クエスト007:難問2
一日に2度の更新をするのは初めてです。
ちなみに僕は本編の様な美人教師との出会いはあまりなかったです。
人は生まれながらにして平等ではない。
その影響を受けて荒んだ心を持つようになってしまう人間は確かにいる。
それでも神城先生、あなたの正義は間違っている。翡翠は校舎内を駆けながらそう思っていた。
「待て、待つんだ!!」
校舎内に先生の声が響き渡る。しかし僕は問題なしにある場所へ向かいながら朱里さんに電話を掛けた。
「お兄さん、校舎内に入るなんて誰かに見られたらどうするの!?」
「今は試験前期間前なんで部活動もないので大丈夫なはずです。それに僕が向かうのは実習棟、生徒はおろか先生も居ませんよ」
「もう......無茶するんだから。それで、用件は?」
「ある生徒を探してほしいです。実習等に向かう前への寄り道です」
☆ ☆ ☆
「やっと見つけたぞ芥川。そういえばお前は本を読むのが好きな生徒だったな」
「勉強も禁止されてる図書室なんて誰も来やしませんから」
僕は図書室の長机に腰掛け先生を手招きした。
「お前はいつも一人でいる生徒だった。友達もいたが、いじめられてもいない。そんなお前がどうしてあの生徒にこだわる」
「こだわってなんか居ないですよ。僕だってできれば他人なんて放っておきたい」
「ならば何故?」
「改心する。それをモットーとしていた先生が変わってしまったのが悲しいだけです」
そうだ、どんな生徒にも対等に向き合って指導をしていた。
......僕はそんな先生に恋をしていた。
「芥川、言いたい事はそれだけか?」
「っ!!」
だめか......ならば戦うしかない。
僕はゆっくりと走り出す姿勢を取った。
「なるほど、あくまで私に逆らう気だな。しかしその様子だと私のスキルが判明したというのはハッタリの様だな」
「いいえわかっていますよ。先生、三猿ですよね」
「!! くっ......」
そう、みんなはご存知だろうか、見ざる聞かざる言わざるということわざを。
他人の欠点は見ない、聞かない、言わないとかいう意味だ。しかしそれを先生はスキルとして使用した。
内容はこうだ。
『自分が見た、聞いた、言ったことが現実になるスキル』。
だから体罰は成立し、僕の攻撃は成立せず、僕はぶっとばされた。
強力だが自らの攻撃にも条件がいる人の思い込み、認識力を延長したスキルなのだ
「いつからわかっていた?」
「僕が食品カタログで攻撃としたときですね」
あの時、ナイフやフォークなどの凶器は一切命中しなかった。しかしわずかに実体化させなかったページの紙切れは先生に命中していたのだ。
先生はそれをゴミとして認識した、ゴミくずという言葉は先生自身が発言していた。
体罰、ぶっとばす、ゴミくず。それらの全ては先生が実行した事、聞いてしまった事、言ってしまった事だった。
「なるほどなぁ、さすがは芥川だよ100点満点だよ」
「先生こそ、国語の教師らしいスキルだと思います」
「だがどうする? このまま私にぶっ飛ばされていながら紙くずで攻撃するか?」
「いいえもちろんそんな事はしませんよ」
僕はもう一度手招きをした。
「お前は......!!」
そう、僕が本棚の裏に隠していたのは体罰を受けた生徒だ。
しかしある部分が前と見違えるほど違った。
「お前、その髪は......ハッ!!」
先生が気づいたときには僕はもう走り出していた。
僕は生徒にリーゼントをやめるように頼み、見違える髪にしてもらった。神城先生に一泡吹かせてやるという条件で。
とにかくこの一言を待っていた。
僕の手はもう先生に触れていた。
「間違いなく、『かみ』と言いましたね。先生」
「くっ......お前まさかそこまで!!」
先生のスキルには弱点がある。
それは認識による三猿の範囲の拡張だった。僕が雑誌を投げた時、あまりにナイフやフォーク等を攻撃に見立ててしまった。その為、残りのページや紙切れをゴミくずと判断してしまう。
つまりは先生が思い込んだことに対しての誤差がでてしまうこと。
「疑心暗鬼、落ち武者は薄の穂にも恐ず。とてもいい難問でしたよ」
「ああ、100点満点どころじゃないな。成長したな――翡翠」
先生のスキルは『紙』に変えられ、僕の手に握られていた。
芥川翡翠のスキル解説コーナー
名前:無知なる心理
ランク:☆☆☆☆★
能力:自分が見たもの、聞いたもの、言ったものが現実になる。
①逆に上記に値しないものの攻撃は一切現実にならない。
②心理状況により上記に誤差が生じることがある。
翡翠コメント:珍しさで言うなら最高ランクのスキルだと思うよ。僕が言えた事じゃないけど......
特に防御面に関しては完璧な能力だねなんたって彼女が発言しなければ通用しないのだから。
僕も危うかったよ、あの作戦が通用しなかったらと思うとぞっとするね。




