朝
7
血の惨劇、朝。
国からの追っ手、ない。
見目平穏。
「エナ、起きろ」
マーガレット、エナに言葉発する。
エナ、ゆっくり目蓋開き赤目、周囲捕らえる。
何時しか眠り。
「おはよう、マーガレット」
体起こし、虚ろむ。
マーガレット、タンクトップに短パン姿。
色は上、青。
下、赤。
体の歪な線、強調させ。
「服、替えた?」
「ああ、貸して貰った」
マーガレット、言葉発する。
「飯、あるぞ。食っとけ」
二人の普通の会話。
しかしここ、昨日襲撃あり。
その時、三人、葬去るのはこの二人。
エナ、俺はなし崩しだ! それを強調していたが。
その後、疲れて眠ってしまう。
本来なら、そこを捨て逃げるのが普通。
しかし度胸があるのか、鈍いのか、はたまた場慣れしているか。
エナ、この部屋出れば、襲撃三人の死体放置され。
ちなみに一人は灰になり、血みどろ二人。
「早く食卓へ来い、そこに用意してある」
マーガレット、言葉発する。
エナ、ため息混じりに、従った。
食卓近くに、死骸が転がっていようとも。
エナ、食卓座り飯、見る。
パン、即席スープ、ベーコン、ニシンの酢漬け。
量少し多め。
エナ、ため息混じり一口食す。
あんな後でも、食える神経、やはり只者でなし。
それを出すマーガレットも然り。
「美味い」
心ない言葉、そんな美味い。
手抜感、際立つ。
そのまま食える、はたまたエナの作り置き。
マーガレット、世辞でも料理得意ではない。
しかしどこか嬉しい様。
二人きり。
家庭、これに程遠い。しかし人肌どこか良く自然と笑顔零れ。
しかし死骸と目が合い、食欲鈍る。
飯半分残す。
すべて食えず。
多少多い飯量原因か、はたまた訴えかける死骸の開いた瞳孔に食う意志そがれたか?
マーガレットそれを見、これでいいと頷く。
半分食べれば、十分。
少し多めに、出したと後悔。
飯後、資料部屋に入る。
そこにある二つの箱、マーガレットの目につく。
一つはエナ、手から外さず。
それ鍵掛かり、金貨、銀貨、眠るヤツ。
箱大きめで、尚且つ、重い。
エナ、鍵開けて中身見せる。
自慢げな姿、子供が親に褒めてもらう様。
しかしマーガレット、「確かに金は必要不可欠」そう言葉発し、どこか苦い顔。
マーガレット、自分の金貨銀貨、自分で管理しようと心に誓う。
エナ、カネの執着凄すぎる。
少し見たくない一面だ。
しかしそこで、マーガレット、もう一つの箱の中、注目した。
スリム、カード。
この二つ、昔、高度文明栄えし頃のアイテムだ。
文明滅んだ今でも、かなり重要な存在。
マーガレット、コレに大変満足す。
「この二つ、私が管理していいか?」
マーガレット、懇願する。
「俺も使うぜ。共有ならいいけど」
エナ、共有強調す。
マーガレット、頷く。
二つ箱から、取り出そうとす。
しかしエナ、首を横振り。
「このまま、保管だ。レイガスから言われた。理由はわからん」
エナ、言葉発する。
マーガレット、変な顔する。しかしレイガスの名、これを聞いた。
従う。
彼女にとって、レイガスは特別存在。
今でも、只ならぬ……詮索は避けよう。
とにかく、従うことにする。
太陽が高くなる。
二人はこのままでは、ダメ!
ここから出る事、話合う。
とは言え、マーガレット。
「少し待て、私の味方が来る。それまで、辛抱」
笑いながら、エナにウインク。
しかしエナ、気に入らない。
何故なら「出る」、この意味相違。
マーガレット、グレン市を出るの事。
対しエナ、この家を出るの事。
つまり、グレン市から離れない事。これに拘り。
「エナ、私と、レイガスを探そう。ハッキリさせておく、レイガスの魔力なくなった状態でお前は五体満足にいられない。国に捕まり、レイガスの替わりに処刑有り得る」
マーガレット、厳しく言葉発する。
エナ、たじろぐ。
しかしエナ、よく考える。答は……面白くない。
マーガレット、出現から悪い方へ傾けている。
しかし、マーガレットにぶつける事、躊躇う。
理由。マーガレット、いい女だから。
例え母親としても。それに歳すら感じさせない。
それでも、エナ、グレン市から離れないを強調。
「そうか、エナ、わかった。それならここにいろ。お前にはとんでもない災難降り懸かる。それでわかるだろう。一応私は横に居てやる。我が子を助けるのが務めだからな」
マーガレット、顔ニタつかせエナを見る。
彼女、口にせず心でほざく。
『賽は振られた、それだけ』
心の引き出しに、仕舞う。
エナの左瞳、輝きなし。
もしこの事、読んでいたらどうなったか?
「とにかく、外へ出る」
エナ、不愉快そうに言葉発する。
マーガレット、それ見て顔綻んだ。
仕方ない、そんな風に。