あなたはだぁれ?とか意味深なセリフはかっこいいよな
一同皆写真と俺を交互に見る。
しばしの沈黙。最初に口を開いたのは進藤だった。
「やっぱそっくり。望の真っ黒版だな」
そうだな。
「いっそ、これ深井君を探してるって言われた方が納得よね」
そうですよね。茨木さん
「ゲームの2Pみたいだな」
・・・確かに。皇城さん例えが上手い。
「・・・・」
久木。そんなに疑問の眼差しを向けられても、俺の口からは何も言えないんだよ。
首かしげても駄目!可愛いな、ちくしょう。
髪や服が黒い以外全て俺と同じ。
写真に写る人物。
「で、この人の名前はなんて言うの?年は深井君と同じぐらいよね?」
茨木さんが進藤に聞けば、進藤は依頼人を見る。
彼女はまた身を固まらせ、口ごもるだけ。
茨木さんに進藤は不思議そうにしているが、皇城さんに久木はピンときたらしい。
「知らないんだな。名前どころか年も住んでる場所も何もかもすべて」
皇城さんが威圧感ある眼差しを依頼人に向け、確信を込めて言う。
しかし、隣で久木が上下に首をふり、頷く姿で威力半減。
不思議がっていた二人は驚きで目を見開く。
彼女はうつむき何も言わない、いや言えないんだ。
俺はもう一度テーブルに置かれた写真を見る。
彼女が探してる人物。
ある意味では実はもう見つかっているのだ。
何故なら、これは俺なのだから。
もっと言うならば、俺を元にして作られた「架空の人物」
つまり実在しない存在なのだ。