クエスト113:決着②
今日明日の文字数はやや少なめです。
区切るのがなかなかむずかしい......
ファミレスのレジにて、ブランは蒼也の血をすすっていた。
自らが吸血鬼でもないというのに。何かに取り憑かれるかのように。
「ぐっ......」
彼女は蒼也の意識が戻るのを察したのか、口を離した。
そう、彼女は色欲の権化。異性の体液こそが彼女の獲物である。
「最悪の目覚めだな......ああ最悪だ」
蒼也は体の節々を鳴らした。
もちろん、彼女から引きちぎられたその腕も。
「えっ!? 嘘でしょう!? どうしてその手が......!!」
蒼也はその質問に黙る。言ったところで信じるとも思えない。
そして今から彼女を殺害から意味もないのだ。
「どうやらお前達の作戦も失敗したようだな。さすがはリーダーだ」
「嘘でしょ......!! くっあの駄弟が」
ブランは口に付いた血をぬぐいながら吐き捨てるように言った。
「悪いが決着を着けさせてもらう、核熱の羽」
「無駄よ!!」
蒼也はフルスピードでブランに突進するがもちろん瞬間移動される。
しかし――
「なっ!?」
瞬間移動からのカウンターを狙ったブランの視界に蒼也が居ない。
「ここだ」
「くっ!?」
背後に気配を感じた彼女は瞬時に移動する。
しかし何度移動しても蒼也は背後に居た。
「はぁ......はぁ......どうしてぇ」
蒼也の一振りを避け、床に躓くブラン。
そんな彼女を蒼也はただ見下ろしていた。
「なるほど成長とは聞いたが。どうやらスキルの成長とは環境や本人の精神に大きな影響を与えるらしい」
ブランは身震いした。
目の前の男が成長すると『こうなる』というだけではない。
「これは......身体が冷えている!?」
違和感のはただそれだけ。
ただそれだけの違いが、大きな違いを生む。
「例え俺がより素早く動こうともお前に敵うことはない」
しかし蒼也のスキルは体温の操作。
心を熱す核熱の如き羽根の刃。
「熱は急転、マイナスの世界。名付けて雪月花
このスキルはお前の『熱を奪う』」
対してこのスキルは極寒の環境。
身体を冷やす氷結の如き結界。
「そしてこの氷結界は進化する。飛雪千里!!」
「ッ~~!!」
もはや指の一本をも動かない。
彼女は地面に這い蹲りながらも蒼也を睨みつけた。
「ふふ......私を氷漬けにして捕獲するつもり?」
彼女には自身があった。
たとえ氷漬けされようとも自身の能力なら逃げ切れる。
博士には申し訳ないが私はあくまでも自身の為に動く。
まだいくらでもやりようはある――
「光陰如流水」
「ぎゃああああ!!」
蒼也はブランの額に手を当て熱を流し込んだ。
燃えることのない、熱だけが彼女を襲う。
「まさかお前、殺されないとでも思ったのか?」
「なっ......あああああ!!」
そして急激な冷気が彼女を包む。
汗が急激冷え凍りつく。
「残念ながら俺の仲間が既に情報を掴んだ。もうお前に用はない。
俺は奴らとは違う。苦しみながら死ね」
「そんな、ぎゃあああああああ!! 熱い、助けてえええ!!」
蒼也はその手を離さない。
ただ熱と冷気で彼女を弄るだけだ。
「あああああああああああああ!!!!」
ブチッ、ブシャアアアア!!
血管が破裂したのか、彼女の全身から血が吹き出た。
蒼也は肉塊となったソレから手を放す。
ソレはべチャリと音を立てて地面に崩れ落ちた。
「溶け死んだか。
本望だろ? 吸血鬼」
翡翠や蒼也さんのスキル成長はキャラクター紹介にて判明します。




