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出立準備

 それから十日の準備期間をもらって、音無と共に下準備として、岩蠍いわさそりや、湿地帯に棲息する雷魚竜や沼狼などを狩っていった。その過程でレベルアップした俺は一層力を増し、指輪の内容も充実しつつある。今現在の指輪の中は、


 *食料【シユロ(10)、シユロ(4)、干し肉(10)、水袋(2リットル)】

 *魔法【大雷撃、雷撃(3)、硬化泥弾】

 *武器【死告嘴しこくし、十字弓(黒矢装填済)、黒矢(4)、虫矢(3)】

 *薬【病気治癒1/2、傷治癒2/3、怪力、解毒】


 そして南風獅子の鞄の中には、起術矢が七本と、手振り紐に入った黒子汁が四つ、さらに集落への緊急連絡手段としての焼き粉などが入っている。


 食料欄を占めていたリンゴ、五穀米、柿は、御万干のリー師に預けていた。なんでもリンゴと柿は種から、五穀米はそのものが種もみとなって、この世界でも自生させる事が出来るかもしれないとのこと。


「御万干の名誉にかけても必ず成功させる」


 と言うリー師の笑顔が燃えていたから、何が何でも成功させるだろう、なんとなれば呪術の力も借りて……


 いずれにせよ異世界でリンゴや柿、米をはじめとする穀物が安定して食べられるならば、これ以上ありがたい話は無い。何せ岩棚の集落では、湿しめりくつで栽培している苔やキノコ類が主食で、添え付けはこれまた繁殖させている昆虫なんて事も多かったからな……まああれはあれでスナック感覚で美味いんだけど。


 揉み種などと引き換えにもらった干し肉は、ボリュームは有るんだけどはっきり言って美味しくはない。何せ元は腐肉鳥だからな、臭くて硬くて筋だらけ。こりゃあ自動消費推奨って事で、真っ先に指輪に収納した。


 それと水袋だな、一応こちらから先に消費するように念じておいたから、水と食べ物を両方兼ね備えたシユロはお取り置きできるはずだ。


 そして薬欄の解毒薬、これは南風獅子の胆嚢を呪術加工してもらってできた代物で、特効薬とはいかないが、あらゆる毒に薄くでも効くようにしてもらった。それと南風獅子の魔石も、呪術によって加工してもらい、南風鞭と共に鎧服の強化に回している。これの効用は何かあった時に分かるだろう……まあわからないに越した事はないが。


 その駄賃代わりとしてシユロの灰汁あくは贈呈させてもらった。この取り引きがトントンなのかどうか? よく分からなかったが、俺にとっては悪く無い取り引きだから良しとしよう。


「そろそろ行くか」


 声に振り向くと、準備万端の音無が腰に手を当てて待っていた。体をぴっちりと覆う隠遁ファッションは、スタイルの良い音無に似合って、とてもカッコ良い。


「うん、行こうか」


 俺は既に通い慣れた岩場方面の門戸に向かうと、これまた見慣れた門番に挨拶して集落を出た。さてと……いよいよ最初のミッションだな。


 〝洞窟斑目熊まだらめの討伐、腐肉鳥の時みたいに不測の事態もあり得るからね〟


 ああ、分かってるよ、ここ最近の異常現象で、集落のベテラン達も何が起こるか分からないと言っていたからな。

 結界の外は予測不能。でもこの世界に来てから予測内の出来事なんて一つも無い。


 〝そうね、備えよ常に、常在戦場、気を張って行きましょう〟


 うん、俺も頑張るからサバ姉も頼んだよ。と念じつつ、いつものように隠遁を心がけると、音無と共に朝日の出きらぬ岩場を出立した。



〜〜第一章 完〜〜

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