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厨二病症候群  作者: 北条南豆木
第六章 フィナーレに向けて
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言ったことは戻らない・・・よな

「おい、待て!止まれってんだろ」


住宅地に怒鳴り声が響く。


兄ティールが俺の肩に手をかけ止めようとするのを、くるりと双子側に振り向き避ける。


「ここまで来ればいいでしょう。それで、ご用件はなんです?」


あくまで余裕そうに聞く。

俺のそんな態度に、ティールがまた怒鳴ろうとするのを、トォールが押さえ話しだす。


「ん~、ちょっと君等の依頼状況知りたくて来たんだぁ」



状況を知りたい?嘘つけ。一周目で、見事に俺を拉致ったくせによく言う。


「でも先に、君自身について知りたくなっちゃた。ねえ、教えて欲しいんだぁ」



トォールは、いや二人ともか。

俺の真意を探るような目をしている。



「どうして俺らが今日君を待ち伏せしてたの知ってるのぉ?それに、まだなんか知ってるんでしょ。例えばぁー俺達が来たもう一つの目的、とかさ」


途端に雰囲気が変わる。

単なる様子見だったのが、狩人かのごとく敵意を向け、少しずつじりじり俺との距離を詰める。



なるほど。最初から待ち伏せを予想し、何か仕掛けていると警戒してたが、その様子もない。


俺が余裕そうに喋るのは時間稼ぎかもしれない。ならば、先にこちらからって訳か。




双子が手を向けた瞬間、俺は笑みを深め袖に潜ませていた物の線を引っこ抜いた。



途端に住宅地に鳴り響くでかい音。

今俺の手には、殆どの人が見たことがあり、小学生が持たされる、あれ。



防犯ブザーがある。

まさか兄貴に無理やり持たされたこれが役に立つ日がこようとは、思わなかった。




流石にこれは双子も予想外だったんだろう。

動きが途中で止まり、間抜けな格好なまま固まってる。


此処は住宅地でしかも通学路から近い場所。

状況をいち早く理解したトォールが、兄ティールの腕を掴み走り出す。



それと同時に俺もまた行動する。

何も人が来て困るのは双子だけではない。


二人とは反対方向である、街に出る為の駅に、防犯ブザーの線を戻しつつ走った。



せこい手だが、仕方ない。

俺はアネさ、じゃない茨城さんのような戦闘員ではないんだから。



後ろが気になって振り返れば、まだ双子が遠くはあるが見えた。


本当に気まぐれだったのだ。

少し油断をしていたんだ。



視界に双子が着ている青いパーカーが入り、兄ティールの方を指差し、声をはりあげて言った。



「パーカーはやめておいた方がいいぞ」


聞こえていたかは、わからない。




しかし、今の俺の発言が後に後悔することとなるのを、俺はまだ知らない。





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