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龍王の娘  作者: 瑞佳
第二章 白虎国編
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皇子達の趨勢






レイカとインフーが買物に行くので一人で宿に入る。


国の皇子とあろう者が一人も供を連れず泊ろうなど誰も思わないだろう。反対に後から来る二人の従者と思われてしまうかもしれなかった。


一層の事旅の間俺がインフーの従者になったら面白いかもしれない


「しかしレイカの奴えらくインフーを意識してるな…俺はいらぬ事を言ってしまったか」

どうやらレイカにも発情期(違います!→思春期)が来たらしい


相手がインフーなのが解せないが…皇子の殆どと顔を合わせても反対に毛嫌いし普通の女は皇子に憧れるものではないのか?


「どうするんだあの二人?」


レイカが龍族になるのはわかりきっており、決して結ばれないだろう


「それより、人の事よりは先ず自分の事だ」


懐から眠るハクを取り出し寝台に寝かせると神力を注ぎ込んでやる。これでハクは目を覚ますはずだ。


それから暫らくするとハクが目を覚ます。


「ウッキ~  」


白いフワフワの毛の中の赤い丸い目が辺りを見回す。


『 レイカ ドコ? 』


「レイカはインフーと買い物だ。 それよりハク、昨夜の神仙を呼び出すんだ」


『 フォンフー 意地悪 嫌イ 』


「お前の意志などどうでもいい、神仙の方も俺に話があるはずだ…」


『 …… 聞イテミル 』


ハクは目を閉じる。 どうやって崋山にいる神仙と意志疎通を行っているのが不思議だ


そもそも神仙だと言う確固たる証拠もないが利用できる物は利用するに越した事はない


暫らくすると目の前のハクが昨夜のように仄かに光り始めて来て、神仙が降りて来たようだ


ハクが目を開くと人間のようの俺を睨んでくる


《 己…昨夜はよくも妾をコケにしおったの!! 崋山に住む神仙たる妾と地上に住む虎族の小童如きが適うと思っておるか 》


矢張りと言おうかかなりご立腹の様子


「 地上に干渉できないお前が俺を一体如何するつもりだ?」


更に挑発して怒りを増長してやる事にする。


《 キーーーーッ 何と傲慢な小僧 お前如き今直ぐ滅してくれよう!! 》


一気に部屋が神圧が高まり部屋が軋みだしハクの毛は逆立ち目が煌々と光り始めるので少々ヤバい雰囲気だ


「いいのか天帝様は?俺を殺せば地上に干渉する事になるぞ」


ピッタ


天帝の名を出した途端部屋の空気が普通に戻る。どうやらかなり…天帝を恐れているので本物の神仙と考えていいだろう


《 妾の足下を見るとは抜け目のない子僧…… そなた何を望んでおる 》


「俺の目的も第三皇子の命だから神仙様と協力しあえるが 利用されるのは好きじゃないんだ。 俺にあいつを凌ぐ力を寄こせ」


《 簡単に言うのう…… だが妾がそなたに力を与えても干渉になってしまう 》


「なら どうやって奴を倒す心算だ」


《 既にあの者は白虎国内では比類ない力を手に入れてはいるが、神玉の力は十分に引き出せていないのが幸い。だが何れ神玉の力が暴走し始めれば皇子は邪神に取り変わり天帝を憎む彼の者はこの世界を破壊しようとするでしょう。 天帝様が不在の今…彼の者を抑える事が出来る神族はおらん 》


「おい、 そんな化け物、俺の手には余るぞ!」


《 妾もそなたが太刀打ち出来るとは端から思っておりません。しかしレイカの力ならばあの者から神玉を取り返せるはず 》


「神仙様はレイカの正体を知っているのか」


《 レイカは異界の血を引く稀有な存在であり、この世界の不確定要素。天帝様もその存在を看過出来ず神獣のハクを送り込んで見張っていた 》


「異界の血? だからあんなに規格外なのか…… そしてハクが崋山からの密偵だからタイミング良く接触してきたはずだ」


《 そう言う訳です。 先日はレイカの力を使い皇子から染み出す黒い気を取り入れ浄化に成功しました 》


「その黒い気とはなんだ?」


《 神玉から染みでる邪悪な気、この気を取り込み続けば周囲も徐々に心を蝕まれ邪神の下僕と化しするでしょう。黒い気はこれからも皇子の体から染み出し王宮中に広まり覆い尽くし虎族を意のままに動かし、崋山に攻め入るかもしれません 》


それならあいつの周囲の人間は全て下僕も同然、あまり変わらないと思ってしまうが……どうやら崋山は邪神が虎族を想い通りに動かし崋山に攻め入る事を恐れているのかもしれない、天帝を憎む神とは誰だ?


「レイカにどうやって神玉を取り出させるんだ? 神力は取り出せても神玉をどうやって取り出す」


《 その為にもレイカには龍族として目覚めさせ瞑道の術を操つる事が出来れば話は簡単なのです 》


「瞑道… 今の虎王でさえ扱えぬ術をレイカが出来るのか?」


《 レイカの力は未知数、それにそなたにも覚えがあろう……以前レイカがそなたの腹から神核を引きずり出そうとしたのを 》


「そんな事を良く知っているな……」


《 ハクは常にレイカを見守っておりましたから 》


見張っていたの間違いだろ


神仙などと言っても碌なものではない、そもそもあいつに遅れをとって宝物殿に侵入された上に神玉をむざむざ奪われたのだから間抜けとしか言いようがない


「どうやって力を目覚めさせる心算ですか」


《 正直に申せば手立てが分からぬ。此方でも文献を調べておるが……前例がないので手間取っておるので取敢えずそなた達は今まで通りに神力を集めよ 》


「そんな悠長な事を言ってると、既に王宮の半分は掌握しているあいつは、直ぐに王宮を乗っ取り虎族を率いて崋山に攻め込んでも知らんぞ」


《 そっそれは、困るの…… 出来ればレイカが王宮に留まり常にあ奴の放つ黒い気を浄化して欲しかたのだが既に王宮を離れた今は戻るのは危険。何とかしないと…… 》


ハッキリって使えない!


これならいなくても同じではないかと思い始める。


「奴に対抗できる虎族は既にいない。一層の事天帝様に助力を乞うた方がいいのではないか?」


《 その天帝様が不在で困っているのです…… 》


「どうせ天帝様にばれて罰を受けるなら、地上に干渉しても同じ事。 ならば邪神が目覚めない内にそちらの武神でも降ろして討ち取った方が被害が少ないと思うぞ」


《 それは一理あるのですが…… 仕方ありません上の者ともう一度話し合いをしますので後日改めて連絡します 》


そう言い残しハクはぱたりと倒れて寝てしまうのだった。


「話し合うなど時間の無駄だと思わんのか?……崋山の神も大した事がない」


どこの世界も保身に走る奴ばかりで先延ばしにすれば被害が増えるのは分かり切った話なのだ。結局誰が責任を負うかの話し合いだろうに、くだらない


だが崋山の神が降りてくるならば俺は何もせずとも自由を手に入れられる。


少し気が緩み眠くなったのでハクの隣で昼寝をするのだた。









結局それ以降崋山の神からは連絡もない状態のまま田舎に戻り、王都とは違い安寧な日々を過ごすのだった。


一方王都では第一皇子が不慮の死を遂げ第三皇子がほぼ白虎国の全権を握り王を後宮に軟禁し実質王として権力を振るう……だが周囲は不思議がる。何故そこまで権力に拘るのかと? 


誰もが次期虎王と考え何れは滞りなく王位が譲られたのは明らか


その時を待てば良かったのだ


第三皇子イェンファフーが兄皇子を殺しその手を血で染めてまで急ぐ理由が理解できなかった人々は首を傾げるばかり。


しかし英明で美しい皇子が権力に就く事を誰もが歓迎したが、徐々にイェンファフーはその本性を現し始める。


先ずは兄弟の皇子達の粛清


自分に逆らう第五、第六皇子は宮廷内の派閥によりイェンファフーに反旗を挙げるが圧倒的な力の差で自らの手でその首を討ち落とし、その顔には狂喜を浮かべ恍惚としていたのを見た臣下はあの温和な皇子とは思えず、我が目を疑った。


第四、七皇子はその足下に跪き忠誠を誓い臣下に下り延命を図るが、第二皇子だけが所在が分からず王都から姿を消し、元より公式の場はおろか王宮ですらその姿を見せない皇子で誰も重要視せずそのまま忘れられた。


そしてイェンファフーに異を唱える虎族を問答無用で討ち捨て粛清して行き誰も逆らう者がいなくなり、王宮内には恐怖が蔓延して行きイェンファフーの顔色を常に伺う者が多かったが、側近達は毒に犯されたようにイェンファフーの言葉に甘く酔いしれるように従った。


だが王都から離れた州知事は王を軟禁する行為を理由にイェンファフーを討ちと己が玉座に就こうと内乱を起こす者達も現れるが、イェンファフーは自ら先陣を斬り圧倒的強さを見せつけ返り討ちにするがその時もほぼ無抵抗な虎族や兵士達を無残に斬り捨て血を浴びる姿を見、イェンファフーに逆らうものはもういなかった。


そして各州知事達もイェンファフーを虎王同様に臣下の礼をとり、命に従い実質玉座に座ったも同然の地位に立つ。


それはフォンフーが王都を去って二年の月日が流れた後だった。











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