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龍王の娘  作者: 瑞佳
第四章 龍王の娘
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光臨

かなり久しぶり更新でゴメンなさい。ラストが近いのに年末年始で子供がいるため中々書けませんでしたがこれから通常更新に戻る予定






暫らくユンロン様に縋り続けていると辺りがグニャリと歪み浮遊感があったかと思うと辺りが闇に包まれる。


「これは!?」


「!!」


『 レイカ 怖イ 』


何が突然起こったのか周囲を見渡せばそこは狭間のような真っ暗な大きな部屋で私とユンロン様とハクしかいない


何か大きな力でこの空間に引き摺られ連れて来られたように感じた


一体誰がと警戒をしていると忽然と金色に光り輝く人が現れる。


暗闇がその人によりそこだけが明るさを取り戻し光に包まれていた。


私と同じく金の髪に金の瞳を持った白皙の神々しい美青年で誰もが一目見れば魂が囚われてしまうと言っても大袈裟ではないだろう




天帝




瞬時に悟ると同時にファン様の言葉を思い出し私を処分しに来たのかと身構える。


「君がレイカだね 私が誰だか理解できるだろう」


「天帝」


天帝の悪行はハクのお父さんの件で知っており人格は最悪だと言っていいだろう


この世界の最高神だからと言って敬う気には到底なれず


本能的に敵だと認識していた。


「フッフ まさか君のような存在がこんなに早く出現するなんて 矢張り異界の血の所為だろうか―――アオイといいレイカの存在は実に楽しませてくれる。 龍王に感謝したいくらいだ」


「龍王に 何故」


「なんの力も持たない人間のアオイが何故この世界に流れ着いたか? 不思議な話だ つまり何らかの力が働いたからだ」


「龍王が何かしたからなのね ――教えて」


龍王が母様を呼び寄せたとは考えにくい


なら何故だろう


母様は崖の上から落ち、そのままなら溺れ死んだか浜に流れ着いたかはず


この世界に流れ着くのは不思議だと天帝に言われ気が付く


「自分で調べてご覧 そこにいるユンロンも知っているはず 」


あまりに思わせぶりな態度


私をかく乱する為の罠の気がするがユンロン様に尋ねてみるが


「ユンロン様……」


「申し訳ありませんがそれはお話出来ません」


躊躇ためらいがちに拒否されてしまう


きっと隠さなければならない理由があるのだろうし後で母様に聞けば分る事だ


それより今は天帝と渡り合わねばならない


「後で自分で調べます」


「クスッ   それより何故私が会いに来たか分かるかい」


「消すためでしょ」


「私にはこの世界の均衡を保つ必要があるので悪く思わないでくれ それとも天帝の座を望むか」


妖しく微笑み試すように聞いて来る。


「別に私は天帝の地位なんか興味ないわ 私はただ母様を救いたかっただけ」


「その母親を助けるため龍王を封じ泣かせているのだから本末転倒とはこの事だ」


「余計なお世話よ!」


痛い所をつかれ腹が立ち思いっきり睨みつけ威嚇する。


「フッ 私を睨みつける気性は父親似か、アオイに似れば可愛かったのに残念  それにしても消すには惜しい美貌だ 」


「!?」


何時の間にか天帝に体を引き寄せられてその体に閉じ込められてしまう


「皇女様!」


「離して!」


天帝に触れられ鳥肌が立ち背筋が凍る


「虎族は好色な者が多いのにこれまで良く純潔を守れたものだ。 どうだレイカが私の物になるのならその命を助けるがどうする?」


私と同じ金の瞳が覗きこんで来るが睨み返す


「誰が貴方なんか 死んだ方がましよ!」


「全く気が強い娘だ そう言う態度は男の征服意欲をそそるだけだと知らないのか」


 そう言うと私の唇を奪おうとするのを顔を背け拒否し一気に神力を解放し金色の閃光が走り天帝を突き放そうとするが微動だにせず力が全く効かない


「皇女様!」


ユンロン様が助けようと動こうとするが体が戒められているようで微動だに出来ないらしく悔しげに此方を見ている。


「駄目だよレイカ 生まれだばかりの君はこの力を使いこなしてはいない。 ただ力だけで押すのではなくテクニックも必要だ。ただ力を放出するだけでは無く力を練りより圧縮させれば威力は増す」


天帝は指先に小さな神力の光の玉を造り出す


それはキラキラと煌めき美しいが大きな力を感じる。


「この小さな玉だけでも凄まじい破壊力を見せる」


そういうと指先でその玉を弾くとその先にはユンロン様が立っている。


「危ない!」


しかしユンロン様は神力で氷の壁で防ぐが光の玉は一瞬でそれを蒸発させてしまい額に直撃する寸前で止まりヒヤリとさせられる


「ユンロン様に何をする心算」


「力の使い方をレクチャーしているだけさ」


「ならあの玉を消して」


「そうだ レイカが私にキスしてくれるなら消そう」


「えっ」


「お止め下さい」


「煩いなー」


天帝がそう言うと光の玉はユンロン様の周囲を斬り裂きながら凄い速さで動きだす。


スッパー シュ――ン ザシュッ  ザー


「グッ  クゥ……」


服や顔を掠め切って行く光の玉


顔には幾筋もの切り傷が出来て血が流れ出し見るに耐えれず叫ぶ


「止めて! 何でもするから酷い事をしないで」


そう言った途端光の玉はパッシーンと消えてしまうがユンロン様の衣服は所々斬り裂かれ その隙間からは血が流れているのが伺え血の気が引く


「フッフフ 中々扇情的な姿だ 男共が見れば我先に襲いかかられ犯される姿を見るのも一興だろうか 」


ユンロン様を男達の慰み者にしようというの!!


ふざけた口調だが天帝ならば本気で実行しそうで恐ろしい


「止めて!」


「私のものになるか」


私はコクリと頷く


ユンロン様のそんな姿など見たくない


私の愛する人を守りたかった。


「いけません 皇女様にそのような事をさせるくらいなら私は命を絶ちます」


「煩い男だ」


天帝がそう言うとそのまま時を止めた様に動かなくなってしまった。


「何をしたの!?」


「動きを止めただけ だが意識ははっきりしている。  さあ 私にキスをしておくれ」

どうせならユンロン様を眠らせて欲しかったがこれも天帝の残酷さなのだろう


私はオズオズと屈みこむ顔に自分の顔を寄せ唇を合わせると自らその首に確りと腕を回すと天帝は私の口を割り舌を絡め始めるのだった。


殆どの者が天帝の美しさと力に屈しその寵愛を望むだろうが私には最低な神としか思えず


さして私の美しさなど興味も無いくせに私を望むのは悪意でしかない


こんな神など滅んでしまえばいいのだと天帝の神力を全て奪う心算で力を吸う


天帝の口から力を引き出そうとするが一向に力は流れてこない


「?!」


戸惑いつつもキスを交わし続けるが反対に自分から力が流れ出すのを感じ愕然とするのだった。


「…… うぅぅ……ん…… いぁ……ん 」


急いで天帝から体を離そうとするが確りと腰に手を回され動けず成すがままになってしまい力が抜けて行く。


力が奪われて徐々に力が失われていき神核が変化して行くのを感じながら成す術がない


幾ら力があっても天帝を退ける使い方が分らず奪わるだけの自分が悔しい


私が出来る事を天帝も出来ると考えるべきだった。


そして天帝の口の中に玉が出現しそれが大きくなりそれが自分から分れた神核の一部だとわかり奪い返そうとするが経験の差か上手くいかずそのまま神核は大きくなって口に納まらなくなるのではと思っていると


『 天帝様 モウ ダメ! 』


ハクが天帝の頭に飛び乗り髪の毛をグチャグチャにしだす。


ハク! そんなことをしたら殺される


ユンロン様の様な目に合ってしまうと血の気が引くが


天帝は頭に乗るハクをヒョイと片手で持ち上げ私の唇を解放し離してくれるがハクが捕まったまま


「ハクに乱暴しないで」


天帝はハクをてのひらに乗せてにこやかにジーッと見るだけで怒ってはいないようで安心するが


「無垢なる者よ手を出すがよい」


何か仕掛けられると瞬間的に思い


「駄目よ天帝の言う事を聞いちゃ」


ハクは困ったような仕草をするが両手を天帝に差し出してしまう


何故なのハク!


ハクのバカ


ところが天帝は優しくハクの頭を撫ぜだすので驚く


えっ!?


「良い子だから御褒美を上げよう」


天帝は口から桃ほど金の玉を取り出すとそれをハクの手に乗せるとよろけるハク


『 重イ 』


「これをお前の父親に渡すがよい」


『 コレ レイカ ノ 』


「レイカには必要ない。 何も分っていない子供に扱える力ではない 一歩間違えば己が感情でこの世界を崩壊させてしまうだろう」


『 レイカ ソンナ事 シナイ 』


「本人にその気がなくとも感情で我を忘れ無意識にその力を暴走させれば同じ事。 今も私が仕掛けた事に素直に反応し冷静な判断が出来なかった。 折角力の使い方の基本を教えても活用せず偽物のユンロンにさえ気付かないのだから話にならぬ」


「ユンロン様が!?」


そう言われユンロン様の方に駆け寄るりその体に触れようとすると一瞬でそのズタズタな姿が幻のように消えてしまった。


「クスッ それは私が造った幻 力を使えば簡単に分っただろうに。 それに自分が魂だけ呼ばれているのすら分かっていない」


魂!?


だけど生身の体のように感覚がありとてもそうは思えない


実態も伴っているの?


何故そんな手の込んだ事を……


「私を試してたの」


「試したと言うより遊んだだけだよ~」


「!!」


何時の間にか青年から少年の姿になっている。


青年か少年の姿に変わり雰囲気もガラリと変わり悪戯っこのような軽さを感じ戸惑う


どっちが本当の天帝?


「レイカにはこの力は豚に真珠だから~お前の父親が持つ方がましでだから渡しておいで」


『 レイカ イイノ? 』


豚に真珠!!


ムカつけど確かのこんな大きな力は使いこなせないし私に必要ない


むしろ放り出したかったのが本音だった。


「悔しいけど天帝の言う通りだわ ハクのお父さんに渡して」


『 分った! ハク 行ク 』


少年の姿の天帝に抱っこしてもらったままのハクは納得した様で金の玉を確りと抱きしめ直すと


「 それじゃあ~僕が向こうの世界に帰るから途中まで送るよ 」


『 アリガトウ 天帝様 』


突然天帝は用は済んだとばかりに瞑道を開ける。


「バイバイ~ レイカ。 そうだ言い忘れたけど龍王は元に戻したから~」


「!!」


何ですって!?


そしってハクを連れあっという間に姿を消してしまい呆気にとられたまま見送ってしまう

真っ暗な空間の中に一人取り残されてしまう私



「一体何が起こったの」


この展開に頭がついていけず立ち往生してしまう


今までの天帝の行動は全て私をおちょくって力を奪う為


信じられない!


しかもあんなキスをするなんて!


幻とはいえユンロン様の目の前でキスを強要されどれだけ乙女心が傷ついた事か


「許せない 許せない! 今度会ったらあの顔をぶん殴ってやるんだから!!」


怒りが沸々と湧き一人誰も居ない空間で怒鳴ってしまう


「それに龍王を戻したですって! 力の大半を奪われた私じゃ二度と封じれないじゃない」


そう龍族としての力はあるが龍王を少し超えるぐらいだろうか


そして自分の髪の色が暗闇と同じ黒に戻ってしまっているのに気が付く


「髪が戻ってる……母様と同じ」


これだけは純粋に嬉しいが龍王が復活してしまったのは複雑


これで龍王にならずに済むがあの男が母様の側にいると思うと腹が立つ


母を閉じ込め私を殺そうとしておいて愛してるなど都合が良すぎる


「だけど母様は喜んでるだろうな……」


そう思うと切なくもありホッとしたような複雑な気持ち


それに以前ほど憎しみは薄らいでいるのも確かだ


考えていても答えは見つかりそうもないのでソロソロ体に戻ろうとするが


「どうやって戻ればいいの???」


初めて肉体と魂が分離した上に他者の力で引き離されて方法が分からず途方にくれ、このままでは肉体に戻れず幽霊になってしまう


なんて忌々しい天帝


絶対に態とだわ


なんて性根の腐った神


どうしてあんなのが天帝なのか不思議でならない


「ハクのお父さんが天帝になればこの世界はもっと平和なんじゃないかしら」


幸いな事に私の力は天帝では無くハクのお父さんに渡されるけど謎は尽きない


目障りだと神玉に封じてしまったハクのお父さんが力を取り戻してもいいのだろうか?


しかも再び地球に戻ろうとする真意は?


天帝の行動を考えると疑問ばかりが湧いてきてしまう


どうやら理解しがたい存在だと考えるしかない。


私の前には問題ばかりが増えて行きこのままこの空間に引き籠ってしまいたくなり


その場に座り込んで体を丸めて目を瞑る。


「これから如何しよう……」


龍王が復活した。


私がこのまま眠りに着けば母様は龍王と幸せに暮らすかも


龍王は私人としては最悪なだけで王としては立派な人物で多くの人を救って善政を施しているのは白虎国と比べ歴然としているのだ


非情だが悪では無いのは理解した


母様を閉じ込めていたがお互い想い合っていて二人の関係は上手くいっていたのだろう


「きっと私が産まれて来たのがいけなかったんだわ」


そう思うと悲しくて悲しくて涙が出て来てしまう


自分の存在が酷く疎ましく感じ


静かに涙を流していると




『 皇女様…… 皇女様…… 』





ユンロン様が私を呼ぶ声が聞こえて来ると もしかして天帝が惑わそうとしているのかと疑う


天帝の遊びなんてもう付き合えない


無視しようと目を閉じようとするが




『 皇女様 お返事を  どうか返事だけでもお返し下さい 』




切実なユンロン様の声にもしやと思いだす




『 皇女様 お声を…… 』




「 …… ユンロン様? 」


『 !! 良かった御無事なのですね 』


安堵し嬉しそうな声に本人だと確信する。


きっと私の体はユンロン様の側に留まったままのはず


「はい 天帝に魂だけ引っ張られて狭間の様な世界にいるんですけど戻り方が分からないんです」


『 天帝様が!! 何もされませんでしたか!? 』


「 実は 神力を奪われてしまいました… 」


本当はキスもされたけどユンロン様にそんな事を言えない


『 !! 兎に角魂を導きますから 私の神気を辿って下さい 』


目を瞑りユンロン様の神気を探るとある方向から流れて来るのを感じそちらに意識を集中させユンロン様の姿を思い浮かべる。


ユンロン様に逢いたい


そう思った途端体が引っ張られる感じがしたのだった。








 

龍王が復活してしまった詳細は「龍王の伴侶」をお読み下さい。




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