登場シーン少なくて「え、誰だっけ?」ってなるキャラいるよな
あれから一週間。
俺は今本を手に、先生が来るのを待っている。
後十分か。
「のーぞーむ~。マジお願いします。助けて下さい」
隣でわめくこいつも変わりなく、日常を謳歌している。
「諦めろ」
「今回はマジでやばいんだって!
なあ頼むよ~」
しつこい。騒がしい幼馴染をチラリと見れば、例えるなら待てをされてる犬のように、俺を見つめている。
ご褒美は宿題の写しの許可と言ったところか。
斜め前に置いてある答案。それには 乃木 壇 しか書かれていない。
「・・・諦めろ」
途中だった本を読み始める。
隣がやかましいが、名前しかない答案、残り五分とないタイムリミット。
普通に無理だろ。
これが可愛い久木のような子なら、話は別だが。全力で力になるがだ、隣にいるのは平凡な男。
染められた短髪の明るい茶髪。
俺よりわずかに小さな身長。
よくも悪くない顔。
あえて特徴言うのなら、目が少し大きいね、ぐらい。
俺の大事な幼馴染 乃木 壇の外見はこんな感じ。
廊下からバタバタと足音が聞こえ、教室のドアがけたたましく開いた。
「セーフ⁈間に合った?アウトじゃねえ??」
今日も今日とて走り回っている進藤の到着だ。
汗だくの奴に、親しい塾の仲間達は「ギリなんて珍しいじゃん」「ほいタオル、汗すごいぞ」など軽い心配と共に集まりだす。
おーおー人気者だな。
隣を無視し、呑気に眺めてると視線が合う。
デジャヴ到来。壇といい、兄といい。俺の近辺には犬が多いな、おい。
進藤にメールであらかじめ「塾ではいつも通り、接してほしい」そう伝えておいてよかった。
ちゃんと効果はあったらしく、俺に用事があり、こちらに行きたいのを我慢しているのが、旗から見てもわかる。
今度はドアが静かに開かれ、先生が来たことにより授業が始まった。
途中携帯にメールがきて、見れば進藤から。
題名 緊急事態‼
本文
今日授業が終わったら、広場に来てーε=ε=ε=ε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
ああ、うん。わかった。
つまりあれだ。
事件発生ってやつだな。