表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/78

ふやけた足がくっっっさ〜〜〜っ!

 突然硬化泥弾のドームが解除された時、俺はうつらうつらしていたのだろう、心臓が止まるかと思ったが、何とか体が枝に引っかかり、落下する事をまぬがれた。


 周囲を見回すが、来た時同様何も異常は見られない。どうやら朝方のようだ。露に濡れた雑草が、キラキラと朝日を反射していた。


 ひんやりする風に、体のあちこちがまだ濡れている事を知る。特に酷いのは、やはり靴の中だな……俺は意を決して南風獅子の肉球ブーツを脱ごうとして、肌と同化したかのようなそれと格闘した。


 半ば引っぺがすように取ったブーツの中には、真っ白にふやけて、自分の物とは思えない右足。

 その臭いは、南風獅子肉球の生臭さとあいまって……くっっっさ〜〜〜!! 筆舌に尽くせぬ、壮絶なものになっていた。


 反対側のブーツの中身も、同じようなもので、むき出しになった足を、感覚が戻るまでよく擦り込む。グーパーしてる内にほぐれた足を、乾かす時間も無いと、泣く泣く元の肉球ブーツに押し込む。


 それ以外にも荒れた肌に鎧服が擦れ、全身の骨が軋む。あと言語ポーションの後遺症だろうか? 頭の芯もズキズキと痛んだ。


 〝しょうがないよ、かなり効果的な能力と引き換えに、脳内が引きちぎられんばかりにフル稼働したんだからね。実際脳の伝達器官の一部は焼き切れて、代謝されているはずよ〟


 えっ、何だって? 脳の一部が焼き切れるって、機械じゃあるまいし。


 〝まあそんなもんよ、貴方の体はもはや普通の人間のものでは無いわ。レベルアップなんて概念、普通にある訳無いでしょ?〟


 おおう、何だか説得力があるな、まあこの際、人間だろうが、亜人間だろうが、細かい事はどうでも良いが。


 〝そうそう、あなたのそういう軽い所は美点だわ。ついでに言うと、何かに監視されてる気配があるから、要注意よ〟


 サバ姉よ、そういう事は早く言ってくれ。

 俺はそそくさと大木を降りると、岩肌の目立ち始めた山に向かって歩き出す。


 途中でなるべく身を隠せる場所を探したが、結構見晴らしの良い岩場しかなく、致し方なく目的の山頂目指して、一直線に歩いた。


 右か? 左か? どちらから見られてる? どんな奴が?


 警戒心から挙動不審になり、肝心の前方が不注意になっていた。

 そのまま大きな岩場を無造作に回り込んだ時、そこに居たのは、人間大のサソリの様なモンスター、では無く、その死骸をついばむ、死告鳥の姿。


 〝なっっ!〟


 サバ姉の絶句が耳をうつ中、目の前の巨鳥は長い首を持ち上げると、こちらを振り向き、


「クエェ〜ッ!」


 と鳴いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ