序章-11 始まりのREVERSE
PV1000人突破!!
そして、もうすぐ一周年!!
もう1話ずつでは「VRMMOじゃないよね?」と言われるので、出来るだけ更新頻度上げます!!
では、本編をご覧ください!!
「無駄だ」
天烏兵Aがそう吐き捨てた瞬間、世界はスローになった。
「――――――」
彼の脳に追い付いていないと語る、微動の世界。
なぜそうなったのかは、分からない。
考えられない。
思考も置いて行かれてる。
でも、原因は見えた。
天烏兵Aから放たれる〝抜刀術〟だ。
周囲の動きは減速しているに対し、天烏兵Aの抜刀する動作だけは、普通に動いている。
それだけ速い、熟練した〝抜刀術〟なのだろう。
そんな斬擊をまともに食らえば、死ぬ。
絶対絶命だと言う、本能からの警告が彼の脳に伝わる。
ガッキィン……
刀の刃と、黒い警棒が交じる音。
遅く、長く鳴り響く。
無意識に、かつ一瞬で正確に、軌道を読み取ったガード。
これは防げたと、思える手応え。
しかし
グググ……
相手の力が強い。
強すぎる。
まるで、〝化物〟の様な強さだった。
「――――――」
ゆっくり、ゆっくりと。
彼は押されていく。
〝峰打ち〟だからか、何なのかは知らない。
でも、確実に押されていく。
そして、世界は元に戻った。
ゴシャァッ!!
「ぐはぁっ!!?」
彼は一瞬で吹き飛ばされ、地面に激突する。
「……!?」
「お兄ちゃん!!」
メイの動揺と、ミッチーの叫び。
「……あ、がッ……!」
地面にリバウンドされ、遠くに転がされた、彼のうめき声。
身体中に悲鳴をあげている。
激痛が走ると共に、理解した。
〝あの現象〟を。
あれは脳が〝加速〟していたのだ。
一種の走馬灯。
そう言えるべき、事象なのだ。
「あいぼ――――」
クッシーの声。
ドゴッ!
「ぐはッ!!」
キックした音。
それと同時に、地面に転がる音も聞こえた。
「……クッ……シー……」
これだけ聞こえれば、分かる。
クッシーは蹴り飛ばされた。
大勢の人が地面に伏せているので分からないが、遠くに飛ばされた事は事実だ。
……コイツ等……〝人間〟、なのか……!?
人とは思えない力。
軍人上がりでも、そこまで力はないはず。
何かしら、ドーピングでもしないと。
「……」
『これは〝魔術結界〟です。〝術師〟か、それを媒介とする物を壊さないと解除できません』
彼の脳裏に過った。
数十分前の、ユイの言葉を。
……そう言う事か……!
そして、分かった。
天烏兵達の正体を。
「……〝魔術師〟……!」
その答えを、口にした。
「違う」
その答えを聞いたか、天烏兵Cは歩み寄って言った。
「君達の言葉で表すとすれば、こうだ」
その答えは、錯覚めいた間違い。
テロリストが語る答えは、冗談の様な言葉。
「〝鬼〟――――――それが答えだ」
「……何だよ、それ……!」
その答えは信じられない。
ましてや、テロリストの言葉。
到底、信じられない。
怒り任せに立ち上がろうとする。
だが、誰かに足で押さえ付けられた。
「ぐっ!?」
「――――無駄だ。君達、子供ではな」
仮面越しでも分かる、余裕の笑み。
余裕の声を出す天烏兵Cは、さらに言葉を続ける。
「たった今、援軍が来た」
「!?」
その言葉に動揺した。
強い絶望も感じた。
「《天烏》の方には6人。《義勇軍》には5人だ」
突き付けられる、絶望的な現実。
「その中の1人は、私だ」
踏みつけているテロリスト、天烏兵Dは言う。
「計16人。もう逃げられないぞ」
「……ッ!!」
その余裕が、悔しい。
怒りが込み上げてくる。
どうしようのない感情が、徐々に冷静さを奪っていく。
「――――いや、13人の間違いか」
「!?」
まさか――――――
「イヤァァァァァァァ!!」
ミッチーの悲鳴が聞こえた。
聞こえたから、彼はそこに視線を向ける。
そして、見た。
ミッチーからメイを引き離す、その瞬間を。
「は、放して! ミーちゃんを、放して!!」
メイは必死に訴える。
捕まえられた天烏兵Eに抵抗している。
「あまり、抵抗するなよ……」
でも、怪物じみた力で離してくれない。
「助けて! 助けて、お兄ちゃん!!」
泣きながら、手を伸ばすミッチー。
「……ミー……!!」
彼も堪らず、手を伸ばした。
届かないのは、分かっているのに。
思わず、手を伸ばしてしまう。
頭にトラウマばかり過ってしまう。
悪い方に考えてしまう。
そして、そんな悪い方向に転がってしまう。
「くっ、コクト!」
ミッチーを押さえ、どこかへ連れていこうとする天烏兵Fは呼ぶ。
呼ばれて来たのは、天烏兵A。
「あまり、手を煩わさせないでください」
天烏兵A、コクトはお札を取り出す。
そして、暴れるミッチーの額に貼り付けた。
「!?」
ミッチーの動揺。
「〝起動〟」
コクトは指を2本立てて、唱えた。
「……ッ!?」
すると、ミッチーの身に何か異変が起きた。
「〝連鎖・御霊・禁縛〟」
「……あ、あ……」
コクトが詠唱する度に、ミッチーは苦しそうな声が漏れ、身体が震えている。
まるで、硬直した身体を無理に動かそうとする様に。
「……ミー……!?」
一体、どうなって――――――!?
「《封印呪法》」
そしてコクトは、2本の指を札に向ける。
その指から青い光が飛び、札に繋がる。
「《魂縛術》」
その単語を口にすると、コクトは指を引いた。
引いたから、青い光の糸が伸びる。
「……あぁ!?」
その瞬間、ミッチーは反応した。
まるで、急に身体を強く縛られる様に。
「あ……」
そして、ミッチーの瞳に理性の光が消えた。
「ミィィィィィィィィィィィィ!!!」
彼は妹の名を叫ぶ。
青い光の糸が切れると同時に、ミッチーは天烏兵Fの方に倒れ込んだ。
「すまん、コクト」
「……行け」
天烏兵Fとコクトのやり取り。
それを済ませると、天烏兵Gと天烏兵Hと共に、ミッチーをどこかへ連れ去った。
「……お前等ァ、ミッチーに何をしたぁぁッ!!」
クッシーの叫び。
義勇軍兵Dに動きを封じられているにも関わらず、無理やり動かそうとする。
「ぐっ、何てパワーだ!?」
思わず、その言葉を漏らす義勇軍兵D。
「ちゃんと押さえてくださいね、先輩」
そう言いながら、義勇軍兵Bはクッシーの方に歩み寄る。
「これは〝魔法〟だよ? 国重様」
「ああ!?」
義勇軍兵Bの言葉に、イラ立ちを覚えるクッシー。
「〝魂の拘束魔法〟っていえば、理解できると思うね」
「……!!」
そんな説明に、クッシーは少しだけ納得した。
納得したから、また怒りが込み上げてくる。
でも、彼はそんな説明を聞いてはいなかった。
「――――――」
ただ、ミッチーを連れ去ったテロリスト達の方向を見ていた。
真っ白になった頭に、黒いトラウマが徐々に染み込む。
「……〝人〟の言い方では、そうだろう」
コクトの言葉。
「だったら、お前等全員ブッ飛ばしてやるぞォ!!」
その言葉を火種に、再び暴れるクッシー。
「チッ、こいつ!?」
何とか押さえる義勇軍D。
「……はぁ」
義勇軍Bのため息。
「あのね。俺はクルキで、押さえてる人がハルト先輩。あっちが――――」
「うるせェ、どーでもいいンだよ!!」
呆れ口調で紹介する義勇軍B、クルキに対して怒り、叫ぶクッシー。
「うおぉぅ……。デジャブ……」
それに恐れるクルキ。
「……その通りです」
そして、ミヤギは発言した。
「国重様の言う通り、こんな事をしている暇はないのです」
そう肯定しながら、彼に近づく。
「今から、彼を殺さなければなりませんから」
そう言って、彼に銃口を向けた。
落ちる絶望。
迫る危機。
そして、彼は…………!!?
次回の更新は9月の28と29日です!
更新頻度を上がる様に、頑張ります!!