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龍王の娘  作者: 瑞佳
第二章 白虎国編
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虎王の戴冠式 その3







あの糞女何捕まっているんだ!!


しかもレイカの周りには兄上に亀王と青龍国の丞相がついていながらムザムザとレイカを奪われるとは使えない!


あいつ等はレイカの重要性を分かっているのか!


その他大勢の臣下共を相手を一人でやっている俺の身にもなれと毒づきたいがその暇が無い


だがある意味レイカが奴の側に行ったのはチャンスだ


俺は力尽きた振りをして態と捕まる。


実際に既に神力は余りなく体力的にも限界だった。


取り押さえた男が俺の腕を捻り奴の前に連行しようとするが嫌な奴が立ち塞がる。


今まで壁際で静観し続けた第四皇子だった。


「私が陛下の所に連れて行こう」


手柄を横取りされた男は無表情に俺を渡す。


「無様だねフォンフー 陛下は何故こんな出来そこないを気に掛けるのやら」


「フン! 気に食わないならこの場で俺を殺せ」


「私は陛下の下僕 命令は絶対で逆らえない」


「クッ……」


そう言いながらも俺の手をねじあげる力を強める。


昔から奴に心酔していたが自分を下僕と言い切るなどプライドの高いこいつが言うはずが無い。矢張り支配されてしまっているのか


第四皇子に引っ立てられ奴の前に突き出さると奴の手には気を失うレイカ


これでは神玉どころか神力さえ奪えない


王達もレイカを人質に取られ動けない様子だ


「陛下、フォンフーを連れてまいりました」


「フォンフー 私を焦らすなど悪い子だ……さあお出で」


奴がねっとりとした視線を向けて気色悪く躊躇っていると第四皇子が背中を押し奴の方に体が傾き奴の足下に跪く。


奴の顔を見ずに頭を下げて多分無理だが懇願する


「お願いですから、私はもう兄上に逆らいません、どうかレイカをお放し下さい」


「この娘を使って私を討つつもりだったのだろフォンフーよ。一体この人間にあらざる力を持つ娘は何者だ?」


奴は俺を見降ろしながら試すように聞く


「私はレイカを拾っただけでその正体や出生までは分かりません」


「おや…青龍国の丞相が皇女と言っていたのは気のせいだろうか?」


矢張りバレテいるか…… レイカの力も出生も


手の内を全て読まれている以上どうする?


今のままではレイカは正気に戻った王達の枷にしかならない


切るしかないのかと迷っていると


「フッフッフッフ…… 心配せずとも殺しはしない、この娘の力は利用できるから我が下僕にしよう」


王達同様に黒い気を送り込むらしいがレイカには奴の力が効かない。それを知ればレイカは殺されてしまうだろう


このまま見捨てるかと打算が動くが余りにもレイカに対し情を持ちすぎた


道具として接していればと後悔するが遅いだろう


俺も甘いようだ


こいつに裏切られた時からもう誰も心に入れないと決めた筈なのに


インフーとレイカにより俺は癒されたのだろうか


俺はこいつの様になりたく無い


絶対に愛する者を傷付けたり、裏切ったりはしない


俺はレイカを守る!


だが今の疲れ果てた俺では無理だが最期の手段をつかうしかないが覚悟は直ぐに出来た。


「レイカはお前の下僕になどにならない! そして俺も!!」


俺は自分の中にある神虎に転神する為に虎核を解放する。


普通は百歳の成人の儀を迎えた時に転神をするのだが別段百歳にならないと転神出来ないからではなく、心身共に成長せずに転神した場合二度と人の形を取れなくなるからだ。


その場合は国には住めなくなり崋山の神獣として生きるしかない


それもいいかもしれないロウと二匹自由気ままに生きれるのだから。


「止めろフォンフー!!」


奴が止める声がするがもう誰にも止められない


一瞬辺りが光に包まれ体が燃えるように熱くなると同時に体が変化して行き一頭の白虎に転神するや否や虎王に跳びかかり奴を押し倒すと奴からレイカを引き離すのに成功し、すかさずレイカを風で王達の元に飛ばすと同時に痛烈な衝撃が全身を覆う


グゥワァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


黒い鎖のような物が体を打つと同時に意志を持つように体に巻き付き動きを縛られその場に倒れてしまう。


ドサリ


「なんと愚かな……人の姿を捨ててまであの娘を救うのか……    許さん!!!!   」


怒りで目を赤く血ばらせ俺を見降ろす。


《 お前のものになるくらいなら獣として生きた方がましだ! 》


「なんだと!! そんなに私に殺されたいのか…ならば望み通り消し去ってやるわ! そのような姿のお前など用は無い!」


《 笑わせる! 虎族の本性はこの姿で人の姿の方が仮初、己とて同じ獣では無いか!! 》


「黙れ!!  所詮お前は擬い物だった」


黒い鎖の絞めつけが強まりそのまま体が分断されそうな痛みが襲う


《 ぎゃああああああああああああああーーーーーーーー 》


気を失いそうになり死を覚悟した時だった


「それ以上の暴虐は余が許さん!!」


突然、亀王が割って入り虎王に自分の長い金の髪を巻き付け動きを封じその隙に兄上が自分の体の倍以上ある俺を軽々と持ち上げ移動して床に横たえさせてくれる。


「全く無茶をする。 今戒めを解こう」


そう言いて黒い鎖を外そうとするが外れず絞めつけも続いて呼吸すら困難になって来る


「くっそ、外れん!」


「フォンフー様」


そこへ意識の戻ったレイカが抱き付いて来るが、その顔は涙が溢れている。


《 お前の所為でこの様だ… 俺はもう駄目だ責任を持って奴を倒せ 》


「嫌です! 絶対鎖を外し神力を注ぎますから一緒に戦って下さい。一人だけ楽をしようなんて許しません グッスン… 」


《 チッ 我儘な女だ 》


泣きながら俺に戦えとはレイカらしい


しかもレイカが黒い鎖に触ると一瞬で消えてしまう。どうやらレイカが吸収したのだろうか…龍族として目覚めれば無敵なのではと空恐ろしくなる。


そしてしがみ付くレイカから温かい力が流れ込んでくると力がみなぎり闘志がみなぎる。

転神した俺は人の姿の時より遥かに神力が増し強力な牙と爪と力を得ているので十分な戦力になるだろう。


俺は立ち上がり周囲を見回す。


何時の間にか目覚めた朱雀王と青龍国の丞相が残っていた臣下や皇子達をいとも簡単に倒して行くのが見え、そして虎王と亀王が凄まじい神力をぶつけ合い戦っているが徐々に亀王が押して行っている。


だが奴の表情には焦りは見えず微笑んですらいた。


「イェンの奴絶対何か企んでいるぞ」


《 兄上もそう思いますか 》


そして亀王の神力が奴の神力を打ち負かし奴の体を貫き勝敗をきっしたように思えた。


崩れるように倒れた奴の体は大きく半分を抉られているのに苦痛どころか今だに笑みすら浮かべている。


「クックックックックック これで終わりでは無い… お前達は私と言う堰を壊しただけ…  私から溢れだした邪気は四神国全てを覆い全てを支配するのだ。 もうこの器に何の未練も無い…… 私の欲しい物は既にこの世には無かったのだから……ダルチェン… 私は… 何をしていたのだろう…  せめてあの方の一部となりこの世を呪おう……    ダルチェン…死んでも手に入らぬなら全てを呪おう!!! 何もかも滅んでしまえ!! アッハッハッハッハッハッハ………………   」


ダルチェン それは母親から聞き出した父親の名前


そして奴は言うだけ言うと体から黒いドロッとしたものが噴き出し溢れだした。


「なんだアレは!!」


《 分からない、邪神なのか? 》


黒い物は膨張して増殖し始めまるで意志を持ったように動き始め亀王を取り込もうと襲いかかるが寸での所で飛びず去り上空に逃げると床に倒れる虎族達を次々と飲み込んで行き際限なく増大していくようだ


「何とも気色悪い……イェンの奴もこうなると憐れだな」


「フォンフー様気持ち悪い」


一旦此処から引くしか無いようだ


《 レイカ 俺の背に乗れ 》


「良いんですか」


「キャァ! フォンフー君私も乗せて!」


何故か王妃まで乗って来ようとするが亀王がすかさず飛んで来て攫って行く


「チョンマゲ、私はフォンフー君に乗りたいの。降ろして」


抱えられながらジタバタと暴れる空気を読めない王妃


「他の男に乗るなんて許さん! 」


「ああ~~ 生もふもふが~~~ 」


残念そうに言う王妃……緊張感と言うものが無いのか


「ところであの黒いスライムを消せないの? このままじゃ王宮を飲み込んじゃいそうだし世界征服する様なセリフを言ってたわよ」


「確かにこのままでは不味かろう。 ためしに消してみよう」


そう言った途端、掌から一瞬で高圧の神力の光を繰り出し連続で邪神の打ちこむと光の当たった部分は消えるが直ぐに増殖してしまい元に戻ってしまう。


「切りがないから一遍に吹き飛ばせないの?」


「やってみよう、目を潰れミユキ」


「うん」


右手を上に上げていると光の玉が大きく光り出してあっという間に二十尺程に膨れ上がりまるで太陽のように輝く


「これ位か?」


しかし黒い物体は突如せり上がり上空に居る亀王目がけ飛びかかる。


「無駄な足掻きを、消えうせるがよい!」


亀王は光の玉を投げつける。


ドウォォォォォォォーー―ー――ー――――ーン!!!!


轟音と共に光と風圧が渦巻く


《 なんて凄まじい力 レイカ確り捕まれ 》


人間のレイカを守るべく結界を張り防ぐ振動が凄まじい


「キャアーーーッ」


光と爆風が納まり目を開くとそこには黒い物体は消えうせていた。


《 殺ったのか!? 》


「 フォンフー様! あそこを見てハクが倒れている」


レイカは俺から飛び降りると一目散に奴が消えた場所近くに倒れるハク目掛けて駆けて行く。


《 止まれレイカ! 》


俺の制止を無視し相変わらず猪突猛進な女を止めるべく動こうとした瞬間だった。


床から又してもあの黒い不気味な物体が噴き出し近ずくレイカ目掛け襲いかかるのだった。


《 レイカ――ー――――ーー!! 》











亀王様が凄まじい神力を放ちあの黒い不気味なぶよぶよは跡かたも無く消え去ってしまう。


凄い!!


なんて凄いお方なんだろうと感嘆していると白い影が横たわっているのを見つける。


ハク!!


「 フォンフー様! あそこを見てハクが倒れている」


《 止まれレイカ! 》


ハクがあの黒い物に飲み込まれず無事だったが他の倒れていた虎族は跡かたも無く消え去っているのでゾッとすが早くハクに神力を与え助けたかったのでフォンフー様の背から飛び降りて真直ぐに駆けよるとそこに大きな黒い玉が落ちてえいた。


神玉!!


ドックンと心臓が波打つ


本能的に危険を感じ立ち止るが既に遅い


黒い神玉が一気に膨張し始め側にいる私を襲い体を覆い尽くす。


「きゃあああーーーーーーーーーー!!」


目の前が真っ暗になり皮膚に不快感で鳥肌が立つ


気持ち悪い!!!!!!!!!!!


私に触らないで――ー――ー――ー――ーーーーー!!!


強い拒絶感を神力に乗せ放出すると黒い塊が飛びず去るように体から離れる。


「皇女様!」


《 レイカ! 》


丞相様が私の体を抱き抱えフォンフー様が前に立ちはだかり盾の様になってくれる。


そして黒い塊は不気味に動き徐々に人を模り始めついには背の高い男性形の姿をになるがその姿は異様だった。何故なら全身が闇の様に黒く彫の深い美しい顔と鍛え抜かれた筋肉を覆い黒い軍神の彫像の様だ


そこに居た全ての者が目を見張りそして恐怖を覚える……


適わない


王達は瞬時に悟る


目の前にいる邪神の圧倒的な力にその場で消えるしか無い事を







何なのあの男の人は気持ち悪い


私の中の全てがあの男の人を拒絶し反発している様に感じ受け入れる事が出来ないのだ


アレは駄目


存在してはいけない


漠然とそう思ってしまう


そして邪神がついに口を開きだす


《《 よくぞ我に力を与えてくれた亀王よ感謝しよう  お陰で本来の姿を取り戻せた

 》》


まるで地を這うかのような不気味な低い声が辺りに響くが誰も反応する事無く固まったように微動だにしない


あの神力を力として吸収したの私と同じ?


《《 だがまだ足りぬ。 崋山をこの世界を我が手にするにはもっと力がいるのだ―― お前達には我の糧となる事を喜ぶがよい 》》


そして邪神から現れたのは先程の黒いブヨブヨが触手となりその場に居る全ての者に襲いかかり王達の体に巻き付き、目の前のフォンフー様の体にも数本の触手が絡まるが何故か私と丞相様は避けて襲いかからずにいる。


襲われ無いからと言ってこのまま見ている訳にもいかず先ずはフォンフー様に絡まる触手に手を触れて消し去る。


「フォンフー様大丈夫ですか」


《 レイカ もう無理だ逃げろ 》


「皇女様だけでも瞑道を使いお逃げ下さい」


しかし邪神が私を見逃すはずが無い、私が無力な人間の少女では無いのを邪神が気付いているはず。


《《 稀なる少女よ そなたは決して逃がしわしない 我が下僕になるか死かどちらを選ぶ 》》


「誰があんたみたいな不気味な神様の下僕になんかならないわ!!」


《《 成程 ならば死ぬがよい 》》


彫像のように微動だにしなかった邪神は私の方に歩きだしその手には何時の間にか大きな一振りの真っ黒な剣が握られていた。


《《 惜しいが愚かな自分を恨むがよい 》》


「させない!!」


ガッキーーン


そう言い私に向かい剣を振り下ろして来るが丞相様が間に入り氷の剣で受け止めてくれるがあっという間に砕けそのまま胸に剣を受けてしまう。


ズッザーーーーーーーーーーッ


「グゥ……」


目の前で丞相様の胸から血を流しながらも私を隠すように立ち続けるがその顔は苦痛で歪んでいる。


「丞相様!!」


「フォンフー様…… 皇女様を連れお逃げ下さい…… 」


《《 愚かな 我に適うとでも  だがその気概は気に入った。 先ずはそなたから我が糧としよう 》》


そう言うと邪神の真っ黒な手が丞相様の傷口に手をやると共に体にズブズブと入りこむと痛みで絶叫を上げる。


「ぐうァァァァァァァァァァーーーーーーーーー 逃げて………… 」


「嫌ぁーーーーー!! 丞相様ーー!!」


この人が死んでしまう


許さない!


この人を傷付ける者など許さない


私の大好きな人達を奪うなんて


私が許さない!!!


私は怒りで真っ赤になり目の前に居る邪神を消し去り事しか見えなくなるのだった。







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