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干物男は異世界でも引きこもりたい  作者: 粉みるくススル
第一章 引きこもりは異世界に行く
4/42

02.異世界で狩りをしてみました

 異世界に作ったマイルームでゴロゴロすること一週間。

 暇だ。

 地球にいたころはネットやゲームがあったから暇な時間なんてなかったがここでは寝るだけしかやることがない。暇つぶしになりそうだった神様ヘルプはすぐに読み終わった。

 ああ、神様ヘルプだが最初の数ページ以外は真っ白だ。どうやら疑問に思うことがあると、それに対応してヘルプの文章が現われるらしい。ナビゲートちゃんも的確に突っ込みしてくることもあるし、これ絶対に神様が操作してね?


 <そんなことはありません>


 ・・・。


 暇だし狩りでもしよう!

 Lv上がると強くなるみたいだし、食材も手に入りそうだし。なんちゃらメイトはクソ不味いからちゃんしたものが食べたい。

 サバイバルキットにある道具で肉を焼くだけなら出来るけど、外は怖いしちゃんと料理したいからキッチン作りたいなぁ。

 

 タブレット端末を操作してキッチン作成にかかるhpを確認


――――――――――――――――

キッチン 30hp

――――――――――――――――


 30hpか。多いのか少ないのかよくわからないが一つの目安になりそう。


 さて狩りなんですけど、いきなり挫折した。

 狩りに使えそうな武器がサバイバルキットに入っていた刃渡り20cmほどのサバイバルナイフのみ。

 これで、引きこもりに何をやれと。


 <ぶすっと刺せば一発です>


 無理です、ごめんなさい。

 今まで生き物とか殺したことないし。豚こまとかパックに入ってその辺歩いてないかな?


 1日思い悩んで、結局はなんちゃらメイトの不味さに挫折して外に出ることを決心。

 すぐに2回目の挫折がやってきた。


 あいつ等、早いし、怖いし。


 外に出て最初に遭遇したのは兎。大型犬くらいの大きさの兎。


 <神様ヘルプに「モンスター図鑑」が追加されました>


 ナビゲートちゃんの声に従って神様ヘルプを開くと「モンスター図鑑」という項目が追加されたのでそこを開くと、今見た兎だけが図鑑に載っていた。


――――――――――――――――

ジャイアントラビット


ただの大きい兎

雑魚

弱いし肉食べれるし毛皮売れるからさくっとやっちゃって

付属のサバイバルナイフで3回くらいぶっさせば肉に出来ちゃうからね

はよ

――――――――――――――――


 神様絶対にこっちみてるだろ。


 命を奪う覚悟は出来たのだけどね、ジャイアントラビットの足が速くて追いつかない、刺せない。

 兎を追いかけてたら横っ腹に強い衝撃が。


 猪!

 猪に体当たりされた!

 俺死ぬ!

 というか、猪でかっ!


 部屋に逃げて帰ってきた。

 そのままビビって寝袋に頭から入って1日経過。

 やっと落ち着いてきた。


 気分が落ち着いてきたので神様ヘルプを確認。予想通り「モンスター図鑑」に新しい項目が追加されていたので確認。


――――――――――――――――

ワイルドボア


ただの大きい猪

普段大人しいけど怒ると凶暴

動いてるもの見ると突っ込んでくるから注意ね

いくら兎に集中してたからって横っ腹に突っ込まれるとかうぷぷ

肉美味しいし毛皮売れるからおすすめだよ

サバイバルナイフで5刺しくらいかな

――――――――――――――――


 神様にちょっと殺意が。


 狩りは絶望的だなと現実逃避に神様ヘルプをパラパラと流し読み。

 戦闘に関して新しい項目があったので読んでみると、どうやらこの世界では生命力が0にならない限り死なない。

 どんなにひどい事故や攻撃を受けても、四肢を欠損しても出血多量でも、生命力が0にならない限り死なない。

 そしてこの世界の一般人の平均生命力は20くらい。普通ならあの猪の突進で死んでたっぽい

 俺生命力100あるよ。だから無事だったのか。すごく痛かったけど。

 神様ちょっとありがとう。殺意もってごめんなさい。


 <気にすんな>


 おい、神様、ナビゲートちゃん設定忘れてるぞ。


 死ににくいのはありがたいけど、獲物に追いつけないのはなぁ。猪は怖いし。

 「何か不意打ち出来る方法とか罠の作り方とか載ってないかなぁ」と天井に向かって独り言を呟いて神様ヘルプを開いてみる。


 ・・・。


 特に新しい項目は増えなかった。頼り過ぎか。



 あれからまた1週間たった。

 状況は何も変化していない。

 外は怖いし、部屋は暇だし、なんちゃらメイトは不味いし。

 何の風景も変化もない部屋に飽きたので最近はドアを開けっぱなしにして外を眺めている。

 時間変化の様子やたまに兎や猪が横切って案外面白い。

 ああ、兎ちゃん可愛い。


 このドアに関してたが、スキル使用者と使用者が認めた者でないと外から認識したり、触れたりと一切の干渉出来ないようだ。

 だからドアを開けっぱなしでも向こうからはこちらが見えないし、干渉できない。だけど俺は、部屋から外が見放題。


 閃いた!閃いちゃったよ!


 今閃いたことを確認するために手元にあったなんちゃらメイトを一本外に投げてみた。

 なんちゃらメイトは木に当たって落下した。

 これはいけるで!


 俺はすぐに、鞄を持ち外で石を集めた。

 周りを警戒しながひたすら投げやすい石を鞄に放り込む。

 ある程度集まったところで部屋に戻り、ドアを開けたまま待機。

 待機すること数時間、ドアの前を兎が通りかかった。


 チャンス!


 俺は、兎に向かって思いっきり何個も石を投げつけた。

 5個ほど投げつけたところで瀕死になったので、止めは外に出てサバイバルナイフでぐさりと。

 俺は興奮していたのが特に抵抗もなくて生き物を殺せてしまった。


 さぁこれからどうする。


 兎を殺して冷静になった俺は困ってしまった。

 兎がボワンと消えて、ドロップアイテムが!とかいう展開ではないみたいだなぁ。


 <血抜きして解体してください>


 あっはい。


 血抜きも解体もよくわからん。

 もしやと思って神様ヘルプは開いたら絵図付きで詳しく解説している項目が増えていた。

 外は危険なので部屋に戻って解体しようと思ったが部屋が臭くなりそうなので止めた。

 近くに川かあったのでそこで、周りを警戒しながら神様ヘルプ解説通りに血抜きと解体。

 しかし、都合よく水場があったなぁ。


 <都合の良い場所に転生させたので>


 そうか、神様ありがとう。というかナビゲートちゃん設定はもう諦めた?


 <あっこれは僕が介入しているだけだからね、普段は世界の声と呼ばれるシステムメッセージだよ。君はちょっと加護(チート)が特殊だったから気になって見ちゃうんだよね>


 世界の声ならぬ、神の声というところか。


 <おっ神の声って中二ぽくてちょっとカッコいいね。それ採用。我は神の声であるわはは。じゃあ、これからもナビゲートちゃんと神の声をよろしくね>


 大丈夫かなこの神様・・・。


 神の声について深く考えずに血抜きと解体を進める。

 無事というか、無難に、魔石と肉と毛皮をゲット。

 血まみれな素材と自分を洗ってから穴を掘ってそこに内臓と骨を埋める。

 神様ヘルプの指示通りにやったんけどこれで良いんだよな?


 魔石と毛皮は鞄に入れたが、肉は傷んじゃうよなぁ。

 思ったより食べられる部分が少なかった兎――主に俺の解体が下手で食べられる部分が上手く取れなかっただけだが――を焼くことにした。

 サバイバルキットにキャンプ道具みたいなものはあったが、人生インドアな俺がアウトドア知識なんて持っているわけもなく途方に暮れる。

 だがここは、お願い神様ヘルプ!


 「大人のキャンプマニュアル」と項目が増えていた。


 サンキューゴッド。


 マニュアルに従って河原の石で竈を作り、炭をおこす。

 何故か、サバイバルキットに炭と着火材が入っていたんだよな。

 木のまな板も入っていたのでそれの上で兎肉をサバイバルナイブでカットして、木の枝を削った串に刺して塩を振って焼く。サバイバルキットに塩も入っていたんだよな。少量だったから2~3回で無くなりそうだけど。

 途中、火力が強すぎて木の枝が燃え肉が炭の中で炎上するという悲しい事故はあったが無事に焼き兎肉をゲット。

 美味しかった。久しぶりの文明の味は美味しかった。

 血抜きに失敗して生臭かったり、スジが多くて硬いけど美味しかった。

 なんちゃらメイトに比べたら!



 部屋に戻り、今日の成果の魔石をタブレット端末の画面に乗せる。

 魔石は光りながらタブレット端末に吸収されていった。


――――――――――――――――

マイホーム<1hp>

――――――――――――――――


 奥井貴志(オクイタカシ) 16歳 童貞。特技は引きこもり。

 異世界生活15日目。やっと兎を1匹狩れた。









 神様ヘルプより

 能力値はジョブレベルを上げることによって増えていく。

 転職を繰り返し何度もレベルを上げていけばどんどん強くなれるぞ。


 生命力:

 RPGなどによくあるHPのことだ。これが0になると死んじゃうぞ。逆に0にならない限りどんなことがあっても死なないからね。異世界ライフをエンジョイするためにもこの数字は注意してね。


 魔力:

 MPて奴だ。魔法やスキルを使うと減っていくぞ。0になると気絶しちゃうからね。逆に薬とかで増やし過ぎても魔力酔いという2日酔いみたいな状態になっちゃうからね。


 力:

 パワー!腕力とか攻撃力のことだね。高いほど強くなれるよ。力=マッチョじゃないからそこ注意ね。


 敏捷:

 すばやさだね。動きの身軽さ、回避、命中などに影響するよ。早くても良い場合もある!


 体力:

 生命力や防御力に影響するよ。体=マッチョでもないからね。


 知力:

 頭の良さ。魔力とか魔法関連のスキルに影響すると。神様はこれが高いのだ!


 能力値はあくまでフィジカルな部分を数字化しただけだからね、本当に意味で強さとは数値化されないメンタルだよ。

 君の活躍とメンタルに乾杯!

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