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厨二病症候群  作者: 北条南豆木
第一章 懐かしき仲間よ 始めまして チシャ猫です
5/31

裏通りは定番だよな

「望って服にこだわりあるよな。塾で見てて思ったんだ。こうザ・オシャレさんって感じ」


「最高の褒め言葉だ」


「あ、やっぱ服こだわってるんだ」


ザの意味がよくわからんが、純粋に嬉しい。


しかし、一周目ではもっと後に言われた言葉だ。やはり俺があの時とは違うから、多少の変化はあるんだろう。


そのことに対し不安がよぎる。


「さぁてと、そろそろ行こっか。」


「行くって、何処に?」


わざとらしい。自分でも思う。


「タダで美味しいお菓子とお茶がでるところ」


「なんだそれ?」


進藤は鼻歌交じりに、俺の手を引き「ついて来て」と言う。

いや、ついて行きざるおえないんだが。



もうすぐだ。早く、速くと走り出しそうになる。会いたい。やっと会える。



進藤に連れていかれ今、街の裏通りにいる。


「こっから先、道が入組んでるから迷子にならないでなー」


だから、手が繋がってるから、迷子になりようがないって。


途中手を離そうとしたのだが、「なんとなく手繋いでたいんだー」という、進藤のわけわからん理由により、仲良くお手々を繋いだ状態が進行中だ。



手を引かれ裏通りを右へ左へと曲がり進んで行く。先に進むにつれて人が少なくなり、気がつけば人っ子一人いない。



そして、いかにも「廃墟です」と言わんばかりの小汚い一軒家に着いた。




うん、失礼だがやっぱり何度見ても、人が住んでいるようには見えない。

窓が一つもなく、茶色い塗装が剥がれている、コンクリートの壁。何かの植物の蔓が張り付いている。


もう一度言おう。まさしく廃墟だよ、これ。


それを狙って塗装を塗り直さなかったり、わざわざ元々はあった窓を取ったのを知ってはいる。


しかし、それでももう少し綺麗にしても良いのでは?

そう思わずにはいられない。


進藤は俺の反応を見て、苦笑しながら言う。


「大丈夫、大丈夫。中はとっても綺麗だから」


知ってる。よく知ってるよ。

みんながいる空間、みんなが作ったこの場所が、キラキラ輝きどれ程美しいかを、俺は知っている


「ほら早く入ろう。美味しいお菓子とお茶が冷めちゃうぜ」


何も言えずにいる俺にお構いなしで、進藤はドアに手をかける。



前回は、まさか「お前の兄貴にはよく世話になってるからよぉ」とかそういう意味でのお礼⁈など、不安と疑念でいっぱいだった。

だが、今は待ち焦がれた仲間に会える、安心と確信でいっぱいだ。


そして扉は開かれる。



懐かしき仲間よ 初めまして チシャ猫です


一章 終


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