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声食いトンネル〜a.k.aツンデレ陰陽師様は公務員がお嫌い〜

作者:ギアス
事件の再定義
世間を震撼させた『犬鳴トンネル連続変死・失踪事件』。
心霊スポットに立ち入った少女の失踪、後を追った恋人の謎の死、そして、双方の親が憎しみ合いの末に姿を消したとされる、後味の悪い悲劇。巷では「現代の神隠し」「トンネルの呪い」と囁かれ、オカルト雑誌の格好のネタとなっていた。
――だが、しかし。
その通説は、まるっきりのデタラメである。
警視庁捜査一課に配属されて三ヶ月。熱意だけが空回りする新米刑事、犬飼守(いぬかいまもる)は、山と積まれた事件資料の前で頭を抱えていた。
「どう考えてもおかしいでしょうが!」
犬飼の叫びに、隣のデスクのベテラン刑事、佐藤が耳くそでもほじるかのように面倒くさそうに顔を向ける。
「犬飼、まだその事件にかじりついてんのか。上はもう、最後の失踪者二名の発見を断念して、心霊現象を絡めた集団自殺って線で処理する方向だぞ」
「自殺なわけないです!少女の遺体も上がってない!最初の恋人の死因は急性心不全。その後の両親は忽然と消えた?現場には血に濡れたバットと包丁?こんなデタラメなストーリーありますか!」
犬飼がバン、と机を叩く。彼は、この事件に潜む「人間の悪意」を確信していた。失踪した少女、高橋美咲の周辺を洗ううち、彼女が新型のデザイナードラッグに手を出していたという微かな噂を掴んでいたのだ。だが、物証は何一つない。
「だいたい、現場の残留思念が強すぎて気分が悪いです!」
「お前は刑事か霊能者かどっちかにしろ」
佐藤に一蹴され、犬飼は「ぐぬぬ…」と唸る。実は犬飼、先祖にいたという神主の血を引くのか、昔から妙に勘が鋭く、"視えやすい"体質だった。犬鳴トンネルの資料を読んでいるだけで、邪悪な霊気がこちらにまで漂ってくるようで、気分が悪くて仕方がないのだ。
「…こうなったら、最後の手段だ」
犬飼は決意を固め、警視庁の地下深く、存在しないとされる部署――『特殊事象課分室』、通称『オカルト係』へと向かった。
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