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龍王の娘  作者: 瑞佳
第二章 白虎国編
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虎王の戴冠式 その2







ハクが血まみれで横たわっているのに助けられず成す術もない


しかも虎王が迫る中で丞相様が盾に成り私達に黒玉で逃げるよう渡してくれた。


私達に呼び掛けた声は昨夜の様な冷たい声ではなく切羽詰まっており我が身を呈して守ろうとしてくれ、昨夜とはまるで違う態度


何故?


私が龍王の娘だから、それとも母様の娘だから


しかしそんな事に悩んでいられるのは一時で参列していた虎族が私達目がけ襲って来る。

「レイカ 奴等の神力を出来る限り奪え」


フォンフー様は襲って来る虎族達を神力でなぎ倒し私は倒れた人達から神力を奪って行くが切りが無い、しかも神力は黒い気も混じっており気持ち悪くこんな物を体に取り込んで大丈夫なのか心配だけど構っていられない


「何をしているのです! 逃げなければ殺されるだけ」


丞相様が追い立てるように叫ぶ。


「俺達が此処で逃げては奴を討つ機会を失うだけ」


「皇女様は人間ですよ! 殺すお心算ですか」


「煩い! 今は戦闘中だ」


流石に高位の虎族達が一斉に襲って来てはフォンフー様に余裕も無く神力が何時まで続くか分からない


「レイカ! 俺に力を寄こせ」


フォンフー様の言葉にハッとする


私は奪うだけではない事を思い出し直ぐさまフォンフー様の背に手を当て力を注ぎ込むと先程とは打って変わり凄まじい攻撃で次々倒して行く


一方の丞相様は虎王の周りに氷のぶ厚い壁で閉じ込めているが果たして効いているのか疑問だけど確実に神力はギリギリだと分かる。


「丞相様、私の力を受け取って」


嫌われているかも知れないけどこのままでは力尽きるのが分かっているので見過ごせない、丞相様の背に手を当て私の神力を流し込むと驚いたように振り返り私を見る。


「貴女は一体!!」


しかし目の前で氷の壁が一瞬で砕け散る。


パリッーーーーーーーーーン


「「 !! 」」


砕け散った氷の破片が刃のように私達に襲いかかって来るのを丞相様が手をかざすと瞬時に消え失せると平然と立つ虎王の姿は真っ黒な闇のよう


「只の人間の小娘かと思えば…面白い事をする」


「私の力が効いてないのか……」


愕然とする丞相様


「お前如きが私を抑えられるとでも思ったか」


丞相様は適わないと悟ったのか私の手を引き逃げようとしたが


「皇女様、 先程の玉を投げて瞑道を開くのです」


「逃げない、 フォンフー様と一緒に戦うと約束したの」


フォンフー様は今も襲いかかる虎族と戦っているが数が多すぎる。当てにしていた亀王とミユキ様も朱雀王も静観しているだけで微動だにしない


虎王は黒い気を王達の体に送り込み意志を奪っているのに違いない


私の手を引く丞相様にお願いする。


「私を王達の所へ連れて行って下さい。もしかすると正気に戻せるかも知れないの」


「皇女様が!?」


襲い掛かって来る虎族達を瞬時に凍らせながら不審そうに聞いて来る。


「お願い! 早く」


虎王を抑えるにはやっぱり王達の力が必要だと思った。


「失礼します」


丞相様がふわりと私の体を持ち上げ横抱きにすると襲って来る虎族をなぎ払いながら王達に近ずくが虎王が命令する。


「王達よ二人を殺せ!」


虎王が命令した途端、微動だにしなかった王達が動き出し、先ず朱雀王が真っ赤な劫火を放ち瞬時に炎に包まれてしまうが丞相様が氷の壁で防いでくれるがこれでは近ずけない。

ところが背後から亀王様が何時の間にか回り込んで襲って来る。


手には高圧に固められた神力の光る玉


それを至近距離で私達に投げ付け逃げようがない


「防げない」


氷の壁を二人の周りに張り巡らした丞相様が呟く


光の玉は壁を溶かし今にも此方に到達しようとしている。


その光に私は手を伸ばそうとすると丞相様が止める。


「何をなさるのです!」


「大丈夫、私には効かないはず」


壁を突き抜けた光輝くまるで太陽の様な玉を掌に取るとスーっと吸い込まれるように私の体に消えて行くが、今までにない大量の神力に目が眩みそう…


凄い! 流石…亀王様


しかし、もっと驚いているのは他の者達


亀王が放出した神力をその身に受ければユンロン程の高位の龍族でも瞬時に消滅してしまう程の力を孕んでいたので、虎王や王達も目を見張った。


丞相様も信じられないような顔で私を見詰めるが今はそれどころでは無く、一瞬動きを止めた王達二人が又しても同時に襲って来るので息付くほ間もないのだ。


フォンフー様も一人で大勢の相手をしていて此方を顧みる暇も無い


王達の攻撃は容赦なく私に放たれた神力は全て吸収するがかなり膨大だけど全て私の体に納まり自分でも空恐ろしい


「剣を使い串刺しにせよ!!」


焦れた虎王がハクから奪った神剣を朱雀王に投げて渡すと受け取った王は私達に剣を振り落として来るが凄まじい剣さばき


氷の剣で丞相様が受けるが二、三刀受けただけで折れていまい、その隙を突かれて右腕を斬られしまう。


ザック!!


「うっ……」


「キャッーー!!」


朱雀王は一気に詰め寄り今度は私に斬りかかろうとしするのが目に飛び込み、もう駄目だと目を閉じるが


ガッキィーーーーー


瞬時に氷の壁が私に張られ危機一髪のところで食い止められるが何時までも持ちそうに無く、このままでは何も出来ずに足で纏いなのが悔しい


「皇女様、ここは一旦引きましょう」


「でも……」


このままでは丞相様も殺されてしまうのは嫌


正に状況は最悪な時だった。


「お譲ちゃん、お困りのようだな~~」


上空から聞き覚えのある惚けた声がしたと思うと朱雀王目がけて剣が降って来るが即座に跳びず去り避ける。


そして何処からか飛び降りて来た第二皇子様が直ぐさま剣を引き抜き朱雀王と互角に斬り合い、目にも止まらない早さで剣が交わされた。


「凄い」


強いとは思っていたけど王と渡り合える程とは思っていなかったので素直に感嘆してしまう


「あの方は何方ですか?!」


「この国の第二皇子様ですが、今の隙に亀王様の動きを止められないでしょうか」


「仰せとあらば」


そう言うと直ぐさま神力を放ち亀王様の下半身を氷で封じ様とするが止められない。


「矢張り亀王様は並みの神力は効かない…ならば違う方向で攻めてみましょうか」


丞相様が私を抱え向かったのはミユキ様が立っている場所


「亀王妃様を戻せますか」


「やってみます」


ミユキ様は人間だか黒い気だけを吸い取ればいいんだろうけど出来るかどうかはやってみないと分からない


無表情に立ちつくすミユキ様の黒い気を取り出そうと手を取ると自然に黒い気が流れ込んで来た、それは気が自らの意志を持って私に流れ込んで来た気がした。


????


そしてミユキ様の目に光が灯る。


「……あれ? レイカちゃん何時の間に……」


ミユキ様が今目を覚ましたかのようの言葉を発したが次の瞬間私に抱きつく


「キャァーー 素敵!! 純白の花嫁みたい!!!!」


一気に緊張が弛むような言葉だが今はそれどころではない


「ミユキ様……助けて下さい」


「エッ??」


「亀王様を止めて」


丞相様が何とか神力で食い止めようとしているが速度を遅くするしか効果が無く氷の壁は次々と壊されて行く


「チョンマゲ何してるの??」


不思議そうに呟く


「私達を殺そうとしてるんです」


「はぁ~~??」


訳が分からない表情のミユキ様を丞相様が向かって来る亀王様の前に問答無用で突き付け盾にする。


途端にピタリと動きを止める亀王様


「ちょっと何でレイカちゃんを殺そうとしてんの?! まさかレイカちゃんの美しさに嫉妬したのね!」


そう言い亀王様の両頬を挟むよう両手で打つ


バッチン!!


「チョンマゲのバカ」


何とも見当違いだが亀王様の動きが止まりミユキ様を見詰める。


「…… ミユキ   ミ…ユ  キ…… 」


「どうしたのチョンマゲ?? 変だよ」




「さ― 皇女様 今です」


私は急いで亀王様に触れて神力を奪うがあまりにも膨大で途中から黒い気だけに意識を向けると簡単に体に取り込め消えて行くが不快感は途轍もない、ミユキ様のと違い大量の気が流れ込む


ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイニクイ ニクイ ニクイ


ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイニクイ ニクイ ニクイ


ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイニクイ ニクイ ニクイ


ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイニクイ ニクイ ニクイ


ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイニクイ ニクイ ニクイ


私の心が憎しみで一杯に成る


何これ!?


憎い 


誰が?


……父様が憎い


父様が憎い


そして……父様に愛される母様が憎い


丞相様に愛される母様が憎い


母様の所為で私は丞相様に愛されない!!


憎い 憎い 憎い 憎い


皆に愛される母様が憎い


私は母様を憎んでたの?



嫌ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


心が痛いほど軋む中




『 レイカ…… レイカ 大好きだよ 』




母様?




母様の声が聞こえ、誰かに抱き締められる。




温かい……



そして母様と過ごした優しく幸せな時間を思い出す…… 




「母様 私も大好きだよ」


「大丈夫ですか… 皇女様」


聞こえて来たのは母様の声では無く丞相様の声


「へっ????」


気がつくと私は丞相様に抱きしめられ私も抱きついているのに気が付く!!!!


「すっ済みませんーー /// 」


「突然倒れられたので驚きました…」


ホッとしたように胸を撫で下ろして私の体から離れて行くともろに丞相様が優しそうに微笑んでいた。


カーーーーーー ///


顔が真っ赤になるのが自分でも分かり恥ずかしい


どうしよう!!!


「まー― なんて萌えな展開!! レイカちゃん可愛い!!」


今度は横からミユキ様が訳の分からない事を言い抱きついて来る???


「ミユキ~~ 余にも抱きついて~~」


亀王様がミユキ様に甘えるように覆いかぶさって来るので訳が分からない状態に陥って混乱するばかり


一体どうなっているの???????


するとミユキ様と私を引きなすように間に割って入るように丞相様が言う。


「亀王様、今はそれどころではありません。 どうか虎王を討たねば四神国にも災いが降りかかります」


「そうよチョンマゲ、やられぱなしは悔しいから虎王をやっつけてきて」


「見ておるがよいミユキ、直ぐさまあ奴を消し去ろうぞ!」


ミユキ様に鼓舞され虎王に向い合う


どうやら亀王様も正気を取り戻したようで一安心だが状況は今だフォンフー様と第二皇子様は戦っている最中で家臣の虎族達の半数は倒れているがフォンフー様はかなり消耗している様子。第二皇子様も朱雀王に押され気味だ


虎王は亀王様に任せ朱雀王を元に戻さないといけない


「次は朱雀王様を戻しますから手伝って下さい」


「しかし今の様子ではかなり体に負担があるのでは」


心配そうに聞いて来る


「私は虎王の黒い気なんかに負けません。 母様が守ってくれるから」


「分かりました朱雀王様を止めてみましょう」


そう言うと第二皇子様に加勢するように丞相様が朱雀王に闘いを仕掛ける一方で亀王様は虎王と睨み合い動かないのをミユキ様と見守る。


「虎王…いや邪神よ。そなたの悪巧みの命運は突きたよう…無駄な抵抗は止め崋山で眠るがよい」


「何を言っているのです。私はこの国の王イェンファフー以外の何者でもありませんが」

虎王はこの状況でも余裕の表情を浮かべる。


「素直に亀王様の言う通りにしなイェン。兄として弟が死に行くのは黙って見ているのは忍びないからな~ この際亀王様の温情に縋れ」


何時の間にか第二皇子様が亀王様の横に立って説得と言うより挑発をする。


「これはトルチェンお久しぶりです。相変わらず招待もしないのにやって来るとは図々しい男、だがこれで捜して始末する手間が省けました。 王共々我が糧になって貰いましょう」


不気味に微笑む虎王


「昔から腹黒い弟だったが…… 何を企んでいる」





そんな中、朱雀王を抱え丞相様が私の側に来ると朱雀王を床に横たえさす。


「さあ皇女様、朱雀王をお連れしました」


「ありがとうございます」


私は急いで朱雀王から黒い気を吸い取るが亀王同様に憎しみが流れ込むが、その憎しみに呑まれないように母様を思うかべる


母様との優しい日々を


すると憎しみは温かい心に変わって行くのを感じるが一体この憎しみは誰に向いた物なのだろう


きっと邪神の憎しみなんだろうけど


私の中に入って来る憎しみに問いかける


貴方は一体何が憎いの?


ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ ニクイ


何が?


テンテイ ガ ニクイ  テンテイ ガ ニクイ  テンテイ ガ ニクイ


矢張りそれは天帝様に向けられた純粋な憎しみだけ……ただそれだけだった。


天帝様は何をしたんだろう


私の中に消えて行く憎しみだけでも消したくて母様が私を温かく包んでくれていたように憎しみに光で包むようにイメージすると一瞬光が膨れ上がり弾け消えて行った瞬間


白い髪に赤い瞳の可憐な少女が微笑む姿が脳裏に浮かんで消えた


今のは誰???


「皇女様?」


目を開けると丞相様が心配げに私を見ていたので恥ずかしい


「/// うっ…大丈夫です……終わりました」


朱雀王は今だ気を失っている。


そして息付く間もなく突然誰かに腕を引っ張られたかと思うと目の前が真っ暗闇に包まれた。


グイッ!!


「キャッ!!」


真っ暗な闇だと思ったの闇に染まる虎王様が目の前に居るからだと気付く


「目障りな小娘だがその力は素晴らしい」


ドスッ


そしてお腹に衝撃を感じると共に意識を失うのだった。









亀王とミユキが主役の玄武国物語「私と王様」をアルファポリス第4回ファンタジー小説大賞に参加してます。宜しかったら投票を宜しくお願いします!!

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