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厨二病症候群  作者: 北条南豆木
第一章 懐かしき仲間よ 始めまして チシャ猫です
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カッコつけておいて、こけると恥ずかしいよな

日曜日の午後五時五十分、俺は昨日進藤時正と出会った、駅から少し距離がある広場にいた。


兄から助けたあの後、彼から「お礼がしたいから、明日またこの場所で待っていてほしい」と言われたからだ。



心臓が高鳴る。早くみんなに会いたい。

きっと誰も俺のことを覚えてない、いや知らないだろうけど。



実は俺が逆行してしまったのは、今から二ヶ月程前。

状況を理解してから半月。

塾がまだ始まっていなかったので、進藤時正に会うのは諦め、もう一人の仲間に既に会いに行っている。


街の大通りにあるコンビニで働いている人なので、簡単にみつかった。



もしかしたら、なんて期待を持ち会いに行く。だがやはりというか、仲間は全く俺を知らなかった。


目が合っても普通にそらされた。


まぁ、同じように逆行してたら連絡くらいくれるよな、そのことに気づいたのは店を出て少したってから。


そして進藤時正も同じ。塾での始めての対面時、こちらも似たような反応だった。



・・・今更だが本名なのにすごい違和感つーか、「進藤時正」彼を俺はずっと白兎を音読みにして、「ハクト」と呼んでいたからだろうな。


懐かしく感じる。逆行前はそれが当たり前だったのに。


もどかしい、けれど今その名で呼んだら十中八九変人扱いだ。

せめて心の中でくらいハクトと呼びたいが、うっかり声にだしてしまいそうだし。

まだその時ではない。





いきなり後ろから肩を叩かれた。


「ごめん、待たせちゃたよな」


「いや全然」


反射的に速答する。

俺の後ろ、そこにはいつのまにかハクトが来ていた。


正直に言おう。「ハクト⁉」って声にださなかった俺すごい。さっきとは違う意味で心臓高鳴ってるよ。

まだその時ではない。なんてカッコつけておいて・・・。

恥ずくなってきた。


ハクトいや、進藤はなら良かったと、笑いながら駅の入り口を指差す。


「深井君カラフルだから、あそこからでもすぐわかったよ」


そうだろうな。見つけやすいように、昨日の色違い、しかもワントーン明るいのを着てきたからな。

自覚はある。だかそんなことより、鳥肌がやばい。君ってなに。


「望でお願いします」


「いいの?つかなんで敬語?」


「気にするな」


「んーよくわかんないけど、わかった」


この正直なとこは相変わらずだな。それと、


「後服がカラフルだから、と言ってくれ。まるで俺が頭染めまくってる、不良みたいに聞こえるから」


誤解を生む言い方も。


変わっていない、俺の知ってるハク・・・進藤、進藤時正であることに、安心と喜びに顔が緩みそうなのを、気力で抑える。

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