入り娘だよ!?
「え!? あ、知ってる知ってる! 大丈夫だよ!」
そう言ってる顔が、信用ならねー!!
人間不信とかの以前の問題である。
嘘つきの顔と言うか、焦って首を振るアイリスが当然、怪しく見える。
『………………』
軽銀歩兵たちは一向に、発砲する気配がない。
それどころか、接近戦で片付け様としている。
「…………!」
思考は、結論は。
アイリスにとってテロリストは、〝ボスの関係者〟である。
恐らく、身内。肉親の可能性もある。
そしてあの、キルアの――――――
「――――チッ」
ストレスで、舌打ちが漏れる。
「………………」
アイリスを連れて、簡易マップを見ながら。
勘を頼りに、知恵を振り絞り。
行き詰まらない様に、彼は動く。
彼が有利に動ける、場所を探して――――――
「――――ッ!?」
森が抜ける。
薄い明かりが、こちらを招く様に。
「ハァ……ハァ……!」
アイリスの体力の限界が来ている。
「……〝魔法コード〟」
誘き寄せられている。
そう感じて、〝最初の魔法〟を唱える。
「〝Fa - 22〟」
左手から刀に。
《炎》を、流し込む。
纏わせると同時に、森が抜ける。
広い。
闇の草原が、広がる。
「――――終わりだ」
降下して、拳銃を突き付ける天烏兵。
――――その手を読んでいた!!
「《ファイアーソード》!!」
「きゃあ!?」
走っていた彼女を転ばして、炎の斬撃を飛ばす。
「……読んでいる」
見た目では対抗不可の拳銃。
それでも、発砲する。
ボコォッ!!
「――――――」
無力化、された……!!
読まれていた、なのか……!?
次回もお楽しみに!!
更新日は27か28日です
PV2500超えました!
ありがとうございます!!