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ここはどこ?わたしはアイドル(2)

「あ、ここ、ケータイ使えるよ!!」


・・・ありえない。これは夢だ。夢に違いない。地獄で携帯が使えるのなら、地獄に基地局を設置する通信会社はきっとあの会社だな…と妄想している場合ではなかった。「支配人補佐にかけてみて」と、ひめに指示した。

「かけるね・・・。」

・・・手馴れた操作でひめがスマートフォンを操作する。

「もしもーしえぐっち?!あたしあたし!ひめだよ!」

・・・これでは、ひめと支配人補佐だけで会話が完結してしまいそうなので、慌ててひめにスピーカーに切り替えてもらう。

「・・・もしもし、江口ですが、えひめちゃん?!」

「そうだよ!あたしに決まってんじゃん!」

「え、ええ。そうなんだけど、今、僕の目の前にもえひめちゃんがいますが・・・」

・・・謎だ、まったくわからない。これは名探偵でも解けないのではないだろうか。真実はどこにあるのだろうか。ひめにアイコンタクトして交代してもらう。

「支配人補佐、みやぎです。先ほど奈落で掃除していたのですが、気づいたら変な場所に来ています。」

「みやぎちゃん・・・。みやぎちゃんも僕の目の前にいるんだ。・・・これはイタズラ電話だな?!あ、いや、まてよ、これは間違いなくえひめちゃんからの着信だし・・・。おかしいな・・・。」

・・・どうやら支配人補佐も状況が飲み込めていないようだ。支配人補佐の目の前にも自分達がいる。確かめてないが多分しま姉もいるんだろう。目の前にいる…ということは、奈落から出ているということだ。自分達が分裂した?とにかく情報が足りない!


―ピピピピピ・・・・!!

スマートフォンから警告音が鳴る。

「あっ!!」

・・・そうひめが小さく叫ぶと、スマートフォンの電源が切れた。

「あたし、ギリギリまで充電しないタイプなんだよね!」

「あら、大変だわ。充電ケーブルがないわね。」

・・・それ以前に、電源があるかどうかもわからないんだけど、しま姉。

「とにかく、困ったわね。」

「わかってるわかってるって!えぐっちの目の前にもあたしがいるってどういうこと!?このあたしは一体なんなの?!」

・・・わからないことだらけだ。まず、携帯電話が使えるということは、ここは地獄のような別世界ではないんだろう。今までいた“世界”と同じ世界?それにしては明らかに風景が違いすぎる。地球と火星くらい違う気がする。ここはどこなのか、それをまず確かめたほうがいいかもしれない。

「変だー変だねーー。それよりなんかお腹空いちゃったー!お昼食べ損なったー!」

・・・自分もそろそろお腹がすく時間、いつもならもうそろそろコンビニにパンでも買いに行っている頃だ。

「私のお弁当、ロッカーに入れたままだわ。夕方までに帰れるかな。」

・・・帰れると信じる事は大事だろう…。現時点で全くなんの手がかりもないけど…。。

「あれ?!あれ?!お腹いっぱいになった!!」

「私も・・・なんか食べたような感覚・・・」

・・・自分もそんな気がしていた。さっきの空腹感とは明らかに違う感覚。何かを食べたような、満腹感と少しの幸福感。

「向こうのあたしがなんか食べたんだよ!」

「私はお弁当かしら?」

・・・なるほど。“向こうの自分”がお腹がすくと、“こっちの自分”もお腹がすく。“向こうの自分”が満腹になると、“こっちも自分”も満腹になる。なるほど、納得だ……納得……納得できない!!!ありえない!“向こうの自分”は今までどおりの生活を過ごしているとしたら、“こっちの自分”は一体なんなのだ?!今、自分はちゃんと自分で考えて、体も自分が自由に動かしている!

「みやぎっち何してんの!!」

・・・自分が急に手足をバタバタし始めたから、ひめがそれを見て指差して笑っている…。

「とにかくここにいても仕方ないですよね。劇場に戻りましょう。」

「どこに行ったらいいかわかんないじゃん!見てよ!周りにはなーーんにもないよ!?どこに向かっていいかもわかんないよ!」

「そうですね・・・。困りましたね。」

・・・確かにここに立ち尽くしていても帰れる気がしない。この変な世界に来る事になった原因かもしれない、奈落でしま姉が見つけた“何か”は、あたりを探してみたが見つからなかった。これがあればなんとなく帰れそうな気がしたんだけど…。

「やみくもに歩いても仕方ないわね。・・・何かあちらのほうに塔のようなものが見えませんか?」

・・・空が黒いので気づかなかったが、しま姉の指差す方向をよく見てみると、なにやら棒状のものが立っているようだ。

「んー、わかんないけど、とりあえず行くしかない!」

・・・自分達は、のそのそと歩き始めた。あの塔の場所まで歩いていくにはどれほどの時間がかかるのだろうか。途方もない時間がかかりそうな気がする。歩き続けるなら、水や食料や休む場所が必要だろう。しかし、全く何も持っていない。ひめやしま姉はそういうことにまったく気がつくことも無く、そのときになって初めて「水が無い!」とか言い出すんだろう…。そんなことを考えながら歩き続けていると、突然それは起きた。

「あれ?!あれ!!なんで!なんで!!!!」

「こんなとこで脱いじゃだめですよ?」

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