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ザ・ユニコールワールド  作者: クレシアン
テロリスト事件
11/41

クエスト008:ゲーム

最近はまっているゲームはダークソウル3です。

難しすぎて全く進みません。序盤で鍛冶屋を誤って殺した馬鹿に救いは無さそうです。


 人は生まれながらにして平等ではない。

 

 俺は既に死んだ人間。いまだそう実感し続ける蒼也にとっては今此処にいるという事そのものが奇怪であった。

 全力、自分ですらなしえなかった五段階目の斬劇。それすらも乗り越えた翡翠という少年に俺は生かされたのだ。

 

(全く、今ここで俺が裏切らないという保障は無いのに)

 

 少し不満とも言える、自分の組織の愚痴を考え、それを止めるという行為を繰り返していた。

 目標はのんきに友人と遊園地で遊ぶような男だ。......本当に能力者なのか?

 ただの学生にしか見えない、そろそろ閉園の時間にもなる。様々な思考が蒼也をめぐっていた。


(出直すか......)


 これ以上考えても仕方が無い。閉園にもなるし、あの観覧車に乗り終わったら接触するとしよう。

 そう考え、観覧に近づいた瞬間。

 

「なっ!?」

 

 観覧車内のターゲットが、もう一人の少女を撃った――。

 血が窓に付着する。一瞬、何が起きたかわからなかった。

 

 

 「核熱の羽(ウィング・カッター)!!」

 

 蒼也は瞬時に四段階目までスキルを発動させた。

 その判断は成功だっただろう、観覧車の中の男はニヤニヤと蒼也を見ていた。

 

「チッ、観覧車はもう動き出したか!! ッ!!」

 

 観覧車に近寄る蒼也だが瞬時に観覧社内から弾丸が発射され刀で弾く。

 

「ぐわっ!!」

「ぎゃあああ!!」

 

 周囲を見渡せば園内の従業員が撃ち殺されていた。

 蒼也は物陰に隠れた。この判断は吉と出るか。

 

 (奴はスナイパーライフルを所持しているが恐らく学生服からして実物ではない)

 

「スキルによる玉の実体化か......?」


 ならば死角に入りやり過ごすまで。

 しかしそんな蒼也の願いも打ち砕かれた。

 

「っ!!! これはっ!?」


 瞬時に前方へ高速移動した。

 後ろを振り返るとけたたましい爆発音が園内を包み込んだ。

 従業員のしによる観客の悲鳴と周囲に響く爆発音がもはや地獄の如く園内を包んでいた。

 

「手榴弾か......いったいどうなっているんだ」

 

 観覧車からの投擲でここまで正確に? 蒼也は弾丸を警戒しながら周囲を見渡す。

 協力者らしき人物は居ない、つまりターゲットが攻撃したとしかありえないのだ

 

「ふっ!!......次は矢文か?」


 蒼也は再び的確に自身を捉えてきた矢を弾くが、そこには紙がくくりつけられていた。

 

 

 

 私の名前は前川劫まえかわこう

 

 私はテロリスト事件関係者である君と勝負がしたい。

 公平を期した勝負にする為私の武器を明かそう。

 投擲が必ず命中するスキルと命中した物が実物となるスキルを持っている。

 これは互いの命を賭けたゲームである。

 観覧車が下りきる前に君を殺せば私の勝ち。

 観覧車が下った時、言わずもがな君の勝ち。

 

 検討を祈る。

 

 

 

 

「なるほど、『ゲーム』ときたか」

 

 

 面白い、乗ったと言わんばかりに蒼也は観覧車を見返した。

 観覧車内には既に銃を構えたターゲットがいる。観覧車はまだ四分の一、上った所か。

 銃弾が発射された。

 

「せいっ!! 必ず命中すれど弾けば問題無し......ッ!!」




 蒼也は一瞬硬直した。

 手榴弾がある。

 それも自らを囲む四方向に。


 

「おらぁぁぁああああ!!!!」


 

 蒼也は全力で噴水に飛び込んだ。

 恐らくそのスピードは五段階。まさに自身の全力であった。



 

 飛び込む水の音と炸裂音。どちらが大きいかなど考えてもいない。

 蒼也は噴水に飛び込むや否や即座に遊具の陰に隠れた。

 

()っ......破片手榴弾(フラグメンテーション)の一部か......」

 

 紅く染まる着物を睨みながら蒼也は伏せた。


 

(攻撃に続く攻撃の連鎖、まるでゲームのような想像力、少しばかり翡翠と似ている......)


 少しばかり息をついた蒼也は再び駆け出す。

 

  (まずは手榴弾の対策だ、常に走り続けていれば攻撃に包囲される事はない)

 

 しかし必中の狙撃主はそれを許さない。

 

「これは......機関銃ガトリングガンか......!!」


 連発砲も必中となればこれほど恐ろしい物はない。

 

「ぐ......連激で刀が重い!!」


 受け続ける刀に限界が来はじめる。

 ほんの少しの綻び、その瞬間。

 

「また手榴弾かっ!! はああっ!!」

 

 手榴弾と予想し再び距離を取る、しかしその中身は。



 

(くっそ、スタングレ――!!


 距離を取ろうにも目がふさがり次の攻撃が読めない、蒼也の高速であれ光速には及ばない。

 無慈悲にも連射は続き――。

 

 

「くっは」



 蒼也の身を貫いた。

 

 

 楽園の地、閉園の音楽と共に侍は人形の様に朽ちた。


スキル紹介は次回にします。

しかし蒼也君片方だけが一方的に話し続けるという回なんですが皆様に無事伝わるかどうかがとてつもなく心配です。

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