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トカゲの尻尾とその黒幕

犬飼の執念の張り込みが実を結んだ。金村が、別の若者とドラッグの取引をしている現場を押さえ、全力の追跡の末、路地裏で組み伏せた。

「吐け!高橋美咲にドラッグを売ったのはお前だな!彼女はどこだ!」

「し、知らねえ!俺は末端だ!上の命令でクスリを流してるだけで…」

金村は震え上がっていた。だが、次の瞬間、彼の目が大きく見開かれる。犬飼がその視線の先を追うと、路地裏の影から、スーツ姿の男が二人、無表情でこちらを見ていた。

まずい、と犬飼が身構えるより早く、男の一人が懐から拳銃を取り出し、発砲した。

しかし、その銃弾は金村ではなく、犬飼の足元のアスファルトを抉った。威嚇射撃?違う。

金村が、苦悶の表情で自らの胸を押さえた。彼の胸ポケットに入れていたライターが、銃弾を受けて爆発したのだ。あっけない幕切れだった。

「トカゲの尻尾切りか…!」

犬飼がスーツの男たちを追おうとした瞬間、男たちの足元から無数の白い手が伸び、彼らを地面に引きずり込んだ。

「な、なんだ!?」

驚く犬飼の背後から、呆れたような声が響く。

「やはり、ただのチンピラではなかったな。安心しろ、私の結界術で動きを封じただけだ。すぐに本物の警官が来る」

憐が、いつの間にかそこに立っていた。

「神凪さん!なぜここに!」

「お前から受け取った資料についていた、お前の汗の匂いを式神に追わせた。つくづく、犬のように鼻が利く式神で助かったな」

捕らえられたスーツの男たちは、しかし、何も喋らなかった。ただ、不気味に笑うだけ。そのうちの一人が、口の端から泡を吹いて倒れる。服毒自殺。もう一人も、すぐに後を追った。

「…これは、思ったより根が深いぞ、新米刑事」

憐は、男たちの死体から漂う、微かな霊気の残滓を嗅ぎ取り、眉をひそめた。

「この連中…人間でありながら、魂の一部を"何か"に喰わせている。その対価に、呪術的な加護を得ていたようだ」

「魂を喰わせる…?まさか、声喰い様に!?」

「おそらく、その声喰い様を操っている黒幕がいる。そいつこそが、このドラッグ組織の王…そして、少女を殺した真犯人だ」

二人の視線が交錯する。単なるドラッグ事件ではない。オカルトと現実の犯罪が融合した、前代未聞の凶悪事件。

「面白くなってきたじゃないか」

憐が、初めて不敵な笑みを浮かべた。

「行くぞ、駄犬。ボスのお出ましだ。首輪を付けて、しっかりついてこい」

「誰が犬ですか!僕は犬飼です!」

憎まれ口を叩きながらも、二人の間には、確かに"相棒"としての奇妙な絆が芽生え始めていた。

目指すは、全ての元凶が待つ、犬鳴トンネルの最深部。ドタバタ刑事とツンデレ陰陽師の、奇想天外な戦いが、今、幕を開ける!


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