序章-16 始まりのFINISH
5話くらい続く戦闘が終わります
どのように決着が着くのか
どうか、見届けてください!
「……始めよう」
そう呟き、ユイは走った。
彼等に被害が及ばない様に。
「――――ああ、そうだな!!」
その呟きに答え、コクトは振りかぶる。
「――――――」
ユイはコクトの刃を透過しながら、回り込む。
「……ッ!」
コクトは予測していた。
振った刀を後ろに持っていく。
ブン!!
風切りの音。
背後を取って、銃を向けるユイに、コクトが銃口を斬り付けた音。
透過された音。
結果的にミスに見えたけど、ユイは撃たなかった。
「――――――」
ユイの視線。
「――――――」
コクトの視線。
どちらも表情が見えない。
見えないけど、どちらも殺意の感情がある。
殺意の鍔迫り合い。
どう倒すかと言う、空気が包まれる。
「……」
空気がピリつく。
彼はそう感じた。
「――――ふん!!」
一瞬の間が空き、先に動いたのはコクト。
コクトはユイの懐に入り、刃で斬り裂こうとする。
「――――――」
その動きに反応して、ユイはバックステップをする。
でもバックステップでは、刃を避けきれない。
当然の結果として、ユイの身体に刃が入った。
そして、ユイの身体にダメージは入っていなかった。
「………………」
接近戦に持ち込まれるが、ユイには何も問題はなかった。
照準をコクトに向ける。
だが、コクトは一瞬でユイの後ろに移動した。
「――――っ!」
動揺し、くらつくユイ。
「……!!」
隙を突き、コクトは斬り付ける。
「くっ……!」
ユイの服にダメージが入る。
そして、苦痛の表情を浮かんだ。
「な……!?」
アイツ、一瞬で……
彼は動揺する。
何も躊躇もなく、自分自身で透過させた!?
そして状況整理をした。
ユイはわざと地面に転がり、距離を取ってから体勢を整える。
瞬時に銃を構え、発砲。
カァン!! カァン!! カァン!!
発砲のタイミングを合わせて、コクトは刀を振るう。
ガキン!! ガキン!! ガキン!!
銃弾を叩き斬ると、コクトは素早いステップを繰り出す。
普通の人では無理な瞬間移動。
すると同時に、コクトは振り下ろす。
「……」
ユイは受け止めようとしたのか、左手にある銃を上げた。
そして、受け止める事なく透過した。
「――――?」
コクトが感じる、一瞬の違和感。
「……私の〝後輩〟は――――」
「……!?」
その言葉。
その単語。
ユイの言葉に、ユイの左手に意味がある。
それに気付いたコクトは急いで前を向く。
ドッ!!
気付くのが、遅かった。
前を見た同時に、発砲音が鳴り響く。
バキャッ!!
「ぐぁッ!」
コクトは直撃する。
吹き飛ばされる。
「――――!」
彼は振り向いた。
銃声がある方に。
「……!!」
そこにいたのは、ガードマンの女性だ。
ライフルを構えながら、こっちに接近していた。
ドッ!! ドッ!!
追撃の2発。
「ぐっ!」
読まれる。
吹き飛ばされ、膝立ちで踏み止まる事を。
それに狙って、右肩を撃った。
「がはッ!!」
そして、止めの一撃。
コクトの自身の体勢が本格的に崩れた。
「――――結構天才的ですから」
ユイは倒れるのを見て、立ち上がって、言った。
そして、コクトに銃を向けた。
「…………ッ」
マスクが完全に壊れてなかったので、コクトはかろうじて生きていた。
「……終わりです」
身体を起こすコクトに、ユイは言った。
「目的を言ってください」
手短に脅迫するユイ。
「……あぁ、目的?」
コクトの声が潰れている感じがした。
もう倒れる寸前だろう。
「そうだな……」
その状態で、その声で言った。
「我々の〝戦場〟だ!!」
瞬間、立ち上がった。
カンッ!!
発砲した。
ガッシャァン……!!
当然のヒット。
当然の破損。
当然の、飛沫。
「――――」
コクトは死の道を選んだ。
あくまで口を割らないつもりだろう。
でも、コクトは、笑っていた。
青い光と黒い血。
放つ身体と共に、落ちていった。
「………………」
彼の沈黙。
周りの沈黙。
「……」
沈黙に、ユイは銃を降ろした。
「……」
ガードマンの女性は、ユイの後ろに立った。
「状況……教えてもらいます、ユイ先輩」
真剣な眼差しで、ガードマンは問いかける。
「もちろん、貴女の事も、全部」
「……」
その質問に、ユイは顔を向けた。
「………………」
そして、彼は思い出す。
妹の安否と言う、不安と焦燥を。
「――――ッ」
終わっても、まだ混沌がある
更新日は25日か26日です!
次もお楽しみに!!