まさかの二次元体験したら、驚くより先に喜ぶよな
気がつけば心配そうに自分を見る兄の顔があり、うなされていたとのこと。
寝起きのせいか、自分の今の状況がわからず周りを見渡すと、そこには二年前の日付のカレンダーがあった。
友達ではなく仲間というのに憧れていた俺はあの日、街で警察官の兄に追いかけられている同じ塾生の進藤時正を助けたことから、人生が大きく変わった。
進藤時正を助けた翌日、お礼にと彼にある場所へと招待される。
まぁあの時は、警察官の弟である俺は、良い情報収集源になると思われていたからってのもあるが。
そこは街の裏通りにひっそりと建っている、小汚い一軒家だった。
不信感を抱きながらも付いていけば、中には個性豊かな進藤時正を含めた五人と、一言で言うならばワンダーランドと表現できる程にファンシーな場所が待っていた。
後の話しになるが、その場所が主な理由で彼ら五人を俺は「不思議の国のアリス」の登場人物に例えたあだ名で呼んでいた。
そして仲間はそれに便乗し俺を「アリス」と呼んでいた。
これをきっかけに俺は様々な事件に巻き込まれ、苦労や危険はあるが五人の仲間達と共に幸せだった時間が過ぎていく。
俺が憧れてやまなかったのがあった。
しかし月日はたち高校3年半ば、そこで俺の時間は戻ってしまう。
二年前と同じ学校・同じ毎日、自分がいわゆるトリップ・逆行をしてしまったのだと理解するのに、随分時間が掛かった。
あの日々は夢だったのか、それとも今が夢なのか。
そして運命の日はやって来る。
自分の目の前で兄に追いかけられている白兎。
自然と口角が上がる。
あぁどちらも夢などではない、戻ってきたのだと、この時やっと実感した。
さぁさぁ白兎よ 俺を不思議の国へと連れていってくれ
ただしアリスではなくチェシャ猫をだ
だって本物のアリスはもういないのだから