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絵画の店 流行病

 10


 少しして、珈琲カップ三つ、菓子少々。

 脇腹に黒く薄い箱のようなモノ持つクリスチャー、現れる。

 小さなテーブルに、珈琲カップ、菓子、黒薄い箱、「失礼します」言葉発しクリスチャー座る。

 カップには、珈琲がある。菓子はスポンジ状で砂糖をふんだんに使用、そして黒薄い箱を開く。半分に折れているそれは、たくさんのキーボードを下にして開くとそこにパネルがある。


「半分に折れ曲がってる箱? いや箱にしては? なんだそれ」


 マーガレット、言葉発する。

 黒薄い箱、マーガレット目につける。


「これは箱ではありません。『ノートパッソ』と呼びます。高度文明の遺産でスリムより便利らしいです」


 クリスチャー、ボタン押すとパネル光始める。

 

「太陽の光で、動くらしいです。先程まで日なたぼっこしてましてね」


 クリスチャー、キーボード押し、パネルセットする。

 エナ、赤い瞳を輝かす。

 ノートパッソ、見る。

 クリスチャー、笑いながらため息一つ。


「また、子供みたいに」

「それ、凄いから」


 エナ、満面の笑み。

 マーガレット、興味なし。

 なんだか、疎外感。

 マーガレット、顔には出さない。しかし不快。

 

『私をバカにしてるだろ』


 心で呟く。

 顔は敢えて無表情。

 エナ、マーガレットの様子おかしい事わかる。

 怒り気味と、わかってしまう。

 

「マーガレット、退屈? 別行動する」


 エナ、言葉発する。

 マーガレット、エナ見る。

 少し考え、首横に振る。


「私はお前の保護者だ」


 言葉放つ。

 

「保護者?」


 クリスチャー、そのやりとり不思議顔。

 二人どう見ても、恋人同士に見える。

 体格的には、エナより若干マーガレットが大きく映るが、これもありだと納得。


「エナ、マーガレットさんでしたか。二人は恋人同士ですか」


 思いを軽く口にする。

 エナ、少し狼狽えた。

 信用するだろうか? そんな感じに狼狽える。

 エナ見たマーガレット、ため息一つ吐いた。

 

「保護者、つまり母親だ。私は特別体質で、歳重ねるのが遅い。これでも四十。もうすぐ一つ歳重ねる」


 マーガレット、代弁す。

 エナ、アハハッ、そんな感じで笑い。

 少し冷や汗流れ。

 しかしクリスチャー、顔全く変えずマーガレットに言葉発する。


「マーガレットさん、貴方の変異体はそれですか?」


 どこか確認する様に。

 マーガレット、クリスチャー見ながら少し警戒す。

 

「私の変異体?」

「少しお時間いただきますよ。エナ、いいかい」


 クリスチャー、エナを見る。

 エナ、珈琲を一口飲む。

 苦い水、全く酸味がないソレ、喉に流して首縦に振る。

 構わない! そんな感じだった。


「ありがとう、エナ。さて、マーガレットさんでしたか?」

「ウザい、マーガレットでいい」


 マーガレット、髪に手をあて掻き上げる。イラつきが顔に出る。

 クリスチャー、それを見て笑う。


「すみません、ではマーガレット、今から何百年前に、高度文明と呼ばれた時代があったのを知ってますか?」

「高度文明、聞いたことはある。今の私らが使うモノ全てが、高度文明の遺産だろ」


 マーガレット、言葉発する。

 クリスチャー、頷く。


「では何故、高度文明が滅びたかは知ってますか?」


 クリスチャー、珈琲一口飲む。

 

「さあ?」

「口挟むよ、マーガレット、流行病だ。これは聞いたことある。聞いただけだけどさ」


 エナ、マーガレットに教える。

 マーガレット、不思議顔。


「ごめん、クリスチャー」

「はいはい、そう、エナの言う通りです。しかし、ではエナに聞きましょうか」


 クリスチャー、エナを見る。

 エナ、受けて立つ! そんな表情だ。


「流行病は間違いありません。しかし普通の流行病とは違います。どんな流行病か、わかりますか? 例えば何に流行った病か?」

「えっ? 生物だろ」

「違いますよ」

 

 クリスチャー、無表情で否定する。

 エナ、少しムッとした。

 左瞳、少し輝く。

 使用して、心の中を見ようとす。

 しかし、思いとどまる。

 ここは、我慢した。


「普通は生物を指します。エナ、間違っていません。しかしこの流行病は人間はおろか、生物にも感染してません」


 クリスチャー、ノートパッソ操作する。

 あるフォルダーを選択すると、『高度文明大説明』なんて文字パネルに浮かぶ。


「この説明はウザイですから、僕がわかる範囲で言いましょう。高度文明大説明、ここに記載されている事を述べるだけですがね」


 クリスチャー、珈琲飲む。

 予想外に薄い珈琲に、顔顰める。

 

「薄い珈琲でした。少し恥ずかしい」

「なあ、クリスチャー、流行病は人間でないのか?」


 エナ、眉顰め聞く。

 

「はい、違いますよ。高度文明が滅んだ流行病、実はノートパッソ、スリム等、つまり高度文明のアイテムが病気になったんですよ」


 クリスチャー、ノートパッソを親指で指しながら言葉発する。

 エナ、びっくりしてリュックを開き、スリム見る。

 

「スリムなら私も持ってる」


 マーガレット、スリム見せる。


「ほう、庶民の超高級品が二つも!」


 クリスチャー、驚く。


「クリスチャーのノートパッソ、それは?」


 エナ、ニヤつきながら言葉発する。

 クリスチャー、大笑いする。


「確かに!」


 そして、笑い続ける。

 笑い治まると、説明を始める。


「この道具には人間と同じく、脳味噌があります。この脳味噌のおかげで高度文明の人間は、大いなる発達をしました。しかしある時! 世界中のこれらの脳味噌が異常を起こしました。そしていろいろな、災いをもたらして高度文明は滅んだ」


 ここまで、言葉発するとエナとマーガレットを見た。

 エナ、興味深々。

 マーガレット、意味分からず口が、への字。


「このアイテム、確かに凄まじい。しかしながら、何故アイテムが病気になり高度文明が滅んだかはよくわかりません。高度文明大説明は、大説明、なんて謳ってますが中身が薄く。滅んだ理由はわからない。ただ間違いなく、ノートパッソ、スリム、これらに関係あります。そして、変異体も大きく関わってるようですが……」


 クリスチャー、厳しい瞳を二人に見せる。

 エナ、笑いながら菓子を食う。

 マーガレット、未だによくわからない。腕組み眉顰め。


「さて、雑談さておき、エナ! 流行病、変異体の話は次の機会にしましょう。これからはビジネスと行きましょう」


 クリスチャー、舌を舐めずる。

 ソレを見エナ、こちらも小悪魔の如く微笑み。

 興味ないマーガレットだったが、二人の雰囲気が変わった事で少し瞳力篭もる。

 ようやく、本題に入る様だった。



 




 

 


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