表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
厨二病症候群  作者: 北条南豆木
第七章 お手々を繋いで
31/31

萌えって言葉を作った人は偉大だよな

眩し過ぎる光に満たされた工場が、徐々に元の薄暗さに戻る。


右手で遮っていた目を開ければ、部屋の角で目を押さえのたうちまわるトォールに、呆然としてるティールがいた。



こいつ等がまともに戦う訳がない。誰も使わなくなり物も少ない廃工場でやるとしたら、何か武器を持ってくるか、不意打ちぐらいそれぐらい想像がついていた。


そして非常に情けないが、双子とやりあえるのは茨木さんのみ。

なら、自然に二対一になってしまう。


さすがにそれはきつい。

だからだ、こいつ等からしなくとも俺の方から不意打ちをかましてどちらかを、出来ればずる賢こく、べらべら余計なお喋りをする弟のトォールを足止めぐらいはしようと機会を伺っていた。



まさか偶然それがちょうど良く、こいつ等の方が不意を突けたと油断してる上に、わざわざトォールが来るとは運がついていた。





「光弾、そんな物まで持ってるなんて思わなかったわ」


後ろで茨木さんと進藤が、感心半分呆れ半分って感じで俺を見ている。


よかった。二人にあらかじめ此処に来る途中、俺が何か投げたら絶対に直ぐに目を瞑るよう言っておいたので、トォールみたいにならずに済んだようだ。


ひとまず上手くいった。安心してたら、突如ティールの笑い声が聞こえた。


「は、ははは。ひゃはは」



始めは小さかった声がどんどん大きくなり、弟が失明しているかもしれないのに、狂ったように笑い続けるティール、異様な空気に包まれる。

笑い出したの同じく突如ピタリと笑いが止まった。



背筋に寒気が走り、思わず後ずさる。


「すげーすげー。防犯ブザーに光弾かよ。なぁ、次は何を出してくれんだ」



一歩また一歩俺に向かって歩いて来る。ティールから感じる狂気に呑まれ動けずにいる俺の前に茨木さんが立った。



「駄目じゃない。レディをほったらかして、先に野郎を相手にするなんて」


「茨木さん!」


強張っていた身体から力が抜けた、頼もし過ぎる。


でもレディではなく、茨木さんも自分の言う野郎の一人だと知っているが、止めるふりだけでもしておこう。


俺はまだ茨木さんが男だと知らない事になっているのだから。

普通に考え女性に戦わせるなんてさせられない。



肩に手を置こうとしたら、茨木さんにその手をとられた。


「ありがと、大丈夫よ。私実は結構喧嘩慣れしてるからね」


そう言い、柔らかく暖かい笑顔で俺の小指と自分の小指を絡ませる。


「時正が暴走しないようにちゃーんと見張ってて、頼んだわよ」


指切りげんまんと軽く指を振り、手を離す。




ああぁー!きゅんってした‼可愛い過ぎるだろ!悶える。これが世に言う萌えなのか⁉


「なんだ、女だからって手加減なんざしねーぞ」


遠回しに引っ込んでろと言うティール。

もう少しこの幸せを噛み締めていたかった、くそ。



「いいわよそれで、私も手加減なんてしてあげないから」


まっすぐ互いを睨み神経を張り巡らせる二人。

空気がどっと殺気立つ。




思えばこの時だったのかもしれない。表現が痛いが、まるで蝶の如く舞う姿に、単なる一目惚れが、本気になってしまったのは。




俺と進藤が見守る中、茨木さんが先に動いた。


最近新しく連載予定の物ばかりに気がいきやばいです。


でもやっぱり望達も好きで、二股状態の作者です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ