クエスト208:戦後
ほんの短い話ではありますが投稿です。
これは兄との戦いを終えた後の出来事だ。
紫苑は1週間目を覚ますことはなく、僕は不安で仕方なかった。
しかし僕は全身に渡る打撲や骨折、脱臼が酷く。蒼也さんは同じく凍傷により一週間は動けなかった。
そのせいか紫苑が目を覚ました後にも入院を続けることになった。
あの兄に勝利はしたがあまりにも重い傷を負った戦いになったのだ。
そしてなにより、
朱里さんは最後まで目を覚ます事はは無かった。
彼女の意思は同僚や編集者が引き継ぎ、新たなるスキル保有者が犯罪を犯していたこと、
そしてその進行を食い止めていた芥川家の僕と紫苑の存在が世界に露になった。
無論警察や政府はこの事態を隠蔽しようと試みるも、
ショッピングモールテロリスト事件。
公立高校のスキル保有者教師の体罰。
遊園地の大量殺人事件。
住宅地の大規模爆発事件。
ファミリーレストランの放火。
そして中部国際空港の爆破事件。
これだけの被害を隠蔽するのは不可能なことだった。
スキル保有者による被害者は百人を余裕に超える。
もはや世間一般的にも関係のない話では無くなったのだ。
これらの事件に大きく関わりのある芥川善司博士は行方が知れず、全世界を捜索しても見つかることはなかった。
兄である業も、中部国際空港からどこへ向かおうとしていたのかも爆破により不明。
つまりは父への道は絶たれてしまったのだ。
全く動かない身体。
同じく治療を受ける仲間達。
そして受け入れたつもりでも胸を指す朱里さんの死。
静かに蝕む悔しさが僕を包んでいた。




