顔がにやついて治まらない時ってあるよな
たまり場が驚愕の声で満たされた。
「ええー‼あの双子と会ったの⁉」
「怪我は⁈大丈夫なの?」
「彼らの来た理由はなんだったんですか?」
「んで、今回はどうやって追い払ったんだ?」
「・・・・・・」
「そんな一気に聞かれても、あの困ります」
あの後急いで進藤が待つ広場に行き、たまり場に着いた。
そして双子と接触したのを報告したら、ご覧の通りだ。
「あっごめん、じゃなくてなんで会った時に教えてくれなかったんだよ」
「悪い。たまり場着いてからの方が、全員いて良いと思ったんだ」
進藤は「そりゃそうだけど」と理解はしてるが、納得いかない感じだ。
さて、質問された順に進藤・茨城さん・内原さん・皇城さん、久木に答える。
じゃないと話が進まない。
「双子が学校に待ち伏せしてたんで会った。怪我はないです。来た理由は奴ら曰く『依頼状況確認の為』んで、なんかやばそうな雰囲気だったから」
そこで一旦きり、袖にある防犯ブザーを見せる。
「これ鳴らしたら逃げました。久木、それから茨城さんも心配してくれてありがとうござます」
横にいる久木の頭を撫でながら言う。
二人揃って満面の笑みが返ってきた。
和む。本当に癒されるな。
両手に花の気分だ。
しかし、和む空気は皇城さん笑いで吹き飛された。
「防犯ブザーっ、受ける」
何がそんなにツボったのかわからない。
ひとしきり笑い「さすが警察官の弟」そう言って今度は妙に納得し始める。
「希一。どうするんですか?依頼人にこの事報告します?」
内原さんのおかげで、再び本題に戻る。
皇城さんは首を横に振り、真面目な顔で、しばらく考える仕草をし口を開いた。
「望が会ったつーのは、間違いなく依頼人の話に出てきた友人だろう。となるとだ」
俺をはっきり見て続ける。
ん?待て。今皇城さん確かに俺を名前で呼んだよな。
皆普通に聞き流してるけど、え?あれ?
「奴らがお前を狙ってるのは確かになったな。ただ、こんな回りくどい方法にしたのは、わからねぇが・・・。おい、なんか思い当たることはないのか?」
「えっ⁈あっえーと、ないです」
咄嗟に答える俺は今だに混乱中。
俺の聞き違いか?
皆俺の反応に怪訝そうだが、それこそ聞き流してほしい。
一周目では、この時悲しくも俺は双子に拉致られ、お寝んね中だったからな。
正直この後どうなるか、どう変化するのかはわからない。
突然茨城さんから「ああ‼」と大きな声があがった。
「やだ、私達望ちゃんに捜査結果や協力内容何にも説明してないじゃない」
あっ・・・。全員「そうだった」って今更気づく。
いや、俺までそれじゃまずいよ。
・・・?んん?茨城さんまで普通に名前呼びになっている。
嬉しい、嬉しくはあるが素直にそう感じていいのだろうか。
一周目との俺にとっては大きな違い。
名前呼びがかなり早まったこと。
うん。やはり、これは喜ばしい違いだな。
皆がなんで誰も気づかなかったんだと責任のなすりつけになり、慌ただしい中、呑気に俺は微笑んだ。