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ザ・ユニコールワールド  作者: クレシアン
兄弟の旋律
39/41

クエスト209:ヒーロー

さすがに前の話だけでは短いので連続で更新させて頂きました!

いつの日にか約束した遊園地デートの話です!!


 傷が癒えてきたその頃。

 

 蒼也さんはテロリストの仲間であった為事情聴取を受けこれからの処遇が決まるらしい。

 僕も紫苑も退院している。

 

 未だに騒々しい世界の中、僕達は国に保護されることになった。

 が、やはり一日中ホテルに篭るのも暇で仕方ない。その暇な時間は紫苑の言葉で終えることになる。

 

「遊園地にいこ!!」

「へ?」


 突然何を言うんだろう。

 確かに暇だし暇だしやる事もないし......

 

「妹をこんなに死地へ振り回しておいて埋め合わせが無いっていうのはどうなの?」

「うっ......」

「実際お兄ちゃんを庇って死にかけたし?」

「はー...わかったよ.......ナガシマでいいかい?」


 そんなこんなで僕達はショッピングもできる長島へと向かった。


 

☆     ☆     ☆



「蒼也さんはどうなるのかなぁ」


 乗り物の待ち時間でこれまた突然紫苑が問いだした。

 

「うーん、できるだけ良い待遇であるように持ちかけてはみたよ。

でも彼はテロリストだった。やっぱり最終的には法がどうなるかを決めるべきだと思うよ」

「えー、お兄ちゃん少し冷たくない?」


 こうは言ったが僕だって蒼也さんには復帰してほしい。

 彼いなくして兄さんとの戦いも、それ以前にも能力者との戦いも勝利は無かっただろう。

 

 やはり紫苑も不安なのだろう。

 そういえば彼女が彼と出会ったのは同じく遊園地だよな。

 ......こいつよくトラウマにならないな。現場は地獄だったって聞いたぞ。

 

「......やっぱりこんな時に遊園地だなんてダメだったのかな?」


 僕の険しい顔を見てからか紫苑は突然シュンとなる。

 相変わらず表情がコロコロ変わる彼女は意外にも兄さんについて話し出した。

 

「業兄さんを紙の世界に閉じ込めたんだよね? お兄ちゃんは本当にこれでよかったの?」


 なるほど、本当はこの事を聞きたかったんだなこの妹は。

 だがしかし僕としては既にケジメはついている。

 

 まあ納得しない人はいるようだが。

 

「確かに死刑にするべきだという人もかなり居るよな。けれども僕は兄さんの罰はこれで充分だと思う。

この紙さえ破れば兄さんは息絶える。蒼也さんによって凍結された身体のまま永久に死の隣り合わせで生きていくんだ」

「よくよく考えると凄いことだよね。そんな罰が人間で創り出せるなんて」


 確かにそうだ。

 僕からしたらこれはどんな拷問よりも苦痛だと思う。

 肉体的ではなく精神的に。兄の存在を蝕むこの罰は。

 

「それに、ね。やはり兄さんを罰するのは僕でありたかったんだよ。

警察でも法でもなく、僕が兄さんを止めたかったんだ」

「お兄ちゃん......」


 そんな事を話していたらあっという間に最前列だ。

 僕は急に指先が震え、冷えてきた。

 

「......もしかしてまだ絶叫マシン苦手なの?」

「仕方ないだろ......ぁぁぁぁ寒気がするぅ」


 僕は昔っから絶叫マシンが苦手だ。

 こんなものを楽しいとか言える連中の気が知れない。

 

 あ、もう乗る順番だ。ああああ助けてお父さん怖い怖い怖いk

 

「ふふっ、じゃあ私が手握っててあげる!」

「!!」


 僕の手が冷えていたのか紫苑の手が暖かいのか。

 不思議と心がとても安らいだ。

 

 ......周りの視線はとても恥ずかしかったが。

 

 

 そうだな。

 こんな事件に巻き込まれなかったら紫苑とここまで仲が良くなることもなかった。

 

 不謹慎なもんだなぁ。

 今ここで手を握っている彼女と居る時間がここまで幸せだなんて。

 

 

 

 

 でもやっぱりお兄ちゃんは思います。

 絶叫マシンは苦手です。

 

 

☆     ☆     ☆



「どう? 似合ってる??」

 

 場所は変わり、試着室のカーテンを開けくるりと回る紫苑。

 さすがは母さんから着こなしを教わっただけはある。

 

「いいんじゃないか? 可愛いと思うぞ」

「うぅ!? そ、そうかなー。えへへへ......」


 顔を紅く染める紫苑。

 嬉しそうに染まる顔を隠す彼女。

 なんだろう、かわいいなこいつ。

 

 

 だがしかーし。ここで終わるのは男の名が廃る。

 

「でもこれなんかどうかな?」


 僕が指をさしたのは黒のタイトワンピースだった。

 正直肩出しで胸も強調されるセクシーなデザインが彼女に合うのかわからない。

 

 あっ、ほら店員さんも呆れてる。

 

「こ、これ......?」


 紫苑も少し困惑していた。

 ごめんな紫苑。こんな変態な兄ちゃんが恋人で。

 

 だがしかし何を血迷ったか試着室に入った紫苑。

 おや、この流れは着てくれるのだろうか。

 

 

 紫苑が試着をしている最中に二人組の男子高生に声を掛けられた。

 

「あの、芥川翡翠さんですよね?」

「うん? 確かに僕は翡翠だが何かようかい?」


 どうしたのだろうか。

 

「テレビで見ました。何年もスキル保有者と戦ってたって」

「ああー。僕がやってたのは謝罪会見だけどね」


 そのとおりだ。

 父と兄が引き起こしたこの事件の数々の責任は僕にもある。

 

 もう少し早い段階で止めれたのではないか?

 なぜこうなってしまったのか?

 

 厳しい言葉だけども正論だ。

 それに戦ったと言ったが父の研究の手伝いをしただけだったのだ。

 

「それでもすげえっす。学校だと皆噂してます。

世間がどう言おうとも俺達の世代のヒーローだと思います」

「がんばってください!! 応援してます!」


 

 ああ。

 そうか。

 そうなのか。

 僕はちゃんと、人を守れていたんだ。

 

 少なくともこの二人の、その周りの人達の。

 

 

 ヒーローになれたんだ。

 


☆     ☆     ☆



「えっへへー! 楽しかった~♪」

「そうだね、しっかりリフレッシュできた気がするよ」


 そうだねそうだね。

 とても良い目の保養になりましたぐへへ。

 

 結果紫苑にあの服はとても似合っていた。

 それどころか紫苑の新たな一面も見れた気がする。

 てことで服は両方とも買ってしまったのだ。

 

 ごめんなさい国民の皆様こんな税金の使い方して。

 

「お兄ちゃん」

「ん? どした?」


 笑顔を見せ振り返る紫苑。

 夕日が彼女の輝かしい笑顔をより一層眩しくさせている。

 

「今はお兄ちゃんはいろんな人のヒーローだけど、お兄ちゃんが最初に助けてくれたのは私だよ!」

「お前......聞こえていたのか」


 彼女はそう言うと僕の隣へ回り込み、手を握った。

 


「でも、わたしもきっといつかお兄ちゃんみたいなヒーローに!!」

「うん、一緒に行こう。父さんを止める為に、どこまでも、いつまでも。ずっと一緒に」 


次回、キャラクター紹介です。

そして最後にはエピローグで締めくくりたいと思います!

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