プロローグ
初めまして。
僕の名前は仲元心影。
発達障がい者だけど、がんばります。
これは僕のデビュー作品だけど、作るのが時間がかかりました。
設定で一年、本文は半年以上かけて作りました。
なので、コミカライズを目標にがんばります。
さぁ、始めましょう。
これは彼の、彼等の黙示録という名の物語へ
日本、大阪府
JR大阪城公園駅
今を見れば古い印象を持つ電車から、フードした少年が降りた。
夏なのに、薄いパーカーに長いズボンを着ていた少年は、スマホと似た機器を取り出し、画面を見た。
表示されていた時間は、10時25分。
少年は時間を確認したら、そのままその機器を操作しながら歩き出した。
降りる人からなる、雑踏。
その中に、少年は入っていった。
この時に表示されていたのは、少年が集めた、スクラップブック。
古い記事をスクロールし、眺めた。
―――――西暦2018年12月30日
<あらゆる災害に対策を>
そう天皇陛下が言って、〝暦〟が発表された
オレが生まれる12年前の事だ。一般的に考えても分からないものだ
だけどオレは、それは建前だと理解していた
なぜなら、汚職事件起ころーが、戦争が勃発しよーが、「予想外で対策できませんでした」の一言で済まし、武力行使する奴等だからだ
こんなずさんな対応に、ある大災害によって終止符が打たれた
西暦2041年7月10日
富士山噴火によって関東地方全滅した災害、《日本大災害》が起きたからだ
死者・行方不明者37万以上出し、日本に莫大な被害をこうむった
しかもその中には、天皇陛下も含まれていた
日本の経済は止まり、大混乱に陥ってしまう
そんな絶望が漂う中、ある宝石が発見された
それは、普通の黒曜石とは違い、ある特質があった
その特質は、電磁記憶が出来てしまうこと
これを機に経済が復活し、皇后陛下は〝暦〟を変えた
<黒闇の中から開く希望の宝石>
〝黒開暦〟と
新しい時代、幕開けだが、
オレは、黒色の始まりだと思う
なぜなら、汚職があったからだ
それで、母は死んだ
親父は人殺しで、汚職のせいで母は死に、それを咎めない国
だからオレは、他人を信じない
だからオレは、この世界は間違っていると叫びたい
だからオレは、こんな小綺麗で、残酷で、不実な世界から出たい
そして歩みを止めた。
いつの間にか、駅に出ていた。
そこは、少年の目的地である、大阪城公園の入り口。
公園は、〝あるゲーム〟のイベントが開催させていた。
いくつもの屋台が立ち並ぶこの場所で、少年は、空を見上げた。
だから行かせてくれ
オレ達が夢見た世界、《α-02》へ
そして、手を伸ばした。
そんな思いを巡らす中、突然
「お兄、ちゃーん!?」
少女が無理やりフードを引っ張ってきた。
「うおッ!?」
突然の出来事に驚いて、体勢を崩してしまう少年。
でも何とか転ばずにすんだ。
「何だよ、トーカ」
「何じゃないお兄ちゃん!!」
少年の後ろにいた少女は怒っている様子だ。
「フードは付けないでって、いつも言っているでしょ!」
「……悪かった」
「本トに?」
「……ごめんなさい」
「なら、よし!」
前がM字に分けたオカッパの少女はすぐに笑顔に戻った。
この少女の名は、安東 十一。
キュートな制服調のワンピースにフラワーの髪飾りといった、かわいらしいイメージがあった。
そして、このV字の短髪少年の名は、安東 二一。
トーカの兄であった。
「……あ」
トーカは何か、思い出した。
「外にいる時はミッチーって呼んでって、いつも言っているでしょ」
「……分かった」
そう言うと、カズヒサは歩き出した。
「本トに? もうっ」
トーカ、いやミッチーは膨れながらも、兄の傍に駆け寄った。
そして、腕に引っ付いてきた。
まるで、カップルの様に。
「………………」
なぜ?
こんな単純な疑問しか出でてこない。それほど、心に蟠りが溜まっていた。
「……? どうしたのお兄ちゃん」
苦笑していたカズヒサに違和感を感じたミッチーが問いかけてきた。
「いや……いつも思うが、なぜ引っ付く」
「え~、いーじゃない! 兄妹だし♡」
さっきより笑顔になるミッチーに対し、カズヒサは少し、悪寒を感じた。
そんな会話をしながら、噴水がある広場へと向かった。
普段は待ち合わせ場所に最適だが、今は人が多すぎて逆に向いてない大阪城公園噴水。
キャキャ、ガヤガヤとしてる中、見知った声が聞こえた。
「オーイ、相棒! ミッチー!」
その多くの来園者の中に、手を大きく振っていた天然パーマの少年と、大人しい女児が小さく手を振っていた。
「……クニシゲ」
「オーイ、メイちゃーん!」
カズヒサ達は少年達の元へと近寄った。
左から順に、天然パーマの少年の名は、梓 国重。
ラフな半袖Tシャツに半ズボンといった、一般的に服装だが、デザインは奇抜だ。
「……オイ、何だその〝1999・The・END〟って。〝世紀末〟じゃねんだよ」
カズヒサはTシャツの柄についてツッコミを入れる。
「いや相棒も同じだと思うよー。パーカーの下に〝五芒星・現在の西暦〟って言うものねー」
「オイ、ヤンキースタイルに言われたくねーよ」
「どっちもどっち…」
2人の言い合いに核心を突く女児、いや少女。
この少女の名は、花山 命。
髪型は肩にかかるくらい長さのハーフアップ。
大人しそうな印象だが、ゴスロリ風のツーピースに麦わら帽子という、印象に反した服装だった。
「ヒドイ!!」
「……ちっ」
これにて2人の言い合いは終わった。
「あ、お兄ちゃん、ちっはダメでしょ!」
よけいなお世話だ
ミッチーの注意にそう思った。
「……ミー……ちゃん……」
メイは不馴れそうに、ミッチーを呼んだ。
「? 何、メイちゃん?」
やっと兄の傍を離れたミッチーは、メイの前に立つ。
「……チケット……持って……きた……の?」
「うん! ちゃんと持ってきたよ!」
ミッチーはそう言うと、ポケットからチケットを取り出す。
それは、〝あるゲーム〟の参加チケットだった。
「一緒に攻略しようね、メイちゃん!」
「……はい、ミーちゃん……」
なぜだろう? 手を繋いで見つめ合っている妹とメイを見ていると、何か、胸騒ぎするのは
「メイちゃーん。ミッチーと〝一線〟越えちゃダメ。マジでダメだから」
軽薄そうにダメ出しするクニシゲ。
「……変態」
「何で!?」
メイの八つ当たり発言でショックを受けるクニシゲ。
「あー、不機嫌になっちゃったよ、クニシゲさん」
「えっ!? 俺のせい!? 俺のせいになるの!?」
ミッチーによるフォロー発言で、どんどん仲間入り外れ状態になっていくクニシゲ。
「どーでもいい。いくぞ」
最終的に聞き流すカズヒサは歩き出す。
「えっもう終わりっ!? 反論の余地は!?」
トドメを刺されたクニシゲ。
「うん、行こ!」
「……お先に……変態さん……」
ミッチーもメイも歩き出した。
「ちょっ何で変態扱い確定してるんだよ!! クッシーだよ!! ちょっとォ、待ってェ!!」
涙目のクニシゲもあわてて後を追いかける。
ハァ……うるせーなァ……
―――――――黒開暦5年7月17日
偽善で、不条理な闇がうごめく、《α-01》と言う名の世界
その世界で生きるオレ達は、ある〝VRゲーム〟に参加することになっていた
世界初の〝VRゲーム〟
歪んだ政治や世間のせいで、さまざまなトラウマを抱えるオレ達にはうってつけだった
でも、そこからが始まりだったんだ
この世界を揺るがし、
星と星を巡る事となったゲーム
傷をえぐり、刻まれ、
殺し合っていくデスゲーム
傲慢で、理不尽な神々に支配された仮想世界で、オレは、
ある白銀の少女と出会った
全てが変わったこのゲームの名は、
《オブシディアン・クエスト・オンライン》
―――――この時のオレには、分からなかった
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回の更新は来月です。
未定ですか、また見てください。
そして、気に入ってくれるなら、ありがたいです。