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龍王の娘  作者: 瑞佳
第二章 白虎国編
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能力開発しましょう





朝からインフーの様子がソワソワいていると思えば、レイカと俺を一緒に勉強させようとしていたのかと納得したが五歳のガキと勉強だと!ふざけるな


インフーが可笑しくなっているのは分かっていたが


少しでもレイカと関わりたいと思っているのがバレバレ



しかし俺より字が書けるとは最近の五歳児は侮れない、レイカにバカにされ思わず力を向けてしまったが無傷な上に俺の神力が効かないというより食ったという印象を受けた。


想像以上の化け物なのかもしれない


レイカは自分の存在の異質さに気付かずその力を引き出したいとまでぬかす。


子供だからだろう


インフーの首筋に吸いついた時は面食らってしまったが


まだ五歳なのだから性的な意味は無いのは分かっているがインフーはそうでなかったらしく、真っ赤になって気絶するとは無様だ


まさか童貞では無いだろうな


インフーは九人目の教育係だ… これまでの奴は俺の皇子という肩書を利用しようとする下種な者、上の兄弟の命で暗殺を狙う者ばかりで中には俺を押し倒そうとするバカもいたが、その体を切り刻んでやるが虎族のため一命を取り留めてしまい今でも後悔している。なぜ首を刎ねなかったのかと……


そして九人目にしてやっと真面な奴がインフーだった。生真面目で融通は効かないが俺に対し真摯に接してくれる数少ない奴だったが、レイカに対する執着を見ていると本当に道を踏み外さないか心配なので忠告してやる。


「インフー、手を出すにしてもせめ初潮が始まるまで待てよ」


人間の成長は早いので後十年も待たず子を産める体になるだろう


「しょっ初…潮…///  なんて事を仰るんですか!! 私はそんな外道な事は致しません! /// 」


「一応、釘を刺しただけだ… それより確認したいんだが女の経験はあるんだろうな」


「私は健全な男子です」


レイカに只ならぬ目を向けて健全と判断するかわ甚だ疑問だ


「それと、勉強以外は無暗にレイカに近ずくな。命令だ」


「どっどうしてですか!」


「虎族としてのお前の対面の為だ。変な噂がたったら王都に戻すぞ」


「そんなー」


本人は自覚していないようだが五歳の幼女に頬を染める大人など不気味でしか無い


レイカの身の安全も確保した方がいいだろう… 色恋など全く面倒なものだ


だがあのガキを磨き上げて側に置き駒として使うのに打ってつけ、あの神力を食う能力を引き出せば俺はあいつから自由になりこの国を出てやる。


レイカが俺の元に来たのは天の配剤としか言いようがない


俺は必ず自由になる


レイカ、お前を犠牲にしようとも







「いいか、今から少しづつ神力を流し込むからその力を感じろ」


「はい」


俺達二人は妖獣の森に来てレイカの力の訓練をしている。屋敷だとインフーが邪魔で煩いのだ、だがレイカを連れ出したら連れ出したで色々詮索してウザい


レイカの額に手を当てながら少しずつ神力を流し込んで行く。通常は怪我や体が弱っている時に治癒の力と攻撃の力と別のように思うが源となる力は同じでその力をどう体現するかは自分の意志による。今は治癒の力を流し込んでいるが健康な体に神力を流すなど始めてだったので普通はどうなるかなんて知らないが、レイカの体に流し込んだ神力は底なしの壺に水を満たすように何処かにのみ込まれて行く。


「おい、どうだ感じるか」


「う~ん…… よくわかんない…」


普通の人間でも虎族の持つ気配を感じ萎縮するのに神力を注いで何も感じないとはこいつ不感症か……試しに一気に大量の力を入れてみる。


「どうだ?」


「変わらないよ……」


バシッ!


「痛い! 酷いフォンフー様 叩かなくてもいいでしょ!!」


「ウッキィーキッ!!」


「撫でてやったんだ! 俺が本気で叩くと首がもげるぞ」


俺の神力を何も感じないだと、とんだ不感症女だが、こうなったら最終手段を行う事にした。


「おい、そこに立ったまま動くな」


俺をいぶかしみながらも素直に立っているがハクは危険を感じたようでレイカから離れ昼寝をしているロウの腹の下に潜り込む。主人に似ず賢い奴だ


両手を上にあげて掌に神力を練り力を圧縮して行くと光の球体が現れる。


「レイカ、これが何だか分かるか」


「う~ん 神力の玉?」


「正解だ」


これに当れば数千の風の刃がレイカの体をひき肉のように切り刻む代物だが何の躊躇いもなくレイカに向かったその光の玉を投げつける。


ヒューン


「へっえっええーー」


パッシィィィーー


レイカは間抜けずらを晒しながら光に包まれるが静かに吸いこまれるようにレイカの体に吸い込まれて光は瞬時で消えてしまう。


尻もちをつき座り込むレイカを見降ろしながら声を掛ける。


「どうだ、少しは感じたか?」


「こっ殺す気!!」


目を白黒させながらも俺を怒鳴るとは流石だ


「お前は神力が効かないのは分かっていたからやったんだから、殺意はない」


「うそ、絶対に嘘! レイカに万が一何かがあっても良いって思ったでしょう!!」


神力には鈍感でも他は鋭いらしい。これで死ぬならそれでいいとも思ったのは内緒にしておく


「それより、今度こそ分かっただろうな」


「はい、眩しかった!」


パシッ!


さっきより強めに撫でてやると頭を押さえて縮こまる。


「誰が視覚的な事を聞いた! 俺の言っているのは感覚的な事だ」


五歳児にしては頭が良いが偶にこんなボケをかますが、態となのか??


「酷い、フォンフー様の鬼畜、冷血漢の不能やろう!!」


不能!!


涙目で睨みつけながらとんでもない事を言う


「お前意味分かって言ってるのか!?」


「えっ? 知らない… 学問所の女の子が男の子を怒鳴る時言うのを真似しただけ?」


どんな学問所だと突っ込みたくなる。インフーが今の言葉を聞いたら泡を吹いて倒れたのではないかと思うと可笑しくなる。


しかし神力を感じられないとはどういう事だ??


もっと大きな力でないと感じないのだろうか


「もう一度そこに立て」


流石に二回目は何をされるか感ずいたようだ


「嫌よ! レイカが死んだらどうする気」


「お前は死なない。俺が保証しよう」


絶対とは言えないが多分大丈夫だろう


そして渾身の力を掌に集約して行くと先程の光球の五倍近くの力を練る。まともにこの力に当たれば、この森見渡す限りの木々が切り刻まれ跡形も無くなるだろう、レイカの体の肉片一つも残らない事を保障する。


「レイカ、自分の能力を操りたいなら先ずは神力を感じて理解しろ」


「だかっらて死にたくない!」


「初めて会った時はロウに食われたいと言ってただろう」


「あの時と状況が違うのーーーー 」


「諦めろ!」


そう言って後ずさるレイカに向かって光球を投げつける――――― 恨むなよと心でもしもの事を思い詫びておく。












フォンフー様の馬鹿ーーーーーーーー


と心の中で叫びながら光球を避けれず立ちつくす


これで死んだらあの男同様にフォンフー様も呪ってやると心に誓うと同時にレイカは眩いばかりの光に包まれる。


光の洪水に呑まれ目の前が真っ白になるのは初めと一緒だが今回のは中々治まらず、まるで白い空間に閉じ込められた錯覚に陥る


もしかして冥府の国に落ちたのかと一瞬脳裏をよぎったが、体の中に何かが入り込みそのまま何処かに消えて行くのを感じる。どこに流れているのかは分からないがレイカの体を通して何処かに消えて行く


フォンフー様の神力はどこに消えて行くの?????


不思議に思いながら徐々に光が治まりレイカの中に全て治まってしまった。


痛みは全く感じず無傷、生きている!。


ホッとするがフォンフー様のあまりの無茶ぶりに腹が立つ!!


少しは毒を吐かないと気が治まらないのでフォンフー様を見やると何故か地面に仰向けで倒れていた。


駆け寄り覗き込む。


「フォンフー様どうしたの?」


気遣いながら声を掛けると睨んでくる…その顔には疲労が見えていた??


「お前の為にかなりの神力を消耗したんだ。これで何も感じなかったと言ったらこの森に捨てるぞ!」


何それ!! そこまでしてくれとレイカは言っていない。本気で殺す心算だったのではないかと疑ってしまうが、仮にもフォンフー様が主で、本気でこの森に捨てられそうな気がする…… !!はっ、それが目的でこんなに遠い森までやって来たのだろうか…不本意だけど素直に答えるしかない


「なんか変なのが体に入ってくるのを感じた!」


「変なの!! 俺の神聖な力を変とはなんだ!!」


「ひぃ~ ゴメンなさい。 でも少しは進歩したのかな?」


「フン!」


少々怒りっぽすぎるフォンフー様は、少しインフー様を見習って欲しい


ヨロヨロとフォンフー様は立ち上がりロウの所まで歩きそのままロウに寄りかかり座り込んでしまう。


「俺は疲れたから少し寝る。 静かにしてろ」


「はーい」


そのままロウの毛皮に包まれるように寝てしまう。レイカの力の訓練のせいで結構消耗してしまったようだ、口は悪いけどこうやって協力してくれるなんて本当は優しいのかもしれない…狼のロウもこんなに懐いてるんだもの


スヤスヤと眠るフォンフー様の顔を見ているとあどけない十歳にしか見えず、とても四十四年も生きてるなんて不思議。レイカも母様と同じ程の寿命が欲しかった…せめてレイカが大人になる前に会いたい母様より老けて合うのはなんて絶対に嫌


早くこの力を使いこなしてあの男の神力を根こそぎ奪えばきっと勝てるはず


だけどレイカの食べた神力はどこへ行くんだろう??


そのまま自分の力になればもっと戦えるのに勿体ない


「キッキー」


「ハク、さっきはよくもレイカを見捨てたわね」


何処からともなく現れたハクに文句を言ってやるが、気にする風でもなくレイカの頭に乗る。そう言えばハクって全然大きくならず会った時そのままの赤ちゃんの大きさだから今だに頭に乗せれる。


「ハクも変だよ」


もしかして普通の猿と違い寿命が長い種類なのかな?


結界の猿と同じだと思っていたけど勘違いで小さい体の猿なのかもしれない。


フォンフー様の横に腰掛けながら色々考えていると何時の間にか寝てしまった。






「レイカ! 起きろ」


怒鳴り声で起きると何故か寝る前よりやつれた顔をしたフォンフー様が睨んでいる。しかも空は赤く染まり夕方のようだ


「もう夕方! 皆が心配してるわ、フォンフー様早く帰りましょ」


「お前何をした!」


「へっ????」


喋るのも辛そうに顔も浅黒い肌でも顔色が悪いのが分かるほど


「大丈夫ですか?」


「お前が俺の神力を根こそぎ食っただろー」


「レイカしてない」


「くそ! このまま日が落ちると不味いロウ帰るぞ」


力無く立ち上がりロウの背に倒れ込むように座る


「お前も乗れ、日が落ちれば妖獣が現れると今の俺では敵わない!」


「えっ」


妖獣と聞き慌てる。一度も会った事はないが母様に妖獣の恐ろしさを教えられていたのでハクと飛び乗ると同時にフォンフー様が命じる。


「ロウ、急いでこの森を抜けろ!」


掛け声と同時にロウが凄い勢いで森の木々の隙間を縫うように突き進んで行くがフォンフー様がずり落ちるように捕まっているのがやっとのようで、レイカは落ちないよう何とか支えるが五歳児の力では難しい


「ロウお願い少し速度を落として、フォンフー様が落ちちゃう」


「駄目だ! 出口まで緩めるな」


ロウは主人の命の通りに従い突っ走るが、既に日は落ち森は真っ暗な闇の世界に変わる。狼のロウはそれをものともせず木々をすり抜けて行くが一向に森を抜けれない


そして突然ロウが足を止めてしまう


「止まるな…走れ…」


弱々しい声でフォンフー様が命じてもロウは動かず反対に自分から降りろとばかりにしゃがみ込むと同時にフォンフー様の体が地面にずり落ちてしまう。


ドッサ!


「フォンフー様!」


レイカも急いで飛び降りて抱き起そうとするが怒鳴られる。


「くっそー お前のせいで俺達はここで妖獣の餌食だ! 」


「そんな事言われても……」


「グルルルルーーーグゥーーー」


ロウは低い声で唸りながら辺りを威嚇い始めると、徐々に周囲からザワザワと幾つもの呟くよな声が聞こえて来る。


( 旨そうなガキが二人もいる )


( 旨そうだ… 旨そうだ… )


( イッヒッヒッヒッヒッヒ~~~~ なんて軟らかそうな肉、 旨そうだ )


( 切り裂いて内臓を引きずり出せ! )


( 殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ、殺せ殺せ、殺せ、殺せ! )


効きたくもない幾つものおぞましい声がレイカの鼓膜に響く、妖獣は一体だけでなく数体いるようだ


どうしようこのまま死んじゃうの!


「ウォォーーオーーーーンーー」


ロウが遠吠えを発しった後に暗闇に向かい飛び込んで行くと同時に凄まじい死闘の声が暗闇の森に響く



ギャアオオーーーーン


バッキ! ドッドドガーーーーッツ  ズズッズーーズーーン


ガァァーーーーーーーーーーーー


レイカには何が起こっているか皆目見当がつかず恐怖で震えるしか無くフォンフー様の体を庇うようにしがみ付くしか無かった。


「せめて神力が戻れば…」


悔しそうに呟くフォンフー様


レイカが神力を食べた所為でこんな事になッてしまった。


ドッサ!!


「ロウ!!」


目の前に血だらけのロウが虫の息で落ちて来って、闇の中から真っ赤な禍々しい目が幾つも浮かんでいた。


ボロボロの体を奮い起して立ち上がりながらレイカ達を庇うように前に立つ


「ロウ…お前だけでも逃げろ… 」


「クゥーン…」


フォンフー様がロウに命じるけど去ろうとはしない、そいて確実に赤い目が近づいてくると暗闇の中でもその姿が分かるようになってきた。


目の前にロウがいるのでよく分からないが真っ赤な目と裂けた口からのぞく牙、その口から聞こえる呼吸音すら不気味だ、そして体の大きさまもまちまちであるが不気味な容姿は伺える


「ひぃーーーーーっーー」


どうしよう!! このままでは皆死んでいまう


「まさかこんな事で死ぬとは… だがこれであいつから自由になれるのか…… 」


フォンフー様は諦めてしまっている。


レイカはヤダ!! 


こんな所で死ぬなんて


母様に会うまでは絶対に死ぬもんか!


( 先ずはオオカミから食うか? )


( おれはガキだ )


( おれもだ )


( なにをいうー オレ様が先だ ギャアァーーーーー )


どうやら妖獣達が仲間割れをし始めたようで、闇の中諍いを始める


今のうちに何とかしないと


フォンフー様に神力が戻れば一番いいのだ


レイカが神力を返せれば


でもどうやって?? 


考えている内に小さな声でフォンフー様が囁く


「レイカ、今のうちに一人で逃げろ…… 俺は動けん… 」


「そんなの嫌 レイカは諦めない」


「本当のバカか……」


周りでは妖獣が殺し合いを始めたようで此方をあまり気にしていないようなのでまだ幾らかは時間がある


「フォンフー様、神力って何処から来るの?」


「こんな時に何だ… 神力は神族が持って生まれた神核に宿り、虎族の場合は虎核と言う…… 」


珍しく素直に答えてくれるのは最後だと思ったからだろうか


弱気なフォンフー様など気持ち悪い


レイカは目を閉じ神力が消えて行った方向に意識を集中する。


レイカが食べた神力は何処かにあるはず……レイカの体の中では無い別の場所


例えばファン様が瞑道を開けて移動できるように力を瞑道を通らせて移している


瞑道


真っ暗で虚無の世界が永遠に続く場所で力があれば異世界にもいける狭間の世界だとファン様が言っていた。


心で瞑道の闇を開ける


そして神力は光


フォンフー様がくれた?神力の光を想像し光球を作りだしそれを闇に落としていくと光は何処かに吸い込まれるように流れて行きその先には大きな太陽のように眩い光があった。


「見付けた!!」


そう叫ぶと共にその光に意識を呑まれてしまった。









暗闇の中妖獣共が殺し合いを始め既に数体が死んで残り三体呑み


虎族の俺には闇など関係無くその様子を見る事が出来た。


レイカと言えば逃げろと言ったのに俺にしがみ付いたまま動かない


泣き喚かないだけましだが後数刻すれば妖獣に生きたまま食われてしまう運命


せめてこの場でレイカを殺してやった方が優しさだろうかと決めかねていると突然レイカが叫ぶ


「見付けた!!」


何だ!???


レイカは上半身体を起こしたかと思うと俺の目を覗き込む!


目が金色に光り表情は人形のように無表情


恐怖で気でも狂ったかと思った


『 受け取るがいい 』


「えっ?!」


俺の額とレイカの額が合わさる瞬間凄まじい光が流れ込むと同時に虎核に神力が満ちるのを感じる。


凄い圧倒的な力


これ程純粋に練られた神力を感じた事がないが


レイカはそのまま体を崩れるように地面に横たえた。


やれる!


何が起こったか考えるのは後だ、今は妖獣を始末するのが先決


体の隅々に力がみなぎり以前より神力が上ったようにさえ感じ立ち上がる。


「クゥン!」


ロウがいち早く俺の変化に気がついたようだ。


「ロウ、後で傷を治しやるから大人しくしてろ」


「ウォッン!」


そして妖獣達も俺の様子が一変したのを知り慌て始める。


( 何だ! このガキ、さっきと違うぞー )


( 皆で襲え! )


( 殺せ! 殺して食えば力が増す! )


妖獣は俺目掛けて一斉に襲いかかるが、既に練ってある神力を妖獣に解き放つ


「食らえ! 俺の力をー 」


ピッカ―ーーーーー


((( ウギャァァァァーーーッアーーーー )))


妖獣共は光に包まれたと思った瞬間に風の刃が竜巻のように取り囲むとその中で切り刻まれ妖獣の絶叫と青色の血が辺りに飛び散り、竜巻が治まった後に残ったのは細切れになった肉と骨の残骸の山


「なんとか助かったが長居は無用だ」


かなりの血が流れそれに魅かれた妖獣共が大勢襲ってくるのは正直御免だ。


「ロウ、俺の血を飲め」


指先を噛みちぎり、その滴をロウの口に流し込む。 瀕死に近いロウを瞬時に回復させるのにはこれが手っ取り早い


ぺロ、ぺロ、ぺロリ


指先の血を大きな舌で最後まで舐めつくすとロウの体の傷は消えるが毛に付いた血糊はそのままだが仕方がない


レイカの小さな体を抱きかかえると胸元からハクが顔をだす


「お前の主人は訳の分からない奴だな…」


「キッキ―?」


ロウの背にレイカを乗せ、自分も飛び乗りロウに命じる。


「屋敷に帰るぞ! 全速力だ!」


思わぬ展開でレイカには助けられたのだろうか


一体どうやって俺に神力を返したのか分からないが胸が高鳴る。


なんて規格外の力


レイカは俺から奪った以上の力を返したのだ


普通なら器以上の力を返されても溢れてしまうが、レイカの返した力は純粋に圧縮された神力の塊だ


レイカがいれば虎王の王座すら簡単に手に入る。


だが俺の欲しいのは自由


だがまだ時期では無い




俺はレイカの力に酔っていた


そしてこの少女に対する所有欲が湧きあがる。


レイカを誰にも渡さない


この力は俺のものだ。


ロウの背に乗り闇を切り裂きながら疾走する中、己の幸運さに笑いが止まらなかった。









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