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厨二病症候群  作者: 北条南豆木
第三章 ニヤリと笑うチシャ猫
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可愛いは正義だよな

ハート型のアップルパイを食べていれば、前から視線を感じ顔をあげる。


上目遣いで俺をまっすぐ見る目。

思わずだらしなく表情が緩む。



「とても美味しいよ」


俺を見ている久木にいえば、彼女は頬を赤らめ、音にするのなら、ふにゃという風に微笑む。



あー、可愛い可愛い可愛い。

「美味しい?」って聞いてくる目も、「よかったぁ」と言わんばかりの表情も全て可愛い。


久々に見る彼女の癖に、緩んだ表情は直らない。



「そうだろう、そうだろう。なんてたって、このアップルパイは桜の手作りなんだからな」


皇城さんは珈琲を飲みつつ、大きな手で久木の頭をなでる。


桜は俺の自慢の子だなぁ。そう言いさらに久木の頭をなでる。

久木も満更でもなさそうだ。



なんだろう、すごい和む。

紅茶を飲めばまた視線。


「僕の入れた美味しいお茶はどうだい?」



何故だろう。意味は同じはずなのに、何か違う。

大体答えYesとしか言いようがないだろ。


内原さんは相変わらずにこにこして聞く。わざとなのかそうじゃないのか、まぁどっちでもいいんだが。



「はい上手いですよ。俺好みの味で、飲みやすいですし」


実際本当に上手いから。

しかし、なんでここまで俺の好きな味なんだ?

ちゃんと会うのは向こうは初めてのはずなのに。


「それはよかった。あなたはいつもさっぱりとした味わいの飲み物を買っていかれるんで。もしかしたら程度だったんですが、今日来るお客様が当たっていて安心しましたよ」



あぁなるほど、さすが店員の鏡!



「だから俺の紅茶キャンディなのか」


セイロンに似た味で渋みがなく、さっぱりしてるお茶。

今はお茶の色・味で大方わかる。


俺はあまりお茶のことは知らない方だったんだが、珈琲・紅茶は一周目で内原さんから、学んだ知識だ。


「驚いた。正解です。よくわかりましたね」



独り言のつもりだったのだが、バッチリ聞こえてたみたいだ。

目をパチクリさせている。


あなたから教えてもらったことです、とは言えず苦笑するしかない。



「望いっつも塾で難しそうな本読んでるもんなー。博識だな」


いや、ちょっと違う気がするぞ。




その後本の話題に皇城さんが食いつき、さらに話しは盛り上がる。


もちろんあんたが好きなニーチェは読んでるとも。



そして気づけば夜の9時になっていた。

俺は進藤に駅まで送ると言われ、この日は名残惜しく廃き・・・いや、たまり場である家を出る。




去り際、皇城さんが言ってくれた言葉が耳に残る。


「お前ならまた歓迎してやる。好きな時に来い」



今のこの感情をなんて表現すればいいだろう。


幸せで嬉しくて暖かなこの気持ちを。


みんなにお礼を言い、行きと同じく進藤こと白兎に連れられ外へ一歩踏み出した。

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