窮地
ホテルのフロントに一組の男女がやって来る。その時フロントマネージャーがおらず女性の若いフロント係だけで接客をしていた。
男の客は20代でブランドの服で決めてはいるが何処か軽薄そうながら顔立ちは整っており甘いマスクでホストぽい、女の方は体の線を強調した服に派手なメイクな美人で男にしな垂れかかていた。
「一番いい部屋を頼む」
フロント係は急いでパソコンを操作し空室状況調べ始める
「申し訳ありません。生憎今夜はスイートは満室でジュニアスイートならご用意出来ますが」
「僕を知らないの~このホテルの社長の息子の大沢有紀だよ。確かここにはおじい様に専用の部屋がキープしているのは知ってるんだ。そこのキーを寄こせ」
フロント係は大沢の名前を聞き慌てる。
「!! っそれが今夜はそこは既にお泊りのお客様がいらっしゃいます」
「おじい様が来てるのか」
「いいえ」
「誰が泊っているか教えてくれないか」
「申し訳ありません。規則でそれはお教えできない事になっております」
女性は平身低頭で謝るのを見ながらニヤリと笑い、連れて来た女の耳元に囁く
「少し時間が掛からるからロビーで座って待ってて」
「直ぐ来てね~」
女は少し離れたロビーのソファーに座るのを確認してから有紀は女性フロント係の目を見詰める。
「どうせ泊っているのは僕の身内だ、もしかして親父が愛人でも連れ込んでいるのかい」
「いいえ…そのような事はありません」
有紀の顔が迫ってきてドギマギする女性
「ふ~ん 君が話したなんて言わないから、コッソリ教えてくれないかい」
「でも」
有紀はフロント係の女性のネームプレートを見ておもむろにその手を取ると驚きはするが拒否は示さない
「恵ちゃんて言うんだ~ 可愛いね、今度デートしない」
「えっ……」
「僕と仲良くしていても損にはならないよ」
女性は頬を染め逡巡 するが決心して小さな声で教える。
「紫お嬢様が連れていらっしゃった葵さんと言う女子高生です……」
「葵ちゃんか! 紫も一緒?」
「いえ お一人でお泊りです」
「有難う恵ちゃん。それじゃあ僕はジュニアスイートで良いから部屋を取ってくれる」
「はい かしこ参りました」
女性フロント係は直ぐさまキーボードを操作して部屋をチェックしカードキーを渡す。
「こちらがキーです」
有紀は女性フロント係の手を握りカードキーを受け取る。
「今度連絡するから携帯教えて」
女性は急いでメモ用紙に番号を書いて渡すのを嬉そうに受け取りポケットに入れる。
「じゃあね~」
そ言ってフロントを離れて行くのを見送るフロント係
ホテルの御曹司に声を掛けられ少し期待してしまう、例え一度でもいいからデートをしたと思ってしまうほどカッコいい男性
まだ若い彼女は自分がした事を大した事だと考えず、泊り客を教えるだけで大して罪悪感もない。それより御曹司とのデートをとってしまう
だから有紀がどれだけ性質の悪い男か顔に騙され判断出来ず後で後悔する事に気が付かないのだった。
有紀は女性を連れエレベータに乗り12階のボタンを押す。
「あら? 11階じゃないの」
カードキーの番号を見た女性が指摘する。
「12階に従妹が泊っているから挨拶をしようと思って」
「え~ 嫌よそんなの」
「嫌ならここで帰るかい」
「もう~ 付き合えばいいんでしょ……」
そして二人は腕を組みながら葵が泊る特別室の前のドアに立つと有紀は女性の耳に何かを囁くと女性は嫌な顔をする。
「何でそんな事をするの」
「従妹を驚かしたいんだ。お願い」
チュッと頬にキスされ不承不承言う事をきく事にする。
女性はドアの横にあるインターホンを押し、暫らくすると若い声のの女性の声
「はい、どちらさまでしょう」
「紫様よりお預かりした物をお届にあがりました」
「…… 今開けます」
ドアを開けると聞くと有紀は財布から5枚の1万円札とカードキーを渡し女性の手に無理やり持たせる。
「何これ??」
「俺は従妹と話があるから先に部屋に言っていて」
「え~」
「今度好きな物買ってあげるよ」
そう言われ打って変わり機嫌を直す。
「分かったわ。早く来てね」
そう言って女性がエレベータホールに消えて行くのを見る事無く有紀は虎視眈々と目の前のドアが開くのを待っているとドアチェーンの外される音と共にノブが回る。
ドアが恐る恐る開かれて10㎝ぐらい開けれれると一気に有紀は開けて体を滑り込ませる。
ドン!
「キャッ!」
有紀に押され後ずさる葵は何が起こったか分からない内にドアが閉まる音を聞くと目の前に立つ男性に気付く
「やあ~ 葵ちゃん今晩んわ~」
軽薄そうに笑う有紀だった。
驚いたように目を見張る葵だがその顔は相変わらず泣いて目が真っ赤で潤んでいる
「有紀さん!! どうして……」
「一緒に遊ぼう~ お目目の赤いウサギちゃんはオオカミに食べられる運命なんだよ~」
そう言って嫌らしく笑う顔にゾッとし葵は急いで何処かに隠れようとするが腕をとられてしまう
「嫌! 離して!」
葵は懸命に腕を振り解こうとするが反対に引き寄せられ捕まってしまう
「こんな事しておじい様が黙っていないわ!」
抱きしめられ動きを封じられてしまい成す術が無いまま有紀に抱き上げて寝室に引き摺り込む
「あんまり抵抗すると酷い事しちゃうよ」
「あんたなんて最低!」
以外にも有紀は細身の体ながら力があり葵が幾ら暴れても軽々とベッドまで運ぶと押し倒してその上に跨ると葵の着ているセーラー服のリボンを外しそれで両手首を縛リ初め慌てる
「何をするの!?」
「この状況で愚問だね。僕が気持よくしてあげるよ」
そう言いて手を縛った後自分の上着を脱ぎシャツを脱ぎ棄てると以外にも確りと鍛え上げられた体が現れる。
葵は何とか跳ねよけようとするが両手を頭の上できつく縛られた上に有紀がお腹の上で抑えられ身動きが取れず、このままでは強姦される。
暴れようとするが軽々と肩を手で押さえられ足しか動かせない状態
「絶対許さない!」
葵は憎しみの籠った眼で自分を犯そうとする男を睨みつけるが、気にする風でも無く益々顔を歪め愉悦を浮かべる。
「そんな顔で睨んだって男を煽るだけだよ」
そう言って葵のセーラー服を破りブラジャーを引き千切ると葵の胸が顕わになってしまう
ビィリリィィーーーーーーーーービッリィーー ブッチィー!
「キャアーーーー!! 」
そして顕わになった葵の胸と美しい肌に釘づけになる。
「ヒューー すげえ~~」
細い体に反しCカップある形良い胸には薄紅色の乳首がほんのり色ずいており素肌もシミ一つなく日本人らしかぬ程に白く透き通っていてまるで大理石の様
「……!! みっ見ないで!」
葵は目を瞑りこれからされる事を思うと恐怖で震える。
有紀は打ち震える葵を見てその体を舐めわすように鑑賞し内心ここまで綺麗だとは思わなかった。今までモデルの綺麗な女も抱いて来たが脂肪の無いガリガリの体に正直萎えたが、葵は細い体に薄い肉付きだが豊かな豊満な胸にしなやかな体のラインが艶めかしく今まで地味だと思っていた顔すらも整っているのに気が付く
「尚吾の奴が執着するはずだ… じじぃにもその体でサービスしてたんだろ~ そうじゃなきゃお前みたいな女を世話するはずが無い」
あまりの言葉に葵はキッと睨む。
「おじい様とあんたみたいな下種を一緒にしないで!」
バッシィ!!
「キャッ」
有紀は手加減なく葵の頬を平手打ちにし、痛みと打たれた事のショックで茫然としてしまう葵
「あんまり可愛くない事言うともっと酷い事するよ」
サディスティックに唇を上げて葵に覆いかぶさり葵の首筋に顔を埋め右手で形良い乳房をもみほぐし感触を楽しみ始めてると同時に唇でその肌の滑らかさを味わい徐々に下に愛撫を下ろして行くのだった。
このままこんな男に犯されるかと思うと悔しかった
この男だけは嫌!!
だけど力では敵わない―――隙をつくしか無いと思い立ち
有紀を油断させるため私は体の力を抜きなすがままにさせるが
初めて胸を愛撫されおぞましさに悲鳴を上げたいが決して声を出さないように唇をかみしめる。
「漸く観念した~ 大人しくしてれば気持ち良くしてあげるから」
有紀がそう言い体を浮かし体を横にずらしてスカートに手を掛けようとする。
今だ!
右ひざを上げて思い切り股間を狙い打ちつけてやる
ガッツ
「グゥ……!!」
有紀はまさかの反撃で勢いと痛みでベッドから転げ落ち、すかさず置き上がって廊下に出ようとベッドがら飛び出しドアまで走るが足が震え思うように走れず家具にぶつかりながらも出入り口のドアのノブに手を掛けようとした時
グイ!
長い三つ編みが引っ張られれたかと思うとのけぞり床に倒れる。
ドカッ!
「アッア!! うっ……」
「折角優しくしてあげようと思ったのに~ 悪い子にはお仕置きだ。 ここでたっぷり犯してあげる」
見上げれば凄まじい形相で見降ろす有紀
逃げられないの!?
絶望感に打ちひしがれてしまいそうになるが諦めず声を張り上げるしかなかった。
「誰か助けて!! 誰かーーー! 」
すっかり辺りは暗くなりホテルの窓から漏れる明かりが煌々と見えて来る。
「やっぱり私が運転した方が早く着きましたわ」
「お前の運転など恐ろしくて乗れん」
おじい様のお抱え運転手の芝山さんの安全運転のお陰で予定より戻るのが遅くなってしまった。葵ちゃんは決意を固めている様なのでそんなに心配は無いしホテルなら何の心配もなかったが矢張り一人にして置くのは不安
車がホテルの玄関エントランスに横づけさっれると芝山さんが運転席を降りすかさず後部ドアを開けてくれる。
「有難う芝山さん」
私が最初に降りその後からおじい様が車から降りてホテルの玄関を潜るとおじい様に気が付いたホテルスタッフ達が急いで駆け寄って来る。
「これは大沢会長、ようこそお出で下さいました。今総支配人を呼んでおります」
フロントチーフマネージャーのネームをつけた年配の男が恭しく挨拶をする。
「うむ」
「おじい様は今夜お泊りになるから部屋をお願い」
「ただいま急いで手配致しますので少々お待ち下さい」
「ロビーでお寛ぎ下さい」
そして女性スタッフが促されロビーのソファーに座りコーヒーをだしてくれていると総支配人とチーフマネージャーがやって来る。
「大沢会長お久しぶりで御座います。今日は急なお越しですが何か不手際でも御座いましたでしょうか」
総支配人はおじい様の顔色を伺うように聞く
「いや、葵が心配で来ただけだが様子はどうだ…」
「特別室のお客様はお部屋に引き籠ったままです」
「そうか…」
「それよりお部屋ですが、あまり良いお部屋がご用意できませんが宜しいでしょうか」
「寝れればどこでもいい」
「申し訳ありません。それと先程宿泊者チェックしておりましたら有紀様がご宿泊していました」
「有紀が!!」
私は思わず嫌な予感が走る。
「まさか葵ちゃんが泊っているのを教えなかったでしょうね」
すると女性スタッフが明らかに動揺する。
「有紀様の対応をしたのは君のはず… どうなんだ? お答えしなさい」
チーフマネジャーが女性スタッフに問うと真っ青になりながら小さな声で答える。
「有紀様は女性と一緒にお泊りにいらっしゃったのですが、どうしても特別室のお客様が誰かと迫られお教えいたしました」
「じゃあ有紀は知っているのね」
「はい 申し訳ありません」
女性スタッフは深々と頭を下げて謝る。
「どうした紫、別段有紀が知っても問題はなかろう」
「先日のパーティーで葵ちゃんは有紀に絡まれてるんです。 おじい様 急いで葵ちゃんの所に行きますよ」
私は立ち上がる。
「まさか… アレが葵に手をだすはずがなかろう」
確かにおじい様のお気に入りの葵ちゃんに手をだすなんて自ら首を絞めるようなもの
だけど有紀はバカだ
女は全員自分になびくと思っている程に自惚れが強く、病的に女好き。一度狙いを付けた獲物を早々見逃さない
小さい頃からの付き合いで其の辺の女性関係を自ら自慢して聞かされているのだ
「私はおじい様より有紀を知ってます! 総支配人マスターキーを持って付いて来て」
私はエレベータホールに向かうがエレベータはどれも上階で泊っており中々降りてこないのイライラして待つしかない
どうかこの不安が杞憂で終わる事を願うのだった。