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呪術ハンティング②

「ここで一時待機、あの窪みが分かるか?」


 俺の後ろにピタリとくっついて指示する音無。背中に感じる温かみが頼もしい。


「あの白っぽくて尖った端の?」


「そうだ、あそこに五羽の腐肉鳥がいる。接子が黒子汁ほくろじるを投げるから、手前のあの突起」


 音無の指先を追うと、ここから十歩ほど進んだ辺りにある、小さな突起のある岩を見てうなずく。


「あそこまで進んで、術矢を放て。いいか、黒子汁をかぶった奴ならどれでも良いから、矢を当てるんだ。後は自動的に黒子霧ほくろきりの呪いが発動するからな」


 何度きいても気持ちの悪い名前だな、黒子汁ほくろじる黒子霧ほくろきりって。いったい原料は何だろうか? 誰かの黒子を潰した汁に呪をかけているのか? 想起すると、ゾッと鳥肌がたった。


 〝また連想癖が出てるよ、もうすぐ合図がくるから、集中しな!〟


 サバ姉の叱咤に指輪を撫でる。この際だからと、十字弓を具現化、即使用というのを、実戦で試す事に決めていた。これが出来れば、かなり有力な武器になるだろう。更に外した時の対策もあるが……


「いけっ!」


 音無に背中を押されて、身を低く疾走する。強烈な横風に吹き飛ばされそうになるが、なんとか目印の突起にすがりついて難を逃れた。


 すると後ろから来た接子が、黒子汁を撒き散らしながら、手振てぶつつみを投擲した。今度はキッチリと窪みに届き、吸い込まれるように落ちていく。


 次の瞬間、


「ギュエエェェッ!」


 と悲鳴をあげた腐肉鳥が、メチャクチャに羽ばたきながら飛び出してくる。


 指輪の*武器から十字弓(術矢装填済)を意識した俺は、具現化して急ぎ標準を合わせると、即射った!


 そして即外した!


 十字弓の重みを支えようと気持ち上めに構えたら、それが仇となったらしい。見事にそれていく矢が、左上方に見えなくなる!


 ナンテコッタ、やっちまった! と慌てる事なく、予想していた事態に、十字弓を一度指輪に収納すると、


 〝収納された弓に装填可能な矢が一種類あります、装填されますか?〟


 と脳内アナウンスが流れる。途中でYes! もっと早く! と念じると、ベラベラベラッと早回しになって、術矢が装填された。

 それを再度具現化すると、後続の腐肉鳥も現れたところへ、今度こそしっかり照準を合わせて……発射!


 しっかり両手で構えた十字弓が、バンッ! と鈍い音を放つと、先頭の一羽に命中。それと同時に黒い霧が爆発的に広がった。


「やった!」


 〝やったね!〟


「おお!」


 俺、サバ姉、音無の三者が同時に感嘆の声を上げる。気持ち良い! 近くまで来た接子達も、俺の連射スピードに驚いたのか、目を丸くしている。


 どうだ! これぞ便利な指輪式、十字弓連射システム! もっとアナウンスなんかを工夫すれば、連射スピードも上げられるかも知れないぜ! エッヘン。


 得意気に胸を反らせ、ったばかりの十字弓を上に向けて、西部のガンマンよろしくポーズを決めていると、


 〝浮かれ過ぎだよ、次の矢を装填しときな〟


 とサバ姉に言われて、指輪の中に収納する。今度は、


 〝収納された弓に装填可能な矢が一種類あります、装填されますか?〟


 の文言をカットする感じで念じたら、


 〝装填?〟


 とまで短くなった。流石は便利な指輪、想像の上をいく神対応である。もうこうなったら、なにも言わなくとも装填してくれれば良いかも知れない。


 そんな事を考えながら、接子達が魔石を回収に行くのをボンヤリと見ていたら、その内の一人が突然吹き飛ばされた。


 何? どうしたの? 何か俺やっちゃった? 慌てる俺をよそに、


「行くぞ!」


 後ろに控えていた音無が飛び出していった。

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