第7話:「オレ、転職してた!? “爆発物処理班”って聞いてないんですけど!?」
~それは、爆発寸前の友情(?)と火薬庫~
「はい、これ」
旅の途中の町で、セリナが無言でライルに渡した紙切れ。
「え、これ何……“爆発物処理員・臨時認定証”? 俺、知らんうちに転職したのか!?爆発物って、俺の得意分野じゃないぞ!」
「この町、魔法鉱石が勝手に爆発して困ってるのよ。で、受付でお前らならイケるって話になったんだってさ」
「判断基準、それ絶対ライルの“運”だけだろ……」
ミミルが冷ややかに呟く。
◆◇◆◇
案内された先は、穴ぼこだらけの山道。
「これ、ダンジョンじゃなくて地雷原だろ?」
「看板に“鉱山地雷原”って書いてある時点でお察しだよな」
「鉱石が爆発するって、どんだけ機嫌悪いんだよ……」
「“おい鉱石、元気?”――ドカーン!」
ライルの声に爆発が返す。誰か止めてくれ。
◆◇◆◇
ベルが得意げに言う。
「俺の鎧、爆発耐性あり!」
「いや、フラグ立てるのやめて!」
ベルが前を歩いた瞬間、爆発に巻き込まれ吹っ飛ぶ。
「大丈夫、大丈夫……多分次の爆発には耐えられん気がするけど」
「どこの戦隊ヒーローのセリフだよそれ!」
◆◇◆◇
ミミルが魔法で鉱石の反応を調べる。
「この鉱石、笑い声に敏感らしい」
「じゃあセリナ、絶対笑うなよ。お前、俺がこけるたびに笑うからな」
「お前が勝手にこけておいて私に自粛しろはないわ!」
「バカップルか!」
「違います!!」
◆◇◆◇
最大級の魔法鉱石の前。
「うわっ、町ひとつ吹き飛ぶ勢いだこれ……」
「刺激しないで撤去しないと」
ミミルが封印魔法を使おうとするも
「強すぎて封印逆効果かも」
「どうすんだよ!?爆発物処理の訓練ゼロなんだぞ!?」
◆◇◆◇
ライルは小声でつぶやく。
「5年間の“運”を信じるしかない……!」
「逆に怖いわそれ!」
ライル、恐る恐る鉱石に手をかざす。
「頼む……爆発すんなよ……!」
――“ポン”
鉱石が爆発せず粉々に崩れた。
「何これ?」
「“運”だよ(ドヤ)」
「イラッとくるなそれ!」
◆◇◆◇
町の人に拍手喝采。
「これで勇者にまた近づいたな!」
「いやそれ勇者じゃなくて、現場作業員だから」
「次は交通誘導員とか言い出しそう」
「もう“雑用王”でいいんじゃね?」
ライルは空を見上げてつぶやく。
「魔王城、遠すぎ……」