ドッペルゲンガーって怖いよな
役者は揃いさて自己紹介、にならなかった。
進藤が連れて来た女の子。
耳下らへんで切りそろえられた、ミルクティー色の髪。
白いワイシャツ。
黒いデニム生地の肩紐があるズボン。
メンズ物の大きなシューズ。
ボーイッシュな印象を与える。
彼女がここに来てから、ずーっと俺を見つめて、口を開けあんぐりしているからだ。
「あの、なんかついてます?俺の顔?」
理由を知っているが、聞くしかない。
「えっ⁈ああ、すいません。あまりにも似ているので、びっくりしちゃて」
似ている?
俺を除いた全員が、どういうことだと思っているだろう。
察した進藤が説明し始める。
今日の朝いきなり駅で彼女に声かけられてさー、ナンパかと思ったら人探しの依頼だったんだよね。
そんな痛いの見る目するなよー。
ん?あっそっか。望は知らないか。俺実は街では結構有名なんだ。
だからちょくちょくこうして、何でも屋みたいなのしてんの。
最初は街走り周ってるから、情報通なんだって思われ始めたのがきっかけよね。
そうそう染也の言う通り。まぁ、実際そうなんだけど。
んで、その探してる人の写真見たら、なんと望そっくり!
マジ驚いた。もしかたら親戚か、なんかかもしれないから、望に来てもらったわけ。
「へーそんなに似てるのか。おい、写真見せろ」
依頼人である女の子に向かい、敬語もなしの命令口調。
皇城さんはこれが普通だが、知らない彼女からして見れば、はっきり言って怖いだろう。
茨木さんが「気にしないで。この人デリカシーないの」とフォローになってないフォローのおかげか、固まってしまっていた彼女はバッグの中から、おずおず写真を出す。
そこには俺の色違い版のような、似ているどころではなく、本人つまり俺そのまんまの人物が写っていた。