序章-1 始まりのEVENT
プロローグだけでこの1ヶ月、アクセス数100人突破しました!
興味を持ってくれて、ありがとうございます!
少し早いですが、ちょっと書き方変えます
主人公のカズヒサの名前をセリフ以外出さない様にします
では、序章・『始まりの現実』
祭り編、始まります
黒開歴5年7月17日
大阪城公園某所
今は〝VRゲーム〟、《オブシディアン・クエスト・オンライン》正式サービス開始記念イベントが開催されていた。
屋台が多く立ち並び、和風BGMが流れていて、そこかしこにテレビが設置されている。
世界初の〝VRゲーム〟に参加する為、又は一目見ようと多くの人が訪れていた。
でも、イベントだからか、浴衣や制服、コスプレで来る人もちらほらいた。
これはもう、夏祭り状態だ。
でも、その方がこちらの都合がよかった。
ゲームを参加する前に、イベントを楽しみたい。
それだけの都合だった。
歩いて数分。
皆は出店に寄りながら、ある話題で盛り上がっていた。
もちろん、〝あの〟話題である。
「いや~、もうすぐだよな! 世界初の〝VRゲーム〟!!」
ワクワクし過ぎて、明らかにテンションが上がっているクッシー。
「うん! 楽しみだね!」
ミッチーも同じだった。
目を輝かせながら、言っていた。
「………………!」
メイから発言する事は無かったが、こくこくと頷いていた。
彼女なりに『楽しみ!』という事だろう。
「……そうだな」
そんなテンションを抑えながら、肯定する。
自分までテンションが上がったら、絶対面倒事になるからだ。
「だろ!!」
クッシーは勢いよく振り向き、指を差された。
「スゲー時代だよな! ただ宝石で〝仮想世界〟を作っちまうなんてよォ! もはやSFだぜ、SF! 〝近未来時代〟到来だぜ、相棒!!」
「……あ、ああ……」
もはやハイテンションになっているクッシーに対し、彼はこう思った。
普段は軽々しいバカなのに、こういうのだけ熱いんだよなァ
しかもそれ、ファンタジーにもなってるけどな
もう面倒事になっている気がした。
「ちょっと、ノリが悪いよお兄ちゃん!」
するとミッチーが話に入ってくる。
「もうすぐ〝ゲーム〟が始まるから、何か言うことないの!?」
ハイテンション
て言うか、若干キレ気味だ。
……もうすぐって言っても、まだ一時間以上あるぞ……
気のせいではない。もうなっている。
面倒事が。
「お……落ち着いて、ミーちゃん……」
ミッチーをなだめようと、メイは話に入ってくる。
「……ボクは……、話を……聞いた方が……いいと思う……。ミーちゃんは、〝ベータ版〟に……参加していたから……」
「それよ! アタシの言いたかった事は!」
口下手だけど、メイの提案に喜ぶミッチー。
「あ~、確かに! 攻略に有利なるからな!!」
クッシーはテンション高めに、賛同する。
「……ありがと、メイちゃん」
「………………」
ミッチーはさりげなく、笑顔とお礼をメイに送った。
それにより、メイは嬉しそうだった。
「……そうだな。〝ベータテスター〟の知識は役立つ」
これには賛成だ。
メイの言葉で思い出したが、ミッチーは先に〝VRゲーム〟の先行体験をしていたのだ。
〝ベータ版〟とは言え、攻略には絶対有利になるはずだ。
「教えてくれ、トーカ。後でソフトクリームをおごるからな」
さっそくそう頼んだ。
でも、本名をうっかり言ってしまった。
「ミッチィ!」
ミッチーは膨れて、注意を受けました。
「う…………悪い」
しまった、メンドーなミスを……!
つーか、兄妹なのにアダ名ってどーよ
後悔と文句が、心の中に浮かんだ。
このまま怒られる。
そう思っていたら、急にミッチーはため息をついた。
「……もういい。許す」
「え?」
なぜかあっさり許してもらえた。
でも、ミッチーはそっぽを向いて理由を吐いた。
「どーせ、祭りに舞い上がっていただろうし」
イヤ、それお前
なんて言葉が出そうになったが、確実にキレられるので抑えた。
これはもう、不機嫌な状態だった。
「あ~あ、相棒が怒らした」
クッシーはこの状況を面白がっている。
こいつ、他人事だと思って……!
そのお気楽な発言が一番腹立つ。
「……えっと…………〝ゲーム〟の……話、は?」
メイはミッチーの機嫌を直そうと、話を戻した。
少し、苦笑気味だったが。
「……そうだね。話さないと」
すると、膨れた顔から真面目な表情に切り替わった。
さすが、優等生だな……
トーカの機嫌を取り戻すとは……
「でも、その前に」
ミッチーがまた、不機嫌そうな顔に戻った。
その様子に、嫌な予感がした。
「お兄ちゃんがソフトクリームをおごってくれるよね?」
なぜかミッチーは問いかけてきた。
「……あ、ああ……」
その質問に頷いたら、笑顔になって言った。
「じゃあ、おごって。全員」
「全員!?」
その予感は当たっていた。
ミッチーだけおごるつもりだったが、なぜか皆におごる事になってしまった。
「……いいの……?」
「いいよ、いいよ! お兄ちゃんが全部おごってくれるから!」
メイは遠慮するけど、ミッチーが勝手に話を進めていく。
「ちょ、何勝手に……!」
このままだと財布に大ダメージを受けてしまう。
だから、話を止めようとした。
だが、クッシーに遮られた。
「アハハハ、諦めろ相棒」
クッシーは、手を肩に乗せながら言った。
「また怒らせたくないだろ~」
「……くっ」
全くもって、その通りだった。
また怒らせたら、非常に面倒臭い事になるのは確かだ。
こちらが言葉が詰まった所で、ミッチーから声をかけられた。
「お兄ちゃん」
……来るな
「チョコミルク、2つね♡」
可愛くウィンクして、注文してきた。
予想してたが、ウィンクするのはどうだろうか。
「と言う訳で、俺はチョコでよろしく~」
クッシーからも注文してきたと思ったら、どこかへ歩き出した。
「オイ、どこ行く?」
「皆のポテトを買いに行く~」
軽い感じで返して、クッシーは行ってしまった。
「じゃ、お兄ちゃん。後で〝市民の森〟辺りで」
「………………分かったよ」
結局、ソフトクリーム4つで千二百円払いました。
カズヒサ、損する話でしたね
次回、VRゲームの話です
来月更新しますので、楽しみにしてください