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厨二病症候群  作者: 北条南豆木
第四章 パレードの合図だ
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無知は罪だ 一度言ってみたいセリフだよな

授業が終わり、相変わらず賑わっている街を通り、約束の場所へと向かう。


広場に着けば、既にそこには進藤が待っていた。


「急にごめんな。今日もしかして、なんか予定や用事とかあったか?」


あるにはあるんだが、予定も用事も今目の前にいるお前なんだよな。


幼馴染は待たずに置き去りが基本だから、予定でもないし。



「いや、街ぶらつこうかなーぐらいしか思ってなかったから、大丈夫だ」


「本当か?よかったぁ。ならすぐにアトリエ、じゃなくて、えーと前お礼に来てもらったとこ行こう」



俺もよかったよかった。予定と用事が一気に済む。



あの場所を俺はたまり場と言ってるが、進藤や茨木さんはアトリエそう呼んでいる。



理由は簡単。

元々あそこは皇城さんの陶芸家だった祖父のアトリエだからだ。


今は亡くなってしまい、皇城さんが一人暮らしに調度いいから、親から譲り受けた場所。



久木の趣味により当初とかなり風貌が変わってしまったが、本人曰く。


「住めればいい。大体桜が作った物だぞ。異論はない」


そう言う訳で、部屋一面にある久木手作りの人形などは、少しでも踏むようなら張り手が飛ぶので要注意。



「なぁ、望。一つ聞いてもいいか?」


「かまわないが?あー待った。俺が先に聞きたいわ。この手はなんだ?」


合流してから直ぐに繋がれた手。

そんなに迷子になりそうに見えるか、俺。



「いいじゃん、コミニケーションつー事で」


そうなのか?


「それより、メールでも言ってたけど幼馴染だっけ?賑やかなの苦手っつー。んなに繊細な子なの?」


「超繊細だな。だからこれからも塾では、お互い顔見知り程度ってことで。悪いな」



超嘘です。

進藤も納得いかないらしく、眉間に皺をよせブツブツ「そうは見えないんだけどなー」とか呟いている。



進藤には申し訳ないが、乃木 壇 あいつを守る為に必要なのだ。




一周目の俺はどうしようもなく馬鹿で、進藤含めたみんなと仲良くなり有頂天で、まるで一般人から芸能人にでもなった気分。


秘密基地のようなたまり場。


憧れていた仲間、しかも個性派ぞろい。その上それこそ芸能人ばりに、整った顔立ち。


俺はそんなすごい人達の仲間。


周りにいる普通の奴らとは違うんだ。

そう感じてしまい、浮かれ気づきもできなかったんだ。




知らず知らずに、置き去りにしてしまった幼馴染が、


寂しような


悲しいような


裏切られたよう


ひどく辛い思いで、歪んだ表情をしているのに。



甘えていたんだ。

あいつならきっと勝手について来てくれる。


馬鹿して居残りになった壇を置き去りにして、翌日学校で会い、「望のバーカぁ~」そう文句を言って俺の後ろに着いてくる。


いつものように。


当たり前だったから、なんて言い訳にもならない。



現実は違う。

溝が深まっていく友情。

それがきっかけに事件に巻き込んでしまった。



もう俺はあの時の馬鹿な俺ではない。


何も知らない純情無垢な「アリス」ではないんだ。

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