クエスト104:真実
昨日は投稿できずに申し訳ございません。
地元のお祭へ友人と共に行きましたがその結果間に合わないと判断し休載しました。
「さて、こいつのスキルカードを回収するとしよう」
「ええ!? こいつのスキルなんて使ったら性格が歪みそうなんだけど......」
翡翠が手を伸ばそうとしたその瞬間。
「火炎車!!」
「なっ!? お前!!」
男は自分自身を火で包んだ。
熱く燃え行く火は消し去っても消し去っても消えず、むしろその勢いは強くなる一方である。
「お前、なんでこんなことを!!」
「君のスキルは記憶さえも紙にしてしまうと聞いたからな。ボスの不利になる状況にさせる訳にはいかない」
「なんで、なんでよ!! あんたはあのお父さんのどこに惹かれたのさ!!」
紫苑の悲痛の叫びが無機質な空間に響き渡る。
翡翠もまた紫苑と同じ意見であった。
「ははははは!! お前らガキにはわからんのだよ! ボスにはこんな俺に夢を見させてくれた。
才能も財もない俺に、努力しても何も上手くいかない俺にな!!」
「夢だと!? お前は一体父さんに何を吹き込まれたんだ!?」
「クク......それは教えられない。俺がお前達に与える戦利品は2つ!持って行け!」
翡翠が男から投げ渡されたのはスキルカードであった。
無論その内容は男のスキル、魔道書庫だ。
「スキルカード? これはお前の習得したスキルじゃないのか?」
「そう、これは君の父親、ボスから頂いた物だ。生憎俺にはスキルの才能がなかったからな」
「そうか、父さんはそうやってスキル保有者を......!!」
男は手を開き翡翠達に突き出した。
既に体の所々が黒くなり、火傷痕は見るに耐えないほどである。
「ボスは右手を切り落としスキルにより5人の男女を生み出した! 俺なんかと違う、君達と同じような血を受け継いだ子供だ。
俺が帰らぬ者となれば必ずその5人の刺客を差し出すだろう!!」
「僕達と同じ......!!」
「俺からの戦利品は以上だ。楽しみだなあ! ガキ共の反抗期がどこまで通用するのかを!!」
男は最期に一筋の涙を流し、呟いた。
「すまない......ボス。しかし...一瞬......だろうとも...最高の......夢を...」
「......」
二人は黙り込む。直接手を下した訳でもなかったが結果的に男は死んでしまった。
名無しの男の愛は翡翠達よりもずっと深く、父親を信仰していたのだ。
翡翠はスキルカードの裏側に書いてある文字に気がついた。
輝かしい勝利おめでとう。
このスキルは俺が持つより勝利した君に相応しい。
どうか、どうか使いこなしてくれ。
例え偽りの希望だとしてもこのスキルは、
俺の生涯を支えた大切な魔法なのだから。
「......紫苑、行くぞ」
「え、あ......」
「大丈夫、きっと俺ならこの力に心を奪われることはない」
「......うん! お兄ちゃん!!」
かくして名無しの男の力を翡翠は受けついだ。
同時に父親への道のりの長さを噛み締めて。
☆ ☆ ☆
「二人とも大丈夫!? あなた達の一帯がガス爆発で吹き飛ばされたと聞いたわ」
時間が厳しく、ファミレスへと急いで駆けつけた時、朱里さんが慌てていた。
どうやら僕達を心配してくれたようだ。
「うん!! 大変だったけどなんとか倒したよ!!」
「やっぱりスキル保有者の襲撃だったのね。いえ、それにしても紫苑ちゃん」
「紫苑がどうかしましたか?」
「見違えるほど色が変わったわ。どうやら良い収穫があったみたいね」
僕達二人は顔を合わせ、少しだけおかしくなって笑った。
住む家を失った。しかし前に進もう。
あの男の為にも。
「そういえば蒼也さんが居ませんが?」
「すまない、遅れた」
「うひゃ!?」
蒼也さんはどうやら僕達と同じく急いできたようで、スキルも使用していた。
「それじゃ!! 作戦会議といきますか!!」
作戦会議が始まり次第、僕達は今朝の出来事を話した。
内容は多くなってしまうがそれでも包み隠さず全て伝える。
「なるほど......少なくとも5人はこれからの敵になるわけだな」
「片手を切り落として人を生成する、紫苑ちゃんの能力とは少し違うけど厄介になるわね......」
「しかも話し方からしてあの男の話し方からしてその5人はより強力な敵だと思った方がいいかと」
僕達4人はうんうん唸って考える。
より激化するであろう戦場を乗り越えなければ。
「......話が変わるが少しいいか?」
蒼也さんが突如深刻な顔をして切り出した。
まるで初めて出会った時のような、真剣な硬い表情だった。
「以前では話すことはできなかったが、最近の調査を以って確信を得た」
「......実は私も。安易に口にすべきではないと思ったのだけど恐らく内容は蒼也君と一緒よ」
二人ともどうしたのだろうか。
話すことができない? 口にすべきではない?
そんなこと、何故――
「君の兄の能力が、以前見たテロリスト事件の際と同じモノだった。
それとテロリスト事件の日、目撃情報があったそうだ」
――え?
「君のお兄さんが君と一週間前に話している時、『テロリスト事件』と君が口にした瞬間。
心が動揺していたわ。まるで関係者のように」
真実はいつだって残酷だ。
知らない方が良い結果になる事なんて今までもいくらでもあったのに。
ドラクエ11の人魚姫の話に辿りつきました。
どちらを選べばいいのかまったくわからなかった深く悲しい話でした。




