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龍王の娘  作者: 瑞佳
第二章 白虎国編
25/78

帰路





「起きろ! このバカ娘」


フォンフー様に怒鳴られ目を覚ますと辺りは真っ暗で真夜中のよう


「夢?」


夢を見たんだと思いもう一度寝ようとすると頭を叩かれる。


パッシ!


「痛い~」


もう一度目を開けると太陽石の灯りが点けられ不機嫌な顔のフォンフー様が現れもう一度眠りに就きたくなる。


「俺が起してるのにもう一度寝るとは何事だ」


相変わらずの俺様発言だけど他の皇子様を知ったら偉くフォンフー様がまともに思えるから不思議だ


「女の子が寝ている部屋に忍び込むなんて破廉恥ですよ」


「誰が女の子だ…誰が ガキで十分だ」


「むぅ~~ そのガキの部屋に何しに来たんですか」


なんか第三皇子様が帰られてから特に機嫌が悪い、皇子様に何か嫌な事を言われたのかしら?八つ当たりされる私の方が被害者よねと心で呟く


「今日あいつに会って真っ青だったが何を感じたか話せ」


こんな真夜中に起こされて話の内容がそれって重要?と思いつつハクの話もあるので話しだす。


「気持ち悪かったんです」


「あいつを気持ち悪いなんて言う女は初めてだ…あいつに聞かせたらどんな顔をするか想像するだけで愉快 くっくっくっくっくっく」


機嫌良さそうに哂う


「容姿は皇子様の中で一番素敵だと思いますけど、あの皇子様に纏わりつくような黒い気が気持ち悪くって怖かったんです。」


「なんだそれ? 俺は何時も通りにしか見えなかったが」


やっぱり私しか感じなかったらしい


「ハクが言うにはその黒い気は崋山の悪い神様の所為だそうですよ、ねっハク」


「キッキー」


横で寝ていたハクも起され何時の間にか私の膝に居る。


「何で猿のハクがそんな事を知っているんだ」


フォンフー様は不信そうに私とハクを交互に見てくる……無理もない、私にもよく分からないんだから


「ハク フォンフー様に説明して」


分からないのでハクに話して貰おうと駄目もとで聞いてみると


『 イイヨ デモ フォンフー ノ 力 ヲ ワケテ 』


「えっ???? フォンフー様の力がいるの?」


フォンフー様にも聞こえたらしく驚いている。


「今の心話はハクがしたのか!!」


「凄い! ハクはフォンフー様とも話せるの」


『 ハク 凄イ? 』


「うん! ハク 偉い!」


パシ!


「痛い! どうして叩くんですか」


「話が進まんだろう!」


『 フォンフー 意地悪 教エナイ 』


「俺を呼び捨て…飼い主に似てなんて生意気な奴! 様を付けろ様を」


「フォンフー様だって話を止めてますよ」


本当に気が短いんだから…困った御主人様で侍女の私は何時もぞんざいな扱い、少しは言葉で反撃は許してほしい


「くっーーーー 糞共め…… 俺が神力をハクに分ければいいんだな」


『 頂戴 』


「なんて奴らだ、神力を欲しがる猿など聞いた事もない」


ぼとぼとと文句を言いながらもハクに手をかざし神力を与えてくれる。口も悪く手も早いけどする事はしてくれ、結構良いところもあるのだ


「これでいいか?」


『 足リナイケド 我慢スル 』


「何だそれは、ムカつく、少しは感謝しろ……それより悪い神とはどういう事だ」


『 今 代ワル 』


「「 代わる??? 」」


ハクは目を閉じたかと思うと仄かに体が光始め、口を開きまるで人間が話すように話し始める。


しかも美しい女性の声だった。


《 私の崋山の仙神で天帝様に仕える者 こ度はこの者の体を借り説明致します。 あの皇子は許されない事をしてしまいました。多くの神獣を殺しその神核を奪い我が物にしたのも許せませんが、力を増した事を良い事に崋山の天帝の宮に忍び込み宝物殿を荒しある物を奪いました。》


「ええっーーー ハクがちゃんと喋ってる!!??」


どうして? どうして? 神仙て誰??


「煩い、ハクでなく崋山の神仙が話してるんだ黙ってろ! 奴は何を奪ったんだ」


フォンフー様はちゃんと理解しているよう


《 … 皇子は宝物殿に封じられた神玉を奪ったのです。 嘗て崋山に住まう神だった者が邪神に堕ちたのを天帝様が封じた玉なのですが…あろうことか自分の体に取り込んでしまったようです。愚かな事に… 》


「奴はこのままだとどうなるんだ」


《 今はあの皇子の自我が勝っておりますが何れ邪神に魂を食われこの白虎国に災いもたらすでしょう……ああ……こんな事が天帝様に知られればどんなお仕置きをされるか~~~ 》


「貴方なら奴を簡単に消す事が出来るのではないのか」


《 崋山の神仙は地上の出来ごとに干渉するのを禁止されております。そこで提案ですが「断る!!」……まだ何も言っておりませんが 》


「何故俺がお前達の尻拭いをしなければならん」


《 いいのですか、このままでは白虎国が滅びるのですよ 》


「フン! 愛国心もないし、あいつが消えるなら清々するわ」


流石フォンフー様 崋山の神様に逆らうなんて凄い


《 全く、虎族はどうなっているのです! あの皇子にしろ貴方にしろ神族にあるまじき態度、天帝様のお怒りを買いますよ!! 》


「煩い、黙れ」


そう言いハクの頭をピンと指で弾くと ハクの体が倒れ気絶する。


「キャア! ハク大丈夫。 フォンフー様のバカ! 」


「気を失っただけだ」


私の膝の上で倒れてしまいピクリともせず仄かに光っていた体も普通に戻ってしまっていた。先の神仙様はどうなったんだろう???


「それより良いんですか!? 第三皇子様をほっといて……しかも崋山の神様を無視するなんて天罰が下りますよ~~」


「バ~カ 天罰が俺らに下る前にあいつらが天帝に裁かれる。きっと近い内にまた接触して来るはずだ。 覚えておけ恩を売るなら高く売りつけるものだ」


ニヤリと意地悪そうに笑う


「ほえ…… フォンフー様が悪党に見える」


「フン、それよりこのハクはどこで拾ったんだ? 多分ハクは崋山の神獣だ」


「そうなんですか、赤ちゃんの頃死にそうになっているのを家の側で助けたんだけど……ハクも神様だったの? 」


「正確には神族の末席で、神格から言えば俺らより下だ」


「神様の世界にも色々あるんですね」


フォンフー様は結構物知りなんだと感心してしまう。


「全くとんでもない二匹だ…… 」


「二匹…… これから如何するんですか?」


「一旦は田舎に帰ってから考える。 このまま王宮に残ってもごたごたに巻き込まれるのがおち、 あいつを何とかするにも力がいるだろう」


「そうですね、私も王宮はコリゴリです」


「取敢えず今夜は此処までだ。サッサと寝ろ」


そうしてフォンフー様は自室に戻って行く。


起きろと言ったり寝ろと言ったり全く勝手な御主人様……立場が反対ならこき使いたい


フォンフー様を家令にしたら面白そう









翌朝、朝食を取ると荷物も持たず午前中の内に王宮から逃げるように離れ王都を出た。

 

行きと同様に天馬を借りてインフー様と同乗しているけど後ろから抱きかかえられている様な体制が恥ずかしく私の懐には今だ寝ているハクを入れているけど心臓の音でハクが起きるんじゃないかと思う程ドキドキしている。


これならフォンフー様の馬に乗りたかったけど、フォンフー様は風を斬って走るのが好きだから人間私では体力が持たないし、私に合わせる優しさがあるとも思えない


それに比べてインフー様は本当に優しい、ちゃんと風圧や振動から私を守ってくれるし、他の人にも丁寧で声を荒げたり怒鳴る事もフォンフー様以外には滅多にない。


王都で虎族の人に何人もあったけど、私が人間の所為か何処か高飛車で感じの悪い人ばかりだったのに、インフー様は虎族でも珍しいのかもしれない。


サンおじちゃまと同じ銀の髪、もしかして銀色の髪の人は優しい人が多いんだろうか?


「レイカもう少しで街に着きますからそこで宿をとりましょ」


「はい /// 」


きっと今の私の顔は赤いに違いないけどベールでスッポリ頭から被っているのでインフー様にはばれていないはず


街に着いたが、まだ日が高い内で、来る時に泊った街ほど大きくは無いがそれなりに市や商店が立ち並んでおり賑やかだ。そう言えば王都では結局見物も出来ずに終わり、皇子様達の付き合いに巻き込まれて忙しい毎日だった。


少し市場を見たいなと思っているとインフー様が嬉しい提案をしてくれる。


「レイカ、宿に入る前に少し皆へのお土産を見てきましょうか?」


「いいんですか!!」


「ええ。 時間も早いですしフォンフー様に聞いてみましょう」


馬をフォンフー様の横に並べる事情を話すとフォンフー様が宿を取り、インフー様と私で買い物をする事になった。ハクと馬もフォンフー様に預かってくれ、偶には気のきいた事をしてくれる。








市場は沢山の店が並んでおり王都に近い街なので品揃えも多く色々な物が売られていて目移りする。


田舎では市など無く行商人が売りに来るらしいけど、お屋敷では近くの大きな街から定期的に食料や衣料品を買い付けてたので買い物などした事がなかった。


「きゃあ あの耳飾り綺麗、カヤさんに似合いそう」


「それじゃ、これを下さい」


「有難うございます」


店員さんに包んで貰い商品を受け取るとかなりの荷物がインフー様の手に増えて行った。

初めてする買い物が楽しくって気に入った物を言うと直ぐに買ってくれるのであっという間に荷物が増え、自分でも調子に乗りすぎたような気がする。


「レイカは自分の物は買わないんですか」


「私は良いです。これはお土産だし王都では色々して貰いましたから」


「そうですか……そう言えばカヤの婚礼が近かったですね。祝いの品に綺麗な布でも買いますか」


「はい」


うーん インフー様の心遣いの細やかさには感心してしまう。 普通使用人にそこまでしないと思う。


キィーー カランカラン


店の扉を開けると音がした。


「いらしゃいませ」


店員さんも丁寧で高級店?


布を買う店は今までとは違い立派な店構えで壁には綺麗な色とりどりの布が飾られ小物も取り揃えてある。


「婚礼用の布を見せて下さい」


「はい此方でお待ち下さい。 今冷たいお茶を用意します」


案内された椅子に座るとインフー様がベールを外してもいいと言うので外し寛ぐと女性の店員さんがお茶を運んで来てくれる。


「どうぞ冷たいお茶をお飲み下さい」


「有難う」


インフー様にお茶を渡す時、頬を染めるのを見て何故かムカついてしまう? インフー様もカッコいいので街を歩けば女性の視線が向いているのは分かっていたけどなんだか嫌だった。


私どうしたんだろう?


それから店主らしきおじさんが数点の水色の絹の布を持って来る。白虎国では女性は水色で男性は藍色の衣装を着て結婚式を挙げる。カヤさんはヤヤさんが着た衣装を貸して貰うと言っていたからきっと喜ぶだろう。


「レイカはどれがいいと思います」


そう問われたので私は水色の布に銀糸で花の刺繍をしてあるのを選ぶ。


「私はこれが好きです」


「おおー流石にお目が高い。これは一番人気のある品で花嫁様にきっとお似合いです」


店主が私にその生地を当てとんでもない事を言う。


「「 えっ!? 」」


「ちっ違います。これは知人の祝いに贈る品です」


インフー様が慌てて否定してくれるが、私は花嫁と言われた顔が真っ赤になってしまう


「それは申し訳ありません。美男美女であまりにお似合いだったの勘違いしてしまいました」


お似合い!! 私みたいな子供が本当だろうか?? でもちょっぴり嬉しいかも……


「それでは此方の品で宜しいでしょうか?」


「はいそれをお願いします」


「他にも小物や宝飾品も取り揃えてありますのでご覧になりますでしょうか」


「見せて下さい」


そうして目の前に並べられた美しい宝飾品や小物などが並べられる。


そしてインフー様はおもむろに耳飾りを取りそれを次々に私に当てる。


「インフー様?」


「婚約者に一つぐらい何か贈らせて下さい」


少し照れたように微笑むので、思わず胸がときめいてしまう


「ええ……でも! /// 」


「あっ、これが良さそうだ」


王様の誕生祝賀会の時にも高価な衣装一式を貰っているのにこれ以上は貰えないのに、インフー様が宝飾品の中から一つの耳飾りを見付けだす。


手に取ったのは花を模った金の中央に真珠が一粒ついた可愛い品だった。


「真珠…」


「レイカから預かっている真珠の髪飾りのような立派な品ではないですが似合いそうだ」

「確かにお嬢様にお似合いかと。宜しかったら試しください」


店主がそう勧めると、インフー様が私の耳に素早く着けてそれを満足げに眺める。


「とっても似合います…このまま着けて帰りましょ」


「駄目です!こんな高価な物貰えません」


「レイカは私の婚約者なんですから当り前ですよ」


そこで婚約の話を出して来るので思わず固まる


「そうですよお嬢様、男性に恥をかかせるものではありません」


何時になく強引なインフー様と店主まで商売根性で攻めて来るので、有り難く買って貰う事になってしまった。


良いんだろうか…


「いや~ しかしこのような美しいお嬢様と婚約出来るなど男として羨ましい限りです」


「そうですね。私も幸運だと思っています」


それから二人で話で盛り上がり私は仕方なく商品を見ていると見た事のある物を見付け驚く


それは複雑な模様が組まれた髪紐


思わず手に取りじっくり見ると間違いない


「母様の髪紐…… 」


見間違うはずもない、母様が毎日丹精込めて組んで作った髪紐。サンおじちゃまも母様しか作れないと誉めていた。貧民街の学問所の運営資金の為一本一本丁寧に組んでいた姿を思い出す。


まるで久しぶり母様に会ったように感じ、髪紐を胸に抱きしめ涙が目から零れ落ちて頬を伝う


「レイカどうしたのですか!?」


インフー様が涙に気付き驚いている。


「母様が組んだ髪紐、これは母様のなのインフー様…… うっう…… 」


「何ですって!? 店主これは何処からの品なのです?」


「はっはい、 それは青龍国の商人から仕入れた珍しい品で人気があるのですが、最近は手に入らずそれが最後の品になります」


最近は手に入らないと言う事は母様が作っていない?


学問所の為に一生懸命作っていたのを止めるなんて考えられない


まさか、あれ以来母様は体を悪くしたの??


店主の言葉を聞き悪い事ばかりが思いつく


「きっと母様に何かあったんだわ! 帰らないと、直ぐ青龍国に帰らないと駄目」


私は髪紐を握りしめ何も考えず店を飛び出してしまう。


「店主、商品は宿に届けてくれ!、 レイカ待ちなさい。 一人で街は危険だ」


後ろからインフー様の声が聞こえたけど頭の中は母様の事で一杯で兎に角帰る事しか頭に無かった。









人を掻きわけがむしゃらに走って行くうちにハッとする。


考えてみれば青龍国は遥か遠い、歩いてなど行けない場所なのだ、辺りを見渡せば人通りの少ない裏通りに来てしまっていた。


「ここどこだろう? 」


なんだか昔テジャを追いかけて貧民街を彷徨った事を思い出す。


路地にはガラの悪そうな男達が私を見ており、危ない状況……早く大通りに戻らないとあの時の二の舞に会うのは分かりきっている。


「早くインフー様の所に戻らないと」


しかし時既に遅く、大急ぎで踵を返し戻ろうとすると三人のガラの悪い男達が取り囲む。


「こいつはすげー こんな綺麗なの見た事無いぜ!」


「ちーっと 小さいがこれだけ育ってりゃ十分だ」


「誰かに攫われない内にとっとと連れ去ろうぜ!」


ニヤニヤと賤しい笑いを浮かべながら迫ってくる。


「私の側に寄らないで! 私は第八皇子フォンフー様の侍女よ。 手を出せばただでは済まないわ!」


「うひゃぁっひゃっひゃっ 何をほら吹いてんだ」


「そうそう~こんな街に皇子様がいる訳ないだろ~」


「おい!無駄口叩かずサッサとやろうぜ!」


「キャアーーー!!」


男達はいとも簡単に私を抱き上げ連れ去ろうとする


「嫌ーーーー 誰か助けて!! インフー様ーー 助けてーーー! 」


喉を張り裂けんばかり叫ぶけど誰も助けに現れず、そのまま口を塞がれる。


「早くずらかるぞ!」


一人が口を手で覆い抱き上げ逃げようとした時、一人の女性が立ちはだかった。


それは茶色の髪に緑の瞳の美しい女性で何処か覚えのある顔だった。


「ま~ 大の男が少女を三人で襲うとは 男として恥を知りなさい!」


男達も女が現れ驚いたようだ。


「なんだこの女、邪魔するな!」


「おい! すげえ良い女だ。こいつもやっちまおう」


「上玉が二人も手に入るなんて今日はついてるぜ」


二人の男が一斉に女性に襲いかかり捕まると思った瞬時


ズッザ―――ン


「「 グゥワァアァーー 」」


ドン!


二人の体が吹き飛び地面に叩きつけられると口から泡を吹いて気絶している。


「お前なにしたんだ…… 」


私を取り押さえる男が信じられないように言う


「その穢れた手を少女から放しなさい!!」


えっ!!! この声は何処かで聞いたような気がする??


「うるせーー 俺に何かしたらこの娘の首をへし折るぞー!!」


ガッツ!


何かが当る音と共に男の体が崩れ落ちて倒れてしまい男の顔を見ると額に石がめり込んでいた。


「ヒィーーー」


慌てて男から飛び退く


「レイカ― レイカー 」


そこへ離れたとこからインフー様の声が聞こえてくるので叫び返す。


「インフー様 私は此処です! インフー様 」


それから助けてくれた女の人にお礼を言おうとしたら見当たらない?


さっきまでいた筈の場所から忽然と消えているので辺りを見回すけど、男達が三人倒れているだけだった。


「あれれ???」


キョトンとしているとインフー様が風のように目の前に現れる


「レイカ大丈夫ですか!! 怪我は無いですか」


真っ青な顔のインフー様は私の体を点検するように見やり、かなり心配させてしまったようだ


「はい、男達に襲われたんですが女の人に助けられたんです」


「えっ 何ですって…… 」


インフー様は私の言葉で漸く側に男三人が倒れているのに気付き更に顔を青ざめさせる。


「その助けてくれた女性は」


「それがお礼を言おうとしたらいなくなていたんです?」


「どうやら謙虚な方なんでしょう。 それより二度と一人で行動しないで下さい、もし助られなかったら大変な目に遭うところです!」


珍しく声を荒げきつく言われる。


「ゴメンなさい……」


ションボリしているとインフー様が突然体を抱き上げて抱きしめてくる。


「少し言いすぎました…レイカを見失った時は心臓が止まりそうでしたよ」


私もインフー様の首に手お回して抱きつき甘える


「捜しに来てくれて有難う…インフー様…怖かった」


「レイカ /// ]



それからそのままインフーに抱き上げれれたまま宿屋まで戻ったけど、通り過ぎる人々の視線を受け恥ずかしいので降ろして欲しいとお願いしたけど、勝手に飛び出した罰だと言って降ろしてくれず、恥ずかしさに耐えるしかなかった。








そんな二人を見守る影は先程レイカを助けた女性


「ああ~ 折角レイカ様をお探し出来たと言うのに連れて帰れないなんて、なんて口惜しいんでしょ!」


女性はファンニュロンの侍女の一人だった。


五年前命じられた通りに白虎国に潜入しレイカを捜し続けていたのだった。漸く王都で黒髪で金の目の美少女の噂を聞き付け確認し一路ファンニュロンの下に戻り支持を仰ぐと予想がいの言葉をうける。


「そうですか、やはり白虎国にいらっしゃったのですね」


「「「 それではレイカ様をお迎えしましょう 」」」


「それはなりません」


「「「 どうしてですか??? 」」」


「確かに今の陛下ならレイカ様を受け入れるでしょうがまだ時期尚早、貴女の言う通りレイカ様に力を感じたのなら龍族として目覚め始めているのかもしれません。恐らくレイカ様は龍族になる為の試練を受けているのかもしれません」


「「「 そんな~ 」」」


「陛下もレイカ様が自らの力で現れるのを待っているご様子、 貴女はレイカ様の動向を見守りなさい」


「はいファン様」


「「 ずる~い~~~ 」」


他の侍女を出し抜き美しく成長したレイカ様を堪能できるのは嬉しいが、あの虎族の若者は目ざわり


「それにしてもあの虎族の若者はレイカ様に馴れ馴れし過ぎ!! しかも危険な目に合わせても助ける事も出来ないとは情けない。とてもレイカ様を任せられませんわ!」


しかしファン様にレイカさに自分の存在を悟られないよう厳命されているので、表立って助けられないのが歯がゆい


「屋敷に使用人として忍び込もうにもあの虎族の若君は侮れないし…… 」


仕方ないので寂しいが陰ながら見守る事に努める侍女だった。








王様の心境の変化は第一部「龍王の伴侶」の昔歳と懺悔を読めば分かります。

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