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ザ・ユニコールワールド  作者: クレシアン
兄弟の旋律
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クエスト205:人は生まれながらにして

だんだんとこの作品も終わりへと近づいてきます。

どこか寂しい感じもしますが、展開はますます熱くなってますよ!!



「一つお願いがあるのだけどいいかしら?」


 リムジンに乗り、高速運転に揺れる中朱里さんは手提げから袋を出してきた。

 どうしたのだろうか? 僕はそう聞いてみようと思ったがやめた。

 

 なるほど。

 

 これはいつも『僕』がしてきたことじゃないか。

 

「お兄さん、あなたは死体からスキルカードを摂取したことはないかしら?

『これ』をスキルカードにしてもらえると助かるわ」

「やっぱりそうですか......自信はないけどやってみます」


 そう、僕は死体の腕からスキルカードを奪い取ったことはない。

 ただ朱里さんが言うのだ、何か考えがあるのだろう。

 

「おっと、できましたよ。

やっぱり死体でも原型を留めていたおかげか、はたまたさっきまで生きていたおかげかは知りませんがねえ」

「じゃっこれは預からせてもらうわよ」


 どんなスキルなのだろうか?

 僕以外にも蒼也さんや紫苑も不思議に感じていたが、これは彼女自身が勝ち取った戦利品なので誰も文句は言えなかった。

 

「いい? もし私に何かあったらその場で誰かに勝負を仕掛けなさい。

これは対象の勝負への承諾があってこそ初めてスキルの封印が発動するスキルだから」

「そんなもんお前がやればいい話ではないのか?」

「私は業君のスキルを解明する仕事があるでしょ。

それにこれ、対象のスキルの名前を知らないといけないの!」


 蒼也さんの問いを軽く流す朱里さん。

 なんだろうか。今の彼女はちょっと変だ。

 

「私との最後の約束よ。わかった?」

「なんなんですか、縁起でもない」


 冗談だと思って言い返した僕だが彼女の瞳はいつになく真剣だった。

 僕は渋々承諾した。

 

 

 そしてこの時の約束を今、彼女の死を以って思い出したのだ。

 

 

☆     ☆     ☆



「紫苑、分身は使えるか!?」

「うぅ......だめみたい。やっぱり業兄さんに封印されたままなのかな?」


 朱里さん、そして先ほどの蒼也さんの言葉から紫苑はもう泣きそうになっていた。

 僕だって泣きたい。もう僕らしかいないのだ。

 

 瓦礫は僕らと兄の道を塞いでる。

 しかし兄はまだ爆弾を所持しているだろう。

 突破されるのは時間の問題だ。

 

 それでも勝たなくてはならない。

 蒼也さんとの約束だ。彼があそこまでして僕らを助けたんだ。

 

 

 このまま終われるわけないだろう!!

 

 

「二人とも、聞こえるかい?」

「「!!」」


 兄の声だ。

 

「今から瓦礫を爆弾で吹き飛ばすから下がっててくれ。

そして、もうこの兄弟喧嘩を終わりにしよう」

「なにを今更っ!!」

「蒼也君。彼の身体は恐ろしく凍結しているが助かる見込みがある。

今から彼を病院へ連れて行こう」

「ッ!!」



 僕は黙ることしかできない。

 これは兄の嘘だ。間違いない、兄は昔から嘘を吐く時声のトーンが変わるのだ。

 

 嘘だ、嘘だ、嘘の筈なのに。

 

 

 ――瓦礫から離れている僕がいる。

 

 だめだ、逃げるな。考えろ!!

 彼らと約束したじゃないか!!!!

 

「紫苑。僕を置いて逃げろ」

「――え」

「兄さんは仮に僕を生かしても僕を悪いようにはしない。

けど紫苑。お前だけは逃げろ、逃げて今度こそ芥川家から解き放たれるんだ」

「でも――


 

 ズドン!!

 

 瓦礫が引き飛ばされる。

 耳を突き刺すような爆音にかき消されないように僕は声を張り上げた。

 

 

「行け!!!!」

「!!」



 紫苑は走り出していた。

 ああ、これでいい。

 

 これで刺し違えても兄を倒すことをできる。

 

 

「業兄さん。僕も約束があるんだ」

「なんだ?」



 僕が必死に考えて出した答えだ。

 兄さんなら、必ず約束を呑むだろう。

 

 

「僕はこの先、やはり父さんに協力することはできない。だから今からするのは殺し合いだ。

兄さんが勝ったら僕のスキルを差し出す」

「なっ――」



 僕は続ける。



 

「勝った方が、いや、勝負の結果で芥川家の命運が決まるんだ」



 兄さんは僕の意思に驚いた表情を見せた。

 珍しいその表情はしかし乾いた笑いへと変化した。

 

「お前はなぁ!! 本っ当に愚かな弟だなぁ!!

勝負だと!? いいだろう、乗ってやるさ。しかしどうする? スキルが封印されたお前なんてただの雑魚なんだよぉ!!」

「その台詞、もう一回言ってみな」

「はぁ!? 何を――ッ!!」


 朱里さん、ありがとう。

 貴女はきっとこの結末がわかっていたのだろう。

 

 僕に出会い、テロリスト事件へと導き、蒼也さんと繋いでくれた。

 

 薄々気付いていたよ。

 貴女は何か使命を持って動いていたことを。

 

 詮索はもうできない。だから――

 

 

いざ尋常にあれ(バランスタイル)。兄さん、正真正銘最後の戦いだよ。

兄弟喧嘩をするのにスキルなんていらないだろう? 人は生まれながらにして平等なのだから」


いざ尋常にあれは22話ババ抜きにてスキルの説明があります。

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