表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

絵画の店 ローライ家

 11


「エナ、まずは仕事の半額を持っていきなさい。約束通り一割は貰う」

「一週間前の客のだね」

「そうです」


 クリスチャー、金貨十数枚見せ。

 エナ、目つきスケベになり金貨受取る。

 マーガレット、金に執着する我が子頭押さえ。


「どうした、マーガレット」


 エナ、マーガレットを見て、不思議顔。

 

「エナお前は、カネと結婚する気か!」


 マーガレット、呆れる。


「カネは全てだよ」


 エナ、真顔で答え。

 マーガレット、ムッとする。


「まあまあ、お二人さん。ここまで! 自分の居ない場所でお願いしますよ」


 クリスチャー、笑う。

 珈琲、一口飲むとエナに言葉発する。


「エナ、情報提供お願いします。まず銀貨一枚です」


 銀貨一枚、小さなテーブルに一枚置く。

 使古された銀貨は、黒く変色す。

 年期入。

 それでも、銀貨は銀貨。

 エナ、それを見て頷き、少し視線落とす。

 マーガレット、何かはじまるのか? そんな感じで静観す。


「昨日、午後、グレン市長の奥さんが店に来た。要は占いの客だ。表に執事とボディガードを連れてな。太ったババアで、椅子か壊れそうだった」


 占いの相手、暴露す。

 エナ、昨日の相手、市長の奥さんだった。

 

「ババアの浮気相手に、奥様に戻ってきます! とか派手にやった」

「ほう、それで?」

「ソレだけさ。おもしろい、情報はなかった。強いて強調するなら浮気している。カネをちらつかせてな。本人は愛情を見せてるだけらしいけどさ」


 エナ、呆れるながら言葉発する。

 菓子を一口食い、珈琲飲む。

 クリスチャー、銀貨を引っ込め、首横に振る。

 これではやれない! 無表情だ。


「今回はこんな所さ! 銀貨はないか……仕方ない」


 エナ、諦める。

 おそらく、ダメとわかっていた様。

 

「今日、あっさりしてます。どうしてですか?」


 クリスチャー、笑いながら言葉発す。

 エナ、いつもなら、ゴミみたいな情報も粘りに粘り、カネ要求する。しかし、ない。

 

「簡単さ、理由は二つ。一つは本当に話題がない。だから諦めがある。二つ目は……」


 エナ、マーガレット見る。

 マーガレット、眉を顰める。

 クリスチャー、頷いた。

 どうやらマーガレットの手前、猫を被った。

 

 次にエナ、机に金貨一枚置く。

 クリスチャー、少し驚く。


「いきなり金貨とは。その理由は?」


 クリスチャー、警戒心丸出しにす。


「まず、隠れ家の紹介して欲しい」


 エナ、いきなり言葉発する。

 マーガレット、びっくりしている。


「おい、エナ!」


 マーガレット、ハスキー声上げ。

 エナ、マーガレットと瞳を合わせ。

 真剣な眼差しのエナに、何か言葉発したかったようだ。しかしし、まかせる。


「いずれバレるから、こちらから教えておくよ。実は昨日、俺の家で襲撃があった」

「ほう」

「国の兵士達だと思う」


 エナ、昨日の事を話出す。

 クリスチャー、瞳輝く。かなり興味深々だ。テーブルにある一枚の金貨を返す。 

 

「金貨一枚分の出来事を教えてください」


 クリスチャー、言葉発する。

 エナ、マーガレットを見た。


「かまわない、ここまできたら続けろ」


 マーガレット、珈琲飲む。

 冷めたソレには、少し酸味が加わる。しかし喉を潤すには少なく一気飲み干す。


「マーガレットの珈琲お替わりをしますね」

「かまうな、続け……」

「ありがとう、頼むクリスチャー」


 クリスチャーの申出、マーガレット拒否するも、エナ受入る。


「エナの願いを聞きますね」


 クリスチャー、椅子から立上がる。するとエナ左瞳の視線クリスチャーに向けた。鮮やかな赤い光線、クリスチャーの背中を捕らえる。

 マーガレット、それを見て少し驚いた。

 

「エナ、お前……」

「マーガレット、後で話す」


 エナ、マーガレットを制す。

 クリスチャー、台所に行くまで数秒くらい。しかしその数秒でも心にある情報が欲しい。


『国が動く? ローライ家でなく、エナとマーガレットに?』


 クリスチャー、台所に消える。

 エナ、光線切った。


「エナ、お前何をした」

「俺の赤い瞳は、人間の心を見る事出来る。気づかれないように注意は払っている」


 エナ、手の内を教える。マーガレット、びっくりしている。まさか、そんな表情が顔にある。


「ローライ家? あの大商人の?」


 エナ、ポツリと言葉発する。

 マーガレット、それを聞いた。

 そこへクリスチャー、珈琲を持って来た。


「お待たせしました。さて、続けましょう」


 クリスチャー、笑顔で珈琲カップを置いた。

 するとマーガレット、いきなり言葉発する。


「ローライ家、どんな連中だ」


 いきなりだ。

 そして懐から金貨一枚を置く。それは昨日、グレン草原の羽振りいい男から奪いしモノ。金袋には数切れない金貨眠る。


「やり方がわかった。では、私も遊びたい」


 そう言葉発するマーガレット。なんだか爪弾きされ、気に入らない。

 クリスチャー、笑顔絶やさず。


「ローライ家、グレン市の『泥商人』』の親玉ですよ」

「泥商人?」


 マーガレット、頭捻る。


「大血の血液は泥になっています。その泥に私達人間は(すがって生きています」


 クリスチャー、言葉発する。

 マーガレット、ふうん。そんな感じ。

 興味なし。


「マーガレット、金貨仕舞え。そんな連中の話なら、俺でもできる」


 エナ、不快感抱く。


「では、最新の情報を教えましょう。マーガレット。どうします」


 クリスチャー、言葉発する。


「聞こうか」


 マーガレット、即答する。

 

「よろしい、これは本当にホットな情報です。昨日ですが、ローライ家の次男がグレン草原で殺されたそうです。それも数人の護衛隊と共にです。全滅だったそうです」

「それで?」


 マーガレット、平常心。それが心当たりあったとしても。


「それだけ、ですよ。さて、金貨どうします?」

「やる」


 マーガレット、短く言葉発する。

 クリスチャー、金貨取上げる。


「ありがとうございます。それにしても、かなり羽振りいい金袋ですね。エナのお母さんはお金持ちですね」


 クリスチャー、嫌らしく笑う。

 何か見透かさした! そんな表情に、エナ警戒心持つ。

 

「エナ、金貨一枚下さい。カライ地区のゴンに連絡をつけます」

「カライ地区、スラム街のアイツか」

「はい」


 クリスチャー、髪掻き上げエナ見る。

 

「仕方ない、ゴンを頼る」


 エナ、ため息吐く。

 行きたくない。

 そんな表情だ。


「決まりだな」


 マーガレット、椅子から腰上げる。

 終わった。

 そんな感じだ。

 エナ、もう少しやり取りしたかった。しかしマーガレットに従う。

 珈琲飲み干す。カップを置くと、椅子から立上がりマーガレットに頷いた。


「また、来てください」


 二人が店を後にする。

 店から消えたのを見ると、あっ! そんな表情浮かべる。


「国、グレイグ軍の事聞きそびれましたね。まあ、グレイグ陸上解放軍か? グレイグ陸上護衛軍か? はたまた私の古巣、情報工作隊か? まあ、二人はまた来るでしょう」


 クリスチャー、笑う。

 つなぎを取り絵画の仕事再開! だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ