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カエル

作者: roboboa

吉田君は、今もどんどんと難しいことに挑戦している。

昨日は両生類と意思疎通ができるようになったらしい。

一昨日は一人合唱の全国大会に出たらしい。

私はといえば、たまに鳥に変身できるぐらいで、

でもそれは2年前に吉田君と一緒に練習したことで、全く進歩はない。


私が吉田君と会わなくなって、もう2年経つ。

2年経った今でも思い出す、吉田君の言葉がある。

思い出すと胸がホウッとするような、ムヤムヤッとするような、

そんな言葉だ。


私は今も吉田君が好きなのだ。


ただ、それは憧れ、もしくは嫉妬かもしれない。

今も吉田君と一緒に歩いていたなら、

吉田君の隣にいたなら、

送れたはずの今よりずっと素晴らしいに違いない自分の人生に対して。


そこにいるはずの自分が、うらやましいだけなのかもしれない。


昨日プリンを食べて、

甘くてのどにつっかえるような感じが吉田君に似ているので、

余計に吉田君を思い出した。




さっき、吉田君に会った。

吉田君は相変わらず優しくて、

「昨日、カエルがね、鳥になった君を見かけたっていってたよ。

 だから僕は胸が少しギュッてなったんだ」

と言った。

相変わらず吉田君は、私が後で思い出して胸がホウッとなるような、

ムヤムヤッとなるような言葉を言うので

私は今までの好きさや憧れやうらやましさが吹き飛んで

「ふうん」としか言えなかった。


吉田君は「君は変わらないね。懐かしい」と言ったのだが、

私は変わりたくて仕方がないのだ。


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