馬借り
エナ、マーガレット、カライ地区目指す。
カライ地区、グレン市の西。
貧民街、犯罪者多数、治安悪し。
二人、馬借りギルド、ここまで歩く。
ライム地区からカライ地区、歩くとかなり時間取る。
そのため、馬借りする。
今、二人歩く。
人通りやはり多い。
「カー、あればなあ」
エナ、しみじみ言葉発する。
カー、高度文明の最大技術の一つ。
脚、四つの車輪あり。
それ回転させて、カー動く。
カー、軟鉄にて造られ、ボディそれほど強くない。だからと言って鉄は鉄。固くはできているが、鋼鉄よりかなり弱い。
コレに大地の血液から採れる、『ガスリ』で動く。
ガスリ、別名、『短気水』と呼ばれる。本来、水ではなく油。しかし短気水で通る。
「まあな」
マーガレット、心ない言葉。
エナ、ムッとした。
しかし、少し思う。
『マーガレットはどうやって、俺の所まで来た? 歩くにしては遠い。まして街にくるにはかなりの時間がかかるはず』
その思い、心に留め。
口にしない。
「エナ、お前の能力は、右瞳の光線だと思っていた。しかしそれだけではないのか?」
マーガレット、先程の事触れ。
「俺の左瞳は、人間の心読む事ができる。あの光線がそれになる。因みに右瞳の光線は強く照射すると燃やす事できるけど、上手く調整すれば、相手の未来が見えるんだ」
エナ、自分教える。
マーガレット、驚き隠せず。
「わかった、やはりレイガスの息子だな。もちろん私の子供でもある!」
マーガレット、抱寄せ頬刷り、エナ、迷惑な顔し離れる。やれやれそんな表情。
周囲の男、迷惑そうに羨ましそう眺めていた。
エナ、マーガレット、ライム地区にある馬借りギルドに到着した。
ギルドに行けば、無料貸してくれる。
街の真ん中、馬小屋ある。
少し不思議な空間。
「おかしな場所だな」
マーガレット言葉発する。
「まあ、こんな場所さ」
エナ、慣れた言葉。
馬借りギルド、人間造りしそれなりの大きさの草原地帯あり。それも街の中にいきなり。そこに数頭の馬が暮らす。ギルド内には馬房がたくさんあり。しかしここが満杯になることはない。理由は必ず馬一頭に馬房一つ。そのため敢えて多めに馬房をおく。
そんなギルドのため、かなりの土地必要とす。
グレン市ライム地区四番目、この住所一帯すべてこれ。
因みにグレン市、いくつか馬狩りギルドあり。大地の血液から儲ける金、それで成り立つ。
ギルド内、エナ、マーガレット、入る。そこには多数の馬房世話する人間存在す。
身なりあまり良くなく、しどろもどろ、そんな仕事している。
テキパキしている輩も一応、二人確認す。
一人は馬糞をリアカーに積み、もう一人は馬房から馬を連出している。
馬慣れしている様。
しかしその他連中、馬に蹴らそうなバカ、飼い葉与えられない臆病者、馬にブラシできないヤツ等々。
「馬の使い方知らないのか?」
マーガレット、呆れる。
「こいつら、日雇い労働者さ」
エナ、言葉発する。
マーガレット、納得する。
日雇い労働者なら、上手く行かなくても説明つく。
ここの主、ろくに仕事指導せず、適当働かせ。
「さて、借りようぜ」
エナ、受付に行く。
マーガレット、後追う。
受付には正装した男がチラホラ。
すべて、グレン市の役人。
利用する人間に、高飛車上から目線激しい。
エナ、マーガレット、一人の役人に「馬二頭頼む」と言葉発する。
頭薄い高飛車態度の役人、やる気なさそうに頭上げ、二人吟味する。
「身分証明書出せ」
言葉発し、臭そうな息吐く
エナ、身分証明見せる。
男、「フン!」気に入らないと、ソレ投げ返す。
エナ、それ無口で受ける。
顔に出さない。しかし赤い瞳、男への軽蔑視色濃い。
身分証明書、コレあれば無料で借りられる。
不正出来ないシステムらしく、それで終わる。
しかしマーガレット、身分証明書持っていない。
本来、持っていないと利用無理。
しかし……。
「誠意示してくれたら、貸してやろう」
ギルドの役人、ニタリ笑う。
コレを待っていた! そんな顔。
マーガレット、短パンポケットから金袋取り出す。そして、貨一枚くれてやる。
役人、無口。満足してない。
マーガレット、イラつきながら、銀貨三枚追加。
「金の誠意はわかった」
男、マーガレットの顔、胸元、腰、尻、脚、そして似合わない腰の凶器見る。
舐める様な視線送る。そして嫌らしく笑う。
「そのナイフ調べてやる。あちらの独房に来い! 馬貸長、ここに不審な女が居ます」
涎零して、男発する。
その言葉に、役人、馬借長、マーガレット見る。
すると他役人、羨むため息吐く。馬貸長、生唾飲み込む。
生唾飲み込むソレ、かなり大きな肥満体。脂ばかり。
「独房、開くか」
すぐ採用す。笑う顔、鬼畜の如し。
「待てよ、金払ったぜ!」
エナ、イラつく。
「エナ、心配するな」
マーガレット、無表情。
しかし瞳に、凄まじい殺意あり。
それ見たエナ、人見えない死角にまわる。
そこから右瞳、光線放つ。
光線、脚捉える。
『殺す! それが手っ取り早い!』
心打ち読める。
エナ、やはり! 少し青ざめる。
こんな所でそれすれば、それですまない。
後に、護衛隊とやり合う。
其程、面倒な事ない。
「金やったろ!」
エナ、大声上げる。
しかし役人と偉い役人、知らず存ぜぬ……それどころか、エナまでも「怪しい」と言葉発する始末。
そんなやり取り、テキパキ日雇い労働者、聞いていた。
糞運びのヤツ、馬の世話し馬房に運ぶヤツに、何か黒い玉数個渡す。糞運びのヤツ受取りを見る。すると糞捨て外に出る。しかし戻る事はなかった。
もう一人のヤツ、受取った数個ね玉見る。玉に紐あり。それ確かめると、馬房で使われている蝋燭、人知れず捕り火を灯し紐、火点ける。
全てに火を点けると、無差別にあちらこちら投げ。少し待つ。
パン! パン! パッパッパン!
紐から玉には火移ると、玉割れて大きな破裂音馬房響く。
そこにいた馬達が、一斉に暴れ出す。
エナ、マーガレット、その爆発音聞く。
そして馬達悲鳴も然り。
馬借りギルドの役人達、一斉馬房見る。そして青ざめた。
やり合ってた、バカ二人、此奴らも真っ青になり慌てる。
エナ、マーガレット、顔見合わせる。
どうなっている? そんな顔、
すると先程の、糞運び出したヤツ、二人に近寄り。
「早く来い! ゴンさん待ってるぜ」
言葉発し、顔見せる。
エナ、驚きそして笑う。
「コウ! って、事はカツもか!」
「とにかく、早くしろ! 挨拶は後だ。馬あるぜ! ゴンさん目指せ後は上手くやる」
コウ、言葉発し、ギルドの外誘導する。そこに馬二頭いる。
「さっ、行け!」
「一つ聞く! こうなる事、わかってた様だな」
マーガレット、言葉発する。
「それも含めて、ゴンさんから教えて貰ってくれ。さあ早く!」
そう言葉発し、馬借りギルド戻っていく。
エナ、マーガレット、頷き馬にまたがり、カライ地区目指した。




