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干物男は異世界でも引きこもりたい  作者: 粉みるくススル
第一章 引きこもりは異世界に行く
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04.引きこもりは街へ行ってみました

本日3本目となります。

「おはようナビゲートちゃん」


 返事はない。

 ですよねー。


 今日は、5月1日 火の日。時刻は、10:00。

 電気が止められているので部屋は真っ暗。

 タブレット端末の明かりを頼りに鞄に色々な物を詰める。

 そしてドアを開けて外を確認。

 ゴブリンを倒してからドアを開けてなかったのでどうなっているか不安だったが、ゴブリンの腐敗した死体もモンスターも特に何もなかったので外出。


 太陽が眩しいね!


 外に出てみたものの街の場所わからないし、森の何処にいるかもわからない。

 困った時の神頼み、神様ヘルプを開くと「異世界の歩き方」という項目が増えていた。

 普通にこの周辺の地図だった。

 現在地は「始まりの森」と呼ばれる場所で、南に徒歩3時間ほどでロマノという街がある。

 そう言えば神様ヘルプに地球の地理を参考にしたとか書いてあったなぁ。地球の世界地図を頭にイメージしながら「異世界の歩き方」の地図を見ていたら何となく現在地がわかった。

 これイタリアのローマだ。

 ローマじゃなくてロマノか――もっとオリジナルティだした方がいいんじゃないかなぁ・・・。


 <自分、不器用な神ですから>


 この神様、昭和の邦画も嗜んでいるのかな?


 サバイバルキットに入っていた方位磁石を頼りに森を南下。

 ドアがなければ不意打ち出来ないので周りを警戒しながら恐る恐る移動。途中に兎や猪を発見したがスルー。

 森を抜けると街に向かう街道があったので街道沿いに移動。途中で馬車が何台か追い越していったが、そのうちの農家のおっさんぽい人の荷馬車が俺の横に止まった。どうやらおっさんは、俺を街まで乗せてくれるそうだ。

 第一異世界人と遭遇である。


「あっ大丈夫です」


 コミュ障が爆発して条件反射で断ってしまった。


 <これだから引きこもりは>


 うるせぇ。


 それから数時間歩いて街に到着。

 第一印象は、デカい街だなぁ。

 街の中心には城があり、その周りに街があり、それらを城壁が囲んでいる。

 街の入り口の門には衛兵がいて入場者をチェックしているようなのでその列に並ぶ。


「身分証の提示をお願いします」


 俺の順番が回ってきたがそんなものある訳もなく。


「ないです」

「では入場税と保証金で1500マニーお願いします。簡易証明書を発行しますので、街を出るときに簡易証明書と引き換えに補償金1000マニーお返ししますね」

「ないです」

「は?」

「えっとですね、田舎から出てきたもので身分証は無いです。お金も狩りをして得た毛皮を売って手に入れようかと思いまして・・・」


 思い付きで言い訳してみたが衛兵は怪訝な顔をしている。


「ではこちらへどうぞ」


 別室に連れていかれた。マジ怖い。


「まず犯罪歴を調べますのでこちらの水晶に触れてください」


 ここは従った方が良いだろうと水晶に触れるついでに質問してみる。


「これはなんでしょ?」

「あまり大きい街にきたことがないのですね。これは罪人印を調べる魔道具です。罪を償った人は犯罪印は消されますが、印を刻んだ履歴は体に残りますのでこれで過去の犯罪歴を調べるのです。はい、犯罪歴はありませんね」


 神様は中世くらいの文化レベルって言ったけどハイテクノロジーじゃね?


 <魔法を世界に組み込んだらこうなった>


「とりあえず、担保となるものがあればそれをお預かりします。街でお金か身分証を手にれてからこちらに来てもらえれば担保をお返ししますね。規則なのでそれが無理なら街へ入ることは出来ません」

「これは担保になりますか?」


 一番価値ありそうなサバイバルナイフを見せてみる。


「これはなかなかの一品ですね。お預かりしますが、身分証か1500マニーがなければナイフをお返しできませんが大丈夫ですか?」

「あっ大丈夫です。それと身分証て何処で手に入りますか?」

「一番簡単なのは冒険者ギルドですね。登録すると発行されるギルドカードがあれば入場税はかかりません。登録料も安いですが、定期的にクエストを活動しないと罰則があるので、一般の方にはお勧めできませんね。次の商業ギルド。この街で商売をしたいなら必須です。こちらのギルドカードも入場税はかかりませんが、ギルド登録料が高額になるので商売をしない方にはお勧めできません。最後は国役所です。ロマノ国民として登録すれば毎月100マニーの人頭税を徴収されますが、入場税は無料となり各種国の施設が無料で使えます。ただ、税金を払えなければ犯罪歴が付きますけどね。無理に身分証を手に入れなくても月1くらいの街への訪問なら入場税を払うのが一番良いかもしれませんね」

「なるほどありがとうございます」


 衛兵さん親切だった。ビビッて損した。


 さて街へは入ったのは良いけどどうしよう。サバイバルナイフを回収したいから毛皮売りたいし、身分証も欲しいからやっぱり冒険者ギルドかな。さっきの衛兵さんに毛皮売れる場所と冒険者ギルドの場所聞いとけばよかった。

 コミュ障が爆発して衛兵さんの所へ戻って詳しい場所を聞けない俺は神様に頼ることにした。

 うん、予想通り神様ヘルプの「異世界の歩き方」に街の地図載ってた。

 「異世界の歩き方」を頼りに冒険者ギルドに到着。


 さてさて異世界転生物定番の冒険者ギルドですよ。

 待つのは、出会いかテンプレか。

 ちょっとドキドキしてきた。


 <ドキドキ>


 いや、神様がドキドキしなくても。


 <こういうの楽しみじゃないですか、ああ、地球のラノベの世界が今ここに!>


 俺は冒険者ギルドの扉を開けた。









 神様ヘルプより


・冒険者ギルド

 民や国、組織の依頼を受けてクエストを発行する組織。

 所属する冒険者は、そのクエストの報酬により生計を立てる。

 また、駆除対象のモンスターの報奨支払いやモンスター素材の買取などもしている。

 変わり処で冒険者のお金を預かったり物件やお店を紹介したりと扶助組織的な役割もある。

 所属した冒険者にはランクがあり、ランクが上がると難易度のクエストを受けることが出来る。もちろん難易度の高いクエストの報酬は高い。

 低ランクの冒険者は、何でも屋、街の便利屋といった扱いで、高ランクになるほど英雄扱いになる。国によっては高ランクの冒険者は、準貴族扱いの場合もある。


・冒険者ギルドのギルドカード

 冒険者ギルドのある街では身分証となり、ギルドのない街でも身分証としての信用度が高い。

 また一般人にも身分証としての信用度が高く、色々な地域を旅する旅人が不審者扱いを避けるために冒険者ギルドに登録する場合も多い。

 特殊な魔道具でしか読み取れない細かいデータが記入してあったり、偽造防止機能や本人認証機能が組み込んであったりと何気にハイテクノロジー。合言葉は「魔法ですから」

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